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ASW音響から変わるか 産総研Diamond量子センサ 室温高感度 D range百倍 掃海具識別磁気機雷 脳波等感応地雷も

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(画像はイメージ)

 潜水艦探知で主流の音響探知にかわるか。
 産総研開発ダイヤモンド量子センサー 室温で高感度 ダイナミックレンジ100倍
 静寂性に対抗
 飛行する航空機も探知しミサイル発射できる磁気機雷や人間の脳波や筋電位に感応する地雷もできるかも

〇潜水艦の探知

 対潜作戦に用いられている探知手段としては、海中の電磁波伝搬距離が限られるため音響と磁気による手段が主流である。
 赤外線による熱探知やレーダーも潜水艦探知の手段としてないわけでない。目標が浮上中や潜望鏡及びシュノーケル上昇中の時はもちろんだが、潜航中であっても潜水艦は熱源に他ならないから、海面の温度上昇がある。また、海面の僅かな盛り上がりをレーダーで捉える方法もあるし、大東亜戦争中に試みられた長波帯レーダーで潜航中の潜水艦からの反射エコーを直接捉える方法もある。しかし、どちらの手段も浅い深度を潜航中の場合しか有効ではない。青緑色メーザーによる探知も研究はされているようだが、見える範囲が限定されるようで広い海洋では力不足だ。
 目標が原子力潜水艦であれば、原子炉から出て来るニュートリノなどを捉えることも原理的にはあり得るが、カミオカンデのようにセンサーが巨大となり実用化には課題がある。
 以上のような様々な理由から現状では探知手段は音響と磁気に限られている。さらに磁気については探知範囲が狭く、追い詰め、攻撃する際の位置の絞り込みに限られるようだ。
 磁気探知は第二次世界大戦で最初に実用化されたようだが、当初は大きな円形のコイルを哨戒機にぶら下げて飛行していた。テープレコーダーやフロッピーディスクの磁気ヘッドが空を飛んでいると考えればよく、誘導電流を用いる方式である。
 現在では、諸細は明らかにされていないが、ホール素子などが使われているようで、既にP2V-7の時代から、機体の磁気を避けて尾部に突き出したMADが使われている。
 昔よりかなり高感度化したものと思われるが、高感度のセンサーほどダイナミックレンジが狭くなる傾向があった。ダイナミックレンジが狭いと、折角、感度が高くでも、小さな信号を感知しただけで、いきなり受信感度が最大値になってしまう。そうなると、あちこちの海面上で一様に探知信号を受信し、目標の潜水艦がどこに居るかが分からなくなることになる。
 私自身が関わっていたわけではないから、運用については類推を含むが、似たような装備品でも、そのような場合にはアッテネーターで感度を落として、位置を探ることになる。しかし、下げたままの感度では一度見失えば、再度、感度を上げて探し出さねばならないから弱点になる。
 だからこそ、現状では音響手段と組み合わせて利用されるわけだ。
 もし、ダイナミックレンジが高ければ感度を上げたままでも、目標に近づいたり遠ざかったりすることが接近時から分かることになる。

〇ダイヤモンド量子センサ

 そのような夢のようなダイナミックレンジを持つ磁気センサーを独立行政法人 産業技術総合研究所(以下「産総研」という)が開発した。しかも、この手の高感度センサーにありがちな低温環境も不要で、屋外での使用が可能となり実装・取り扱いが容易である。
「ダイヤモンド量子センサ、室温で感度を維持しつつ計測範囲を低温従来値の100倍に」
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210112/pr20210112.html
 リンを、ドーピングしたダイヤモンドがその開発されたセンサーである。このダイヤモンドも、産総研が自ら開発したものだ。
「新たなn型ダイヤモンド半導体の合成に成功」
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2005/pr20050509/pr20050509.html
 今回、開発されたセンサーの原理は、ダイヤモンド結晶の炭素格子の一部を窒素に置き換えたNV中心を用いることによる。炭素が窒素に置換されることで、周囲の電子を奪い空乏ができる。つまりこれらの窒素と空乏のペアがNV中心と呼ばれるもので、このNV中心が量子スピンをもっていることが重要である。
 つまり簡単に言えば、このNV中心は微細な棒磁石である。通常、NV中心のような原子配列は、非常に不安定で簡単に壊れてしまうが、物質中最大の硬さを持つダイヤモンドだから常温でも壊れないということである。
 電動機や、もっと近いのは、シンクロとかセルシンと言われる角度センサーに似ているのであるが、磁力線が変化すると、このNV中心のスピン、すなわち微小棒磁石が方位磁針のように回転するのである。その回転角度を計測して磁力を検知するというわけだ。
 回転なので、サインカーブの出力のCOSを取れば磁力になる仕組みである。
 ところが、そのままではNV中心が1回転以上すると、磁力の計測が分からなくなってしまう。例えば10度と370度が同じになってしまう。1回転分の計測範囲を広くすると、磁力変化に対して少しずつしか回転しないから感度が落ちる。狭くすると感度が上がるが、ちょっとの差で何回転もしてしまいダイナミックレンジが狭くなる。
 そこで、複数のNV中心の組み合わせを、異なる観測時刻(回転角度に相当)で検知してベイズ推定のアルゴリズムを用いて、事前に想定される確率分布に基づき確率論的に絞って行き、広い範囲を高い精度で検知できるようにしたというのが、このダイヤモンド量子センサーということなのだそうだ。
 なんと、従来のセンサーの100倍のダイナミックレンジを有するということである。

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