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(画像はイメージ)
現代においても海底の大部分について、海底地図の記載精度の最小分解能は2km四方である。
現在AUVを用いての海底地図を作成する国際大会などが行われていて、近い将来、AUVによって広い海域の測量は可能になるだろうが、複雑な海底地形に適用するのは難しいので、水上の艦艇からケーブルでつないだRОVを用いることになるだろう。
軍用として測量する場合、企図を秘匿することが作戦遂行上有利であるから隠密に実施したいところであり、あからさまに艦艇からケーブルを垂らしてRОVを運用するのも難しい。
しかし作戦実施上、艦艇の座礁の危険を防いだり、海底地形の把握は不可欠である。
理研と株式会社リバネスの研究チームがシビレエイを用いて海底地形を測量する実験を発表した。
底棲生物を用いることで複雑な海底地形の隠密測量が可能になるかもしれない。
〇海底地形把握の現状
現代においては、地表はもちろん、月面でも一部の小惑星でも微細な地図が作成される時代となった。しかし、海底の大部分については、最小分解能が2km四方であるのが現状である。つまり直径2km程度のドットで印刷された地図しかないのが現状である。これでも重力によって衛星の軌道のずれが生じることを利用して地形を推測できるようになって以降に可能になったことで、それまでは船舶の航路などだけ微細な海図が作成されていたに過ぎない。
近年、自律的なAUVによって広い海面を測量しようという試みがなされているが、動力源の面などで制約が大きく、また人の手を介さざる負えない面が多く、完全自動化を実現できないのが現状である。近年、「Shell Ocean Discovery XPRIZE」のようなAUVを用いての海底地図を作成する国際大会などが行われているが、難しいが故に大会となるとも言えよう。
これも、あるていど平坦な海底であるからできることで、複雑な海底地形に適用するのは難しくRОVのようにケーブルを通じて映像を人が見て操縦するしかないのが現状であろう。
〇シビレエイを使った理研の実験
正直なところ、この実験結果がものになるものか私自身評価しづらいが、理化学研究所と株式会社リバネスの研究チームが面白い実験をやっている。
「理化学研究所、株式会社リバネス シビレエイを用いた海底地形探査-底棲生物の特性を利用し海底地形図が作成可能なことを実証-」
https://www.riken.jp/press/2020/20201208_1/
この研究チームがシビレエイを使ったのは、将来的にビンカーの電源として使いたいことがあるようであるが、それが実現していない上に、必ずしもシビレエイがこの作業に向くのかの検討も必要なようだ。
〇隠密測量に使える可能性
AUVによって広い海域の測量は可能になるだろう。しかし、軍用とするには泊地、港湾や上陸地点などは浅く、海底地形が複雑だから人の手がどうしても必要である。とはいっても敵前で強行すれば抵抗されるのは必至であるし、企図を秘匿することが作戦遂行上有利であるから隠密に実施したいところである。このようなことから、あからさまに船からケーブルを垂らしてRОVを運用するのも難しい。
しかし、作戦実施上、艦艇の座礁の危険を防いだり、機雷啓開等のためにも、海底地形の把握は不可欠である。
AUVによる測量が可能なところまでは、AUV自身で測量し、海底に衝突したり、防潜網があって進入が困難なところでは、ビンカーを装着した底棲生物をAUVから海底に発射して、AUVが、底棲生物に装着したビンカーの音源を収集してリモートで測量を行うことは可能かもしれない。
もちろん生き物だから思うように動いてくれるか不確定な要素はあるが、餌をとるために動きまわることは期待できるから、使えるかもしれない。
今後の研究成果を期待したい。
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