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東芝新開発の磁性材料は誘導モーターの性能向上、改良点は軍用にも重要

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(画像はイメージ)

 東芝が新たな磁性材料を開発した。この材料は誘導モーターの性能を飛躍的に向上させる可能性があるものである。最近まで直流モーターが、モーターの独壇場だった。 直流モーターは、低速時のトルクの大きかったからだ。 しかし高速回転ではトルクが低下して、使用が困難なので交流モーターが必要となってきた。

 割合最近まで直流モーターが広く使われてきたのは、交流の周波数制御が困難だからであったが、技術の進歩がそれを解決した。

 交流モーターにも、誘導モーターと同期モーターがある。 誘導モーターは磁界の移動位置より遅れて回転子が回転する、ことからロスが多いが、負荷が掛かるとトルクを発揮しやすい。構造が簡単で、取り扱い容易、安価で堅牢である。

 同期モーターは、誘導モーターの様な遅れが無く効率が良いが、負荷が掛かると脱調を生じた。また、かつては回転子に電磁石を組み込むのが難しかった。強力な磁性材料が発明されたことにより、永久磁石を使うことができるようになって、回転子に電磁石を組み込む課題が解消された。ただし、その性能は永久磁石の磁性材料の性能に左右されてしまうことになるし、高価で貴重である。

 東芝の開発した磁性体は、誘導モーターの弱点を埋め、同期モーターに近づけるものであり、同期モーターに比べ使いやすい誘導モーターが更に使われる余地を大きく広げたと言ってよかろう。これにより改良された点は軍用に用いるには重要な要素と言える。

〇東芝の新技術

 東芝が新たな磁性材料を開発した。この材料は誘導モーターの性能を飛躍的に向上させる可能性があるものである。「新開発の磁性くさびで誘導モーターの効率を向上、永久磁石モーターに迫る」
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/spv/2012/04/news051.html
詳しくは、上の記事を読んでもらいたいが、この新技術について解説をしたい。

 東芝が開発したものは、改良された鉄コバルトホウ素シリコン系の磁性体である。永久磁石モーターというのは直流モーターか、交流同期モーターを指すのだが、それは後で述べる。永久磁石については小学校の理科の授業でも扱うから説明するまでもないだろう。 磁性体というのは早い話、磁石になり易いもののことだ。例えば一般的な鉄が磁性体に該当する。ただし、磁性体にも性質の違いがあって、外部から磁力を受けると一時的に磁石になるが、外部の磁力がなくなると、すぐ自らの磁力を失うものや、一度、外部からの磁力を受けると磁石としての性質を長く維持し、永久磁石となるものなど様々である。

 磁性体共通の特性として、磁力線を集めることがある。磁力線というのは、一言でいえば、砂鉄の上においた磁石の周りにできる線のことである。N極からS極に向かって線となり、磁石の内部に入って、反対極でつながり輪となる。磁力線を磁束という単位を使って本数で示すが、磁力線は抽象的なもので、もちろん目で見て数えられるものではない。先の砂鉄の線も、磁力の強さに比例はするものの、そのまま一本二本と対応しているものではない。磁力線の本数が多い程、一般的には良い磁性体となる。

  鉄コバルトホウ素シリコン系とあるが、鉄やコバルトなどは古くから磁性体として知られている物質である。

 因みに、磁性体の開発で、日本は第二次世界大戦前から世界をリードしてきた。今日、広く使われているサマリュート・コバルトは、昭和後半に、歌人で知られている俵万智さんのお父さんが発明したものである。平成に入ってからネオジムが発明されよく知られている。

 今回、東芝が開発したものは、強い磁石ではなく、一時的に磁界のある時だけ磁石になるものであるが、今、説明した磁束を多数通す。すなわち透磁性が良好な物質なのである。

 開発されたものについて「アモルファス(非晶質)構造の扁平磁性金属粒子を並べた」と記事中で説明されている。どういうことかというと、金属は熱を加えると「湯」と呼ぶ液体となるが、この「湯」を冷やすと、先に「凍った」ところに同じ金属の成分を集めて結晶を作るのである。ちなみに金属以外の混入していた成分、つまり「不純物」は追い出されて、同じもの同士で結晶を作る。沢山の金属の氷が「湯」中にできるので、結晶が沢山できてしまう。この結晶だらけの塊が普通の金属である。

 ブリキの板を見たことがある人が多いだろう。表面にパズル状の模様がある。あのパズル状の区画が結晶だ。これは表面の錫が結晶となったものである。鉄鋼も、インゴットにしたときにリムド鋼だと、インゴット鋳型に近いところに沢山の結晶ができている。インゴットの鋳型から熱が逃げて先に鉄鋼が「凍った」ところなのである。内部はゆっくり冷えるから結晶が大きくなって一様の塊となる。

 ところが「湯」を急冷すると結晶ができないのである。冷凍食品を多くの人が知っていると思うが、冷凍食品も急冷して作る。肉や野菜を、ゆっくり冷やすと文字通り水の氷の結晶が内部にできて、要するに雪の結晶のようにトゲトゲの結晶になる。氷の結晶は肉や野菜の細胞を突き破って壊してしまうから、解凍すると食感などが失われてしまうが、急冷すると細胞が壊れずに食感が維持されるのである。 冷凍食品同様、「湯」を急冷して、結晶ができていない状態をアモルファス(非晶質)構造という。実はガラスもアルファモスだ。見た目は固体であるが、実は液体がそのまま固まったものである。結晶の中には金属の原子が一様につながっているのであるが、実はこの原子一つ一つが磁石となっている。この原子の向きがそろっているほど強い磁石となる。その同じ向きの纏まりの部分を磁区という。磁区が球に近いと磁区同士の方向がそろわないので、扁平にしたというわけだ。パチンコ玉には向きがないが、コインは重なるのと同じことである。

 今回の東芝による開発は、単に磁性体を開発しただけではない。モーターには電線のコイルを巻いた電磁石が使われている。おそらく電線を巻いてモーターを作った経験のある人も少なくないだろう。先ほど説明した透磁性の高いものにコイルを巻くと強い電磁石になるから、鉄心に電線を巻き付けるのであるが、その時は棒状の鉄芯に巻き付けたのではないかと思う。ちなみにこの鉄心をヨークと呼ぶ。実用のモーターのヨークは、棒状にはなっておらず回転軸に沿った円柱や筒状になっている。棒状にコイルを巻きつけると磁力がそこだけ強くなって、回転がなだらかにならないからだ。円柱や筒の表面に溝が彫られていていて、溝の中にコイルを押し込んでいる。押し込まれたコイルが外れると困るので蓋をするが、脱落防止の蓋に、開発したアルファモスの磁性体を使うというのが今回の開発の要点なのである。

 従来は、これに非磁性体の単なる蓋が使われていたが、蓋の所だけ磁力線の本数が減ってしまう欠点となっていたのである。蓋に磁性体を使うことで回転が滑らかになり、結果的に高い効率で回転するモーターをつくることができるようになったというところがミソである。駆け足するとき片足が故障していると力が入らず、速く走れないのと同じことだ。従来のモーターは、足を引きずりながら走っていたようなものだったのである。

 今回の開発について、誘導モーターの効率を改善したとあるが、それはモーターの歴史を説明してからの方が分かり易いと思うので後ほど説明する。

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