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ICBM迎撃にSM3の限界と空中発射化の提言

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(画像はイメージ)

 ICBMに見立てた標的のミサイル迎撃にイージスシステムのSM3ブロック2 A が迎撃に成功した。
 しかし、この結果は、SM3ブロック2 Aの発射位置がICBM が近傍に落下してくる極めて限られた範囲にあるときのみ可能と言えるものである。
 したがって、SM3ブロック2 A でICBMを迎撃するには、事前にどこに配置するかを決めておかなくてはならず、限定された能力に過ぎない。
 広い範囲を防護するには、発射装置そのものが素早く動かなくては 対応できない。
 三菱重工などは航空機搭載兵器の知見も多いだろう。SM3ブロック2 Aの空中発射化を検討してみるとよい。


〇ICBM迎撃の概要
 時事通信社が「米国防総省ミサイル防衛局は17日、日本と米国が共同開発したイージス艦搭載迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」による大陸間弾道ミサイル(ICBM)迎撃に成功したと発表した。」と報じた。
https://mail.aol.com/webmail-std/ja-jp/basic#
 この成功を報じた記事において「米国はICBM迎撃用として、地上発射型迎撃ミサイル(GBI)しか保有していなかった。SM3ブロック2Aを迎撃に使えることで、重層的な防衛が可能になる。」と結論付けている。
 まず、この迎撃実験について押さえて置きたい。
 太平洋のマーシャル諸島クエゼリン環礁にあるミサイル防衛実験施設からICBMに見立てた標的のミサイルが打ち上げられた。
 今回の実験では2基の衛星が、この標的ミサイルを捉えている。この衛星のデータを始めとして、各種の追跡データがC2BMC(Command, Control, Battle Management and Communications)と呼ばれる指揮管制システムに送られ、同システムが発射指令をハワイ北東の海域に配置されたイージス艦「ジョン・フィン」に送り、同艦は、その指令を受け、SM3ブロック2Aを発射し、標的を破壊した。
 この一連の迎撃の仕組みについては長くなるので詳しくは「軍事とIT 弾道ミサイル防衛とC2BMC」を参考にすると分かり易いから、そちらを見て頂きたい。
https://news.mynavi.jp/article/military_it-7/
 また迎撃実験の状況は「VIDEO: MDA, Navy Down ICBM with Destroyer-Launched Missile Interceptor」で確認できる。
https://news.usni.org/2020/11/17/video-mda-navy-down-icbm-with-destroyer-launched-missile-interceptor?utm_source=USNI+News&utm_campaign=3c764b3f12-USNI_NEWS_DAILY&utm_medium=email&utm_term=0_0dd4a1450b-3c764b3f12-230453081&mc_cid=3c764b3f12&mc_eid=d74fe7afc3
 この実験の結果によって、SM3ブロック2AをICBM迎撃に使用できる可能性が証明された。
 しかし、これが有効と言えるのかについては疑問がある。


〇効果的ではない理由
 そもそもSM3ブロック2Aは、中距離弾道弾(MRBM)に対処するためのミサイルである。そのSM3ブロック2Aが対象とするMRBMに比べ、ICBMの目標への突入速度は大きく上回っている。MRBMとICBMの突入速度の差は、極めてSM3ブロック2Aによる要撃可能な範囲を狭めるものなのである。
 弾道ミサイル対処に限らず、移動体を撃とうとすれば現在の位置に向かって撃っても、目標の居た位置に到達するまでに目標は通り過ぎてしまうから命中しない。
 目標に命中させるためには、見越し角と言って、目標と弾が衝突する位置を予測して先回りした角度だけ移動先の方向へ向かって撃たなければならないわけである。
 高速の計算機を用いて、その見越し角は計算されるのであるが、簡単に言うと目標と迎撃ミサイル双方の進行方向に定規を当てるようなものと考えればよい。
 その双方の定規の目盛りは経過時間ごとの移動位置の間隔となっている。その定規の同じ経過時間の目盛りの位置で二つの定規が交差するように、空間中の定規の向きを変えるわけだ。ただし迎撃側が変えることができるのは、目標の方ではなく、迎撃するミサイルの方の定規となる。
 その同時刻の目盛りの位置の交差によって定まる定規の方向にミサイルの進路を向ければ命中できるわけだ。ちなみにミサイルは常にフルアクセルなので、速度で調整するということは普通はやらない。
 目標が戦車や軍艦のような遅いものなら、それ程問題にはならないが、ICBMの様に極めて高速なものの場合、その二つの定規の同じ経過時間の目盛りを合わせることが不可能になってくる。
 もし高速の目標が自らにまっすぐ向かってくる場合なら、迎撃ミサイルの速度はいくら遅くても命中可能だ。速度0でも良いが、それは相手に撃たれたことを意味するだろう。戦車の装甲はその考え方を実現したものと言えるかもしれない。
 目標の経路がまっすぐから横にずれるにしたがって、見越し角が大きくなり、次第に後追いになり、追いつかなくなる。つまり迎撃が不可能になるわけだ。
 このようなことから今回の迎撃実験は、SM3ブロック2Aを発射したイージス艦「ジョン・フィン」の位置を、標的となる模擬ICBMの経路に非常に近づけておいて行ったことが容易に予想できる。
 ICBMは極めて鉛直に近い角度で落下してくるので、途中の経路の高度は非常に高くなるから、高度の低くなる落下地点の近くにイージス艦「ジョン・フィン」がいたということだろう。そうでなければSM3ブロック2Aのキネティック弾頭は、模擬ICBMの経路の垂直高度に届かないだろう。
 要するにSM3ブロック2Aが有効となるのは、その発射位置が、ICBMが近傍に落下してくる極めて限られた範囲にあるときのみ可能と言えるのである。
 ちなみに、同じことは航空自衛隊が装備しているPAC-3にも言えることで、しばしばイージス艦のSM3が撃ち漏らしたときに、PAC-3で迎撃すると説明されるが、それが可能なのは半径十数キロ程度と言われている。つまり撃ち漏らしに対処可能なのは極めて限られた地域だけで、事前にどこに配備して置くかは重要な問題となる。しかも移動中と、迎撃のための準備活動間には発射できないから、迎撃する随分前にどこに配置するかを決めておかなくてはならない。
 北朝鮮などの日本に近い位置の国から、あえて長射程のICBMをロフテッド、すなわち野球の外野フライのように高く発射されると、落下してきたときの突入速度が大きいためにPAC-3の迎撃可能なフットプリントは数キロもないかもしれないし、後追いになって予想要撃点の高度がマイナスということになるかもしれない。もちろんPAC-3は地下を飛翔できない。

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