提出期限:令和3年8月17日
陸上自衛隊第316会計隊(木更津駐屯地)
国際携帯電話、ポケトーク及びグローバルWiFiの令和8月23日~9月17日の間、借上げ
https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/kaikei/eafin/koukoku/20210817-316B-0130.pdf
この調達に注目したのは、適用範囲に第1ヘリコプター団がジプチ等で用いると記載されていることだ。
ジプチと言えば、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号)に基づき、派遣海賊対処行動航空隊 (DAPE)と派遣海賊対処行動支援隊 (DGPE)の拠点があるところである。
陸上自衛隊はDGPEに基地業務と警護を目的として人員装備を派遣している。
ここまでは分かるのだが、問題はこの仕様書を作成したのが、第1ヘリコプター団の第3科(3科は作戦担当)であることだ。
海賊対処を行っているのは、海上自衛隊の護衛艦と、ジプチを拠点とするP-3C哨戒機である。またジプチへの輸送任務として航空自衛隊のC-130HとKC-767が参加しているところは、良く知られているところだ。
しかし、第1ヘリコプター団が保有するCH-47JA、UH-60JA、LR-2、EC-225LP及びV-22のいずれも参加していない。
第8次派遣海賊対処行動支援隊のDGPEに平成29年8月~平成30年2月の間、隊員の派遣を行っているが、これは部隊としての参加ではないし、個別に国際携帯電話を必要にするとも思えない。ジプチの拠点そのものに通信設備があるからだ。
第1ヘリコプター団
https://www.mod.go.jp/gsdf/crf/heridan/mission_activity/index.html
第1ヘリコプター団は、第1空挺団や特殊作戦群や、相浦駐屯地等に駐屯する水陸機動団等と密接に連携し、空中機動を行う部隊である。どう考えても海賊対処とは関係がない。
そうなると他に何があるかということになる。ジプチに近いところであれば、エチオピアの内戦があるが、これは部族間の争いで、これがジプチにまで波及することはないだろう。パレスチナを巡る問題はイスラエルが圧倒的に優勢であるし、イエメンのフーシ派を巡る動きも大きな動きはない。イランの関与を巡る船舶攻撃も武力紛争とまでは言えない。
少々、ジプチからは遠いがアフガニスタンの情勢がやはり逼迫していると言える。ここ数日でカブールが陥落して、米国をはじめとする各国の外交団も脱出を始めている。日本の大使館も縮小したとは言え、最小限残留しているし、国連関係者や民間人も少なからず居るだろう。
この仕様書の作成年月日は7月27日である。起案から決裁まで1~2日掛るだろうから25日ぐらいには検討に入っているだろう。7月の下旬と言えば下のような状況だ。
4月下旬から米軍は駐留部隊約2500人が段階的に帰国を始めており、NATO軍も同時期に撤収を開始している。それ以前からタリバンの攻勢は2月時点で国土の52%を支配下に置き、ヘルマンド州では5月だけで900件以上の攻撃を行っていた。各国軍の撤収がタリバンの動きを加速することは容易に予想できる。
6月8日には武装集団が地雷除去作業中の英非政府組織(NGO)メンバーを襲撃し、10人が死亡する事件も発生している。
我が国の報道でも産経が「アフガン、外国軍撤収でタリバン攻勢 2021/6/15 20:57」、日本経済研究センターが「アフガン情勢、再び不安定化へ―米軍撤退で力の均衡崩れる 攻勢強めるタリバン、「イスラム首長国」樹立目指す 2021/07/13」と言った記事を掲載している。
このような状況になれば、邦人輸送という話が出て来てもおかしくない。邦人輸送であれば航空自衛隊の特別輸送隊が話題に上るが、法律改正で陸上輸送も行えるようになり、陸上自衛隊が出て行く可能性も高くなっている。
第1ヘリコプター団は、第1空挺団などと共に、以前は中央即応集団の隷下にあった部隊であり、現在では陸上総隊の直轄部隊として緊急事態に備えている。
当然のことながら検討をしているだろう。いつ命令が下るか分からないからだ。調達するということは予算を執行するわけだから、陸上総隊はもちろん政府からも準備の指示が出ている可能性が高いだろう。
ジプチは、些かアフガニスタンから遠いが他に拠点もない。実行となればパキスタン辺りの了承が必要になるが、それまでの待機場所という可能性もある。そもそもジプチ等となっている。
ヘリコプターの航続距離が短いのが問題であるが、停泊中とは言えCH-47が、輸送艦おおすみに発着艦したことならある。
腹に響く重低音・海上自衛隊[JMSDF]輸送艦「おおすみ」に陸上自衛隊[JGSDF]大型輸送ヘリコプターCH-47J着艦・発艦 IN 宿毛湾港
https://www.youtube.com/watch?v=F5AOf3vMg60
フィリピンにおける国際緊急支援の時にはヘリコプターを運んだこともあるから、船で運ぶことはできるだろう。いずれにせよ時間はかかるが日本からよりは近い。
実際にやるかどうかは別としても、万が一に備えている可能性は高いだろう。
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(資料番号:16.1.9-2)「ソマリア沖・アデン湾における海賊対処に係る統幕図演ゲームブック」(21.2.27 統合幕僚監部)
(資料番号:16.1.9-1)「ソマリア周辺海域派遣捜査隊 初動捜査マニュアル」(平成22年3月初版 平成22年7月改訂 国際刑事課海賊対策室) *(資料番号:10.9.3-2)再開示。
(資料番号:15.10.29-1)「Report of the Secretary-General on the situation with respect to piracy and armed robbery at sea off the coast of Somalia」(S/2015/776)
(資料番号:15.2.24-4)「アフガニスタン戦争に関する国際法上の評価―付随的損害と均衡性原則―」(防衛研究所平成23年度基礎研究成果報告書)
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(資料番号:14.9.12-1)「ソマリア沖・アデン湾海賊対処活動についての基礎資料」(2012年8月1日 統合幕僚学校国際平和協力センター)
(資料番号:14.6.17-1)「軍隊による在外自国民保護活動と国際法」『防衛研究所紀要』第4巻第3号(2002年2月)掲載
(資料番号:14.6.17-2)「『周辺事態』における米軍の後方補給上の要請と我が国の対応について」『陸戦研究』2004年12月~2005年2月号 連載(3回)
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