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潜水艦「そうりゅう」が衝突 浮上訓練必須 音波が逃げる 聞き違え ソナーの限界 潜望鏡の遠近感 スクリュー後流と舵

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〇回避は不可能だったか

 潜望鏡を上げてから船舶を認識したという話で聞いているので、例えば電波探知機であれレーダーであれ、潜望鏡深度に浮上しなければ使えないので、結局、衝突という結果は避けられなかったと思う。

 しかし、発見時点で衝突を回避できる可能性は万に一つもなかったのだろうか。
 そうりゅう型には2つの潜望鏡がある。一つは光学式でもう一つはテレビカメラである。テレビカメラにしても光学系を使っていないというわけではない。カメラ自身にはあるのだが、カメラから艦内にケーブルで画像信号を送っているということである。ただし、画像の拡大などを電子処理で可能にはなる。
 海では、一般的に遠くを見る必要があるので、使用する倍率は高めとなる。広くを監視する必要があるから倍率を低く変えることもできるが、陸上で物を見る様な近距離は想定外である。潜望鏡で自撮りなどするわけないからだ。
 望遠の画像というのは、写真撮影をしたことのある人なら分かると思うが、距離感が分かり難くなる。近いものも遠いものも、同じところにあるように見えるのである。しかも、向きが分かり難くなる。被写界深度といってピントがあう範囲も狭くなる。もちろん倍率を下げれば、それなりに距離感は出て来るが、
 距離感は、例えばステレオ式にすれば視差によって分かることもあるが、人間の左右の目の視差ぐらいでは洋上では効果がわずかで、かといって大きく視差を取るようなものを小さなセイルに収めることはできない。
 視野も狭いから、いきなり目前に5万総トンの鉱石運搬船が現れれば、潜望鏡一面、大きな壁にしか見えない。つまり、どちらに回避すれば良いかを咄嗟に判断はできないと思われるのである。
 レーダーは、距離を測るにはすぐれた手段であるものの、近距離での測距には向かないし、電波を出すことは秘匿が必要な潜水艦の場合は基本的にご法度である。AISも基本的にトランスポンダだから、潜水艦から電波を出さねば応答は来ない。
 民間船舶も航海レーダーを使用しているから電波探知機で捉えることはできるが、音波の場合と一緒で、同時二か所から受信できない限りは、自ら動かない限り距離は分からないのである。
 したがって相互の動きを瞬時に把握することは不可能となる。もう少し衝突までの時間に余裕があれば、互いの見通し線の方向に変化があるかどうかを見ることで衝突するか否かが分かる。もし、この角度が変化していない場合で、距離が近づいているときは、そのまま進むと衝突に至るコリージョンコースと呼ぶ経路を辿るのであるが、それが判断できる余裕は元々なかった。
 もし仮に分かったとしても、船が舵を切って、針路が変わり、艦船が旋回を始めるまでは時間が掛かる。
 そうりゅう型は、X型の後舵を持つことが特徴であるのだが、これで浅いところでも長い舵を海底などに擦ることなく、斜めに伸ばして舵面積を増やすことができ針路を変えるのに有利である。
 船の進路の変え易さは、全長と全幅の比が関係していて、全長の割合が全幅より大きい程、針路を変えにくい。涙滴型艦形になるまえの日本の潜水艦は全幅の10倍程度の全長であったが、涙滴型になると8倍程度になった。そうりゅう型では9倍程度になっている。その点では不利となる。
 また涙滴型になって以降の潜水艦全般に言えることであるが、スクリューの位置が舵の後ろになった。これによってスクリューからの後流を舵に当てることができなくなったのも不利になる。
 針路を変えても、進行方向と針路がずれて傾くことで船体そのものに水流が当たり、動圧が作用しなければ旋回は始まらない。潜航中の潜水艦は船体すべてで動圧を受けるので、水上艦船よりは有利だろう。
 様々な要素があるものの、排水量3000tほどもある船体は慣性力が大きいから旋回を始めるまでの時間が大きく短くなるとは考えにくい。
 やはり衝突は避けようはなかったのではないだろうか。

〇まとめ

 全没潜航中でも水上の艦船の動きを把握できる手段を得ることができない限り、衝突は難しいのだろう。特に直上の状況は分からないようである。
 全没時に使うことができるセンサーが水中聴音機しかないことが問題である。水中伝搬性の良い青緑色メーザーぐらいがあっても良いかもしれないが、被探知性を阻害しない程度の出力に抑える必要がある。また、このブログで取り上げたばかりであるが、磁力を用いることも、性能向上により可能になるだろう。
「ASW音響から変わるか 産総研Diamond量子センサ 室温高感度 D range百倍 掃海具識別磁気機雷 脳波等感応地雷も」
https://sucanku.xsrv.jp/0000026/467/
 潜望鏡で確認した後の回避能力もあるに越したことではないが、今回は回避は難しかったと思われる。もちろん、回避能力が高い方が良いに決まっている。潜望鏡に、同軸の低出力のメーザーなどがあってもよいのではないだろうか。遠方まで伝わらず、指向性も高いからほぼ該当船体から他方へ漏れずに反射するため秘匿性を阻害しずらいと考えられる。

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