google-site-verification=bsh9Vc0JE-gs5XhAa5d60ynarygvmIr38GwKW8JySfM

「おおすみ」が不具合で佐世保入港 乗組員で対処不能 大規模なら民間工場に外注か 南西方面防衛に艦艇修理能力不可欠

アーカイブ
カテゴリー
広告
Loading...

 先の2つの資料からは、主機の故障の可能性が高いと読み取れる。しかし、頻度の多い故障ばかりするわけでもない。もし、主機以外の故障だとすると航行不能になる可能性もあり得る。「おおすみ」は主機もスクリューも2つあるので航行できないこともないが、片方が止まってしまえばかなり速度が遅くなるだろう。可変ピッチということだから故障側の回転を止めることはできるかもしれない。さもないと故障が酷くなることもある。不具合の兆候ということなら、航行可能な状況での異常音などもあるだろうが、その原因を洋上で調べるのは分解などを伴い難しいのではないだろうか。
 海上自衛隊に限らず、艦艇は、洋上を航行するから簡単に支援を得ることができないため、乗組員だけで通常の故障に対応できるようにしている。交換部品もある程度積載しているだろう。
 ディーゼルは、ガスタービンに比べれば、機関そのものを交換しなくても修理し易い。ガスタービンの場合は、むしろパワーユニットを交換することが前提となる。
 自力航行はしているが、佐世保に入港したということは洋上での修理が自力では如何ともし難いということである。主機の故障なら、部品交換などで対応できる場合も多いだろう。原因が不明でも交換することで故障部位を特定することはできる。それができない状況であることも考えられる。
 現在、自衛隊は高段階整備を企業の役務に依ることが原則ではあるが、海上自衛隊には各地方大に造修補給処を持ち、様々な工作部門を保有している。ただし、自前の船渠を持つのは大湊だけであり、ある種の(潜水艦と鋼製ではない)艦艇を除いて行う4年に一度の(例外に該当する艦艇は3年)定期修理は外注するなど、独自に可能なことは限られる。
 佐世保の支援を受けなければならない状況になっているとするなら、主機でも分解整備が必要になっているのかもしれない。減速ギアの歯の損傷などになると、もはや外注による修理しかなくなるだろう。31日も調査中ということであるが、その続報はない。佐世保に入ったということは、かなり重症なのかもしれない。これは長引く可能性が高いだろう。続報がないので分からぬが、数日掛けているということは、原因が追究できず、メーカーからの技術支援を得ている可能性もある。

〇南西方面の弱点

 今回の不具合によって、訓練は縮小して行われるそうである。もし防衛行動中であれば作戦中止とも言える状況である。大型輸送艦が参加できなくなれば、相当な戦力ダウンだからだ。
 本ブログの記事「海自は八重山軽視? A2AD VS ASB 陸自ASMに期待  長距離輸送と港湾護衛 三井造船らの自律型海上輸送システム」https://sucanku.xsrv.jp/0000024-2/432/ でも触れたが、南西諸島での艦船の補修能力は乏しい。乗組員が対処できない故障となれば、少なくとも佐世保まで戻る必要がある。
 今回の「おおすみ」の行く先は、沖縄本島の金武町にあるブルービーチであった。都市化した沖縄本島であっても、小規模な造船所が浦添と糸満にあるだけで、大型艦艇を修理できるような企業はない。
「イプロスものづくり」を見ても沖縄県内の機械産業は数える程である。
https://www.ipros.jp/ranking/company/area/prefecture/47/
 宮古島には下のように浮きドックを有する会社はあるが、これも5千トンクラスである。
株式会社大米産業
http://www.yonewa.co.jp/category/news/
 他の島には見るべき機械製造企業そのものがない。
 自衛隊の正面が北方から南西へと移ったと言われて、既に久しいが北方以上に艦艇に対する支援能力は少ない。
 海上自衛隊としても、この方面で修理能力があるのは佐世保造修補給処しかない。大規模な修理となれば近くの民間の造船所に依拠することになるだろう。艦船施設を米軍からの返還地に造成する計画はあるようだ。
「米軍が佐世保・崎辺東地区を返還 防衛省、艦船施設整備へ 西日本新聞2021年01月29日06時00分」
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nishinippon/region/nishinippon-1000685650
 しかし、想定される正面は南西方面である。沖縄本島ですら述べたとおりで、先島、八重山方面には何もない。
 旧帝国海軍には工作艦があった。これにより応急処置を行い損傷を負った艦船を、内地まで戻すことができた。しかし、現在、工作艦に類するものは海上自衛隊にはない。
 もし、本気で南西方面での防衛を考えるなら浮きドックぐらい保有する必要があるかもしれないが、自衛隊には米海軍横須賀修理廠の様な組織もない。せめて民間船舶の改造でもよいから工作艦のようなものが必要ではないだろうか。人員については役務契約で民間造船所に請け負ってもらうしかないだろう。
 下の様な宮古島に浮きドックを保有する企業を平時から把握し、賃貸契約なども考えておく必要がある。
「株式会社山本精工所」
http://y-seiko.jp/publics/index/34/
 さらに海上保安庁第十一管区海上保安本部の船舶技術部との連携体制を整えたり、中共との本格的な衝突の状況まで考えれば台湾との協力関係も進めておくべきだろう。
 いずれにせよ南西方面、特に先島、八重山方面の防衛を考えれば現地での艦艇の補修能力は不可欠だろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


%d人のブロガーが「いいね」をつけました。