〇影響は
銃身などの材質にステンレス鋼を使っていない限りは、銃としての性能に影響を与えるところはないだろう。もし、使用しているのであれば、海水を浴びた際には特定部品を交換することを前提としているかもしれないし、数年単位や弾数管理上での定期修理などが最初から規定される可能性がある。
機関部のバネには、ステンレス鋼が比較的使われている可能性はあろう。通常使用なら、大きな影響はないと思われる。他部品への接触面も限られる。
いずれにせよ銃身の腔内には、発射時に高温と発射ガスや発射薬の未反応の残渣が高圧高速で衝突し、金属内部に嵌入する。現役時にも散々やったが、射撃日から3日間、銃口内を洗浄液で洗い、防錆油を塗布することを繰り返した。要するに微細な嵌入孔に油を浸透させ溶かしだすわけだ。また、旋条溝に弾丸が食い込んで通過するわけであるから摩耗も生じる。
銃身腔内は、このような高温高圧などの過酷な環境を前提としているから、表面処理だけでは限界がある。なにか新技術が採用されている可能性もある。使い易さではクロムモリブデン鋼が優れていると思うが、例えば腔内表面に油分を含侵させたようなものを使うなどが考えられなくもない。現在では粉末冶金の技術が向上しているから、初めから浸み込む空隙を作り、インナーとしてはめ込んでおくとか、内部をコーティングしているようなこともあるかもしれないが、まったく分からない。
水には強くなったが、他の点で弱点が生じている可能性もある。部品によっては、交換が前提となるものもあるかもしれない。通常、小火器は使われる年数が他の武器に比べて長く、博物館に入っているようなものが現用で使われていることもある。そう頻繁に部品交換をするものではなかったが、これからはそうも言えない時代になるのかもしれない。
不明点が多く、まとまりのない結論だが、興味深いところであり、今後も注意して見てゆきたい。
豊和工業 HP
日本製鋼所 HP