中国に輸出未遂容疑!? RC用 新技術無い 高性能不要  インフォーム  キャッチオール  国連パネラー思惑様々 矛先日本

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軍用ドローン部品を中国に輸出未遂容疑で利根川精工が書類送検という報道があった。税関に許可は不要とする虚偽の申告をしていたという。その輸出しようとしたモーターとは、最大トルク380kg – cm、動作速度は0.95 sec /90°というもので、出力108w、0.14英hpになる。経済産業大臣から通知を受けた場合に許可申請が必要になる「インフォーム要件(The “informed” condition)」であったのかもしれない。国連の専門家パネル報告書により、経産省が昨年4月に「キャッチオール規制」の対象に追加したことによるようだ。このサーボモーターは、ラジコン用で、このようなサーボモーターは昭和40年代に普及し始めたものだ。使われているDCモーターというものは、移動体に搭載できる高圧蒸気機関の出現と同じくらいの時代からある古い技術だ。サーボモーターはアクチュエータとして使われるわけだから回転速度はそれ程大きなものは要求されない。低速から大きなトルクを発揮できるDCモーターは、サーボモーターは向いている。要するに、トルクが大きく、粉塵などに対する耐性があるだけのことで、このサーボモーターに、規制を必要とするような新技術は考え難い。ドローンの操作に使うのに、規制しなければならないほどの高性能なものが必要だろうか。 国連の専門家パネラーの出身国は、中露はさて置き「自由と民主主義、法の支配などの価値観を共有」と言われる欧米諸国であっても、西欧は人権や環境問題などでは原理主義的で、近年、「緑の党」の影響力が強いところであり、法の支配も英米法の概念であって日本などの大陸法諸国には、本来は共有概念ではなく、価値観が同じなわけがない。彼らの矛先は日本ではないのか。現下のグローバル経済において、自国の産業を守るのは容易いことではない。

〇事件の概要

 先般、高性能モータを許可なく輸出しようとしたとして、精密機器メーカー「利根川精工」とその社長が書類送検されたというニュースが流れた。

有限会社利根川精工の外為法違反容疑に係る告発について 2021年7月6日 経済産業省
https://www.meti.go.jp/press/2021/07/20210706002/20210706002.html
軍用ドローン部品を輸出未遂 中国に、容疑で業者書類送検 警視庁 7/6(火) 14:16配信 時事通信https://news.yahoo.co.jp/articles/0fd9d0c35c9347711ceb7a476efb294c02d9f53a

 利根川精工は、経産省から輸出許可が必要との通知を受けていたのにも関わらず、税関に許可は不要とする虚偽の申告をしていたというものだ。 その輸出しようとしたモーターとは、次のようなものだ。

SSPS-105RCモデル用超大型サーボ
http://www.tonegawaseiko.co.jp/ja/product02.
htmlhttp://www.tonegawaseiko.co.jp/ja/files/ssps-105_02.pdf

 Canon製 38f 7極DCモーターを用い、最大トルクがハイトルクモデルで380kg-cmに達する。動作速度は0.95sec/90°だそうである。DCとはダイレクト・カレント、つまり直流のことだ。直流を使用するモーターだからDCモーターだ。
 カタログには、24Vモデルなら約4.5A、12Vモデルなら9Aと書いているから、このモーターの出力は108ワット、つまり0.14英馬力になる。ギアなどで速度を換えればだが、76.06㎏の重量を1秒間に14cm持ち上げる仕事率である。この仕事率は一斗缶に水を満杯にして4つ分を持ち上げるのに相当する。かつて私は家業で灯油配達をした。中身が灯油だから比重は水よりやや小さいのだが、灯油が満杯の一斗缶を両手に下げて階段を上るのは私にとっても結構しんどかった。もっとも持ち手が細く掌が痛いことも一因ではあった。建築基準法で階段の蹴上は23cm以下であるので、14cmは概ね3分の2だ。一般的な階段で1歩を2分の3秒毎に踏み出せば、この上昇速度になる。自分の体重も加わっているが、毎秒14cmの速度で一斗缶4つを持って階段を上がることを考えると結構な仕事率だ。
 カタログには、駆動方式にギアと記載しているが、おそらく歯車列により回転速度を落としているものと思われる。動作角度と機動トルクが反比例しているのは、歯車の組み合わせだから、そのようになるのだろう。反比例は、歯車や輪軸、或は楔や梃子の力学における基本的な計算だ。
 入力パルス 3-5V 1.51ms±400μSとあるのは、おそらく制御用の信号電流でPWM(パルス幅変調)方式と思われる。
 あとで触れるが、Canonのカタログにはこれに近いモーターがないから、特注品かもしれない。
 輸出貿易管理令別表第1の16の項に該当する貨物を輸出しようとしたということであるが、この別表第1の16とはキャッチオール規制対象品目表のことだ。

キャッチオール規制対象品目表
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/tutatu/t07sonota/t07sonota_kanzeiteiritu.pdf

 この品目表のどこの欄に該当するのかまでは、詳しいことはわからないが、おそらく第85類辺りに該当するのだろう。ちょっと見ただけでも何でも関連しそうな内容である。
 キャッチオール規制とは、軍事転用の可能性が特に高いものに対する「リスト規制(List control)」ではカバーしきれないところを補うものだ。キャッチオール規制が最近話題にのぼったのは、南鮮をホワイト国指定から外した時の議論であった。この時はフッ化ポリイミド、レジスト及びフッ化水素が対象となったが、この3つがキャッチオール規制品目だったわけである。また、今回の輸出品であるモーターの輸出先がホワイト国であれば問題なかったと言える。
 今回、利根川精機は、経済産業大臣から外為法第48条第1項の規定による許可が必要となる旨の通知を受けていたというから、経済産業大臣から兵器転用の懸念が輸出業者に示され、許可申請をすべき旨の通知を受けた場合に許可申請が必要になる「インフォーム要件(The “informed” condition)」であったのかもしれない。
 今回の事件は、利根川精機がサーボモーターを中国の企業に輸出しようとした疑いであったわけであるが、その端緒は、下の記事によると国連の専門家パネルが昨年1月に公表した報告書により、対象外だった同社のモーターを、経産省が昨年4月に「キャッチオール規制」の対象に追加したことによるようだ。専門家パネルが同社のモーターの輸出について「紛争を助長している」と非難していたことがきっかけになったとしいてる。

軍用ドローンに転用可能「高性能モーター」を輸出…都内業者が中国・イエメンに2021/07/06 16:42 読売新聞オンラインhttps://www.yomiuri.co.jp/national/20210706-OYT1T50160/

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