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解説記事:加速の大きい固体燃料だったことが北海道着弾誤報に繋がった一つの原因ではないか。

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陸地に落下するとJアラートが発令したのは固体燃料のミサイルであったためではないか。日本政府は令和5年4月13日に弾道ミサイルと思われる物体が北海道南西部の陸地に落下すると予測し、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発令した。しかし、現実には日本の領域はおろかEEZにまでも到達しなかった。北朝鮮は固体燃料型の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射実験を13日に行ったと伝えている。今回のミサイルが加速の大きい固体燃料だったことが誤報に繋がった一つの原因である。初期の加速の部分だけで飛翔軌道を推定せざるを得ず予想外に距離が延び日本の領域に達する予測を出した可能性がある。従来の液体燃料ロケットの場合の加速時間を用いて予想を外した。データがなければこのような誤報はやむを得ない。



 陸地に落下するとJアラートが発令したのは固体燃料のミサイルであったためではないだろうか。
 日本政府は令和5年4月13日に弾道ミサイルと思われる物体が北海道南西部の陸地に落下すると予測し、Jアラート(全国瞬時警報システム)を発令したが、可能性が無くなったとして後に訂正した。
 翌14日、朝鮮中央通信は、固体燃料型の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)火星18」の発射実験を前日の13日に行ったと伝えている。 ミサイル→ 北朝鮮→

令和5年4月13日(木)午前 | 官房長官記者会見
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202304/13_a.html

北朝鮮、固体燃料の新型ICBM「火星18」を13日発射-KCNA 4/14(金) 7:04配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8ef987f8c0cb18a57040a0eafdaa6680cf2f14c

 現実には日本の領域はおろかEEZにまでも到達しなかったようだ。今回も高い山形のロフテッド軌道で打ち上げているから、元々、太平洋まで到達させたミニマムエナジー軌道(地表から上45度角に放つ軌道)のものを除く、従来通りのロフテッドでの軌道を辿ったのではないかと考える。 日本→
 あくまでも推測で証明は出来ないが、弾道ミサイル部隊以外の動きの情報がないなど、今回の発射は諸情勢から実戦とは考え難く、北朝鮮も徒に日本と問題を起こすことを得策とは考えないだろう。一般的に考えられる可能性として日本領域に撃ち込むようなことを行えば米韓軍との間に軍事的緊張を誘発し、金政権の存続に悪影響を及ぼす可能性が高いからだ。
 もし行うなら米韓軍との衝突を考えて全軍に最高度の戦争準備を行わせる筈だ。具体的に裏付ける情報などはないが、もし日本に撃ち込むようなことをして米韓と緊張を高めれば中共とも軋轢を生む可能性があり、北朝鮮も慎重とならざるを得ない。従って日本の領域に撃ち込むようなことは完全には否定できないが考え難い。

 なぜ、陸地に落下するような誤報が起きたのだろうか。これについて報道機関の発信に原因があるのか政府が陸地と言ったのか争いもあるところであり、詳しいことはもちろん不明であるが、今回のミサイルが固体燃料だったことが誤報に繋がった一つの原因である可能性を指摘したい。
 誤報となった理由の一つは液体燃料ロケットエンジンとの違いから生じると考える。液体燃料ロケットは比推力が高い反面、推力を大きくすることには制約がある。それに対し固体燃料ロケットは反対に比推力に制約があるが、推力を大きくし易いのである。
 因みに比推力とは、1ニュートンの推力を維持し続けることが可能な時間()を示す数値であり、燃料の効率の良さを示すようなものである。推力はミサイルを加速させる力のことだ。

 今回、推力の大きくし易い固体燃料ロケットエンジンであったため、ミサイルの初期の加速は従来の液体燃料ロケットエンジンの場合に比べて大きかったろう。
 しかし、固体燃料の場合、比推力が小さく燃料が直ぐに燃え尽きてしまうため作動し続ける時間は短い。したがって長時間の加速を維持出来ないので、結局、到達速度を大きくするのに制約がある。
 情報が不足しているので本当のところは分からないが、今回はミサイルの追跡に失敗しているようだ。従って、その初期の加速の部分だけで飛翔軌道を推定せざるを得ず予想外に距離が延び日本の領域に達する予測を出した可能性があり得ると考えるのである。追跡を外したからと言って、向かって来る弾道ミサイルの軌道推定を諦めることは出来ない。正確な予測のためには継続的に収集分析しなくてはならないが、次善の策として再捕捉に努める必要があるからだ。 分析→

 或は、従来の軌道データを基に追跡をしようとして、予測より加速が大きく位置を見失った可能性もある。弾道ミサイルの軌道を確定できるのは、エンジンが停止した時点であるが、早期に推定する必要があるから予測に基づいて追跡するのかもしれない。そうでなければ必要な警報を素早く発することは困難である。
 喩えて言えば、マラソンのスタートでスタンディングスタートで出走するところ、一人が意表にクラウチングスタートで猛ダッシュしたので、カメラの視野から外れてしまい慌てて先頭集団のずっと先にレンズを向け探したが、その走者は息切れして先頭集団以降に取り込まれて居たみたいな話だ。
 今回は、予測を超える加速だったため、従来の液体燃料ロケットの場合の加速時間を用いて予想を外した可能性があるだろう。

 液体燃料ロケットであれば、固体の場合と比較して加速は緩やかである。ロケットの内部の殆どを燃焼室に使うことの出来る固体燃料ロケットエンジンに比べエンジンの燃焼室の大きさに制約があるからだ。ロケットの推力は燃料が反応する面積に比例するからである。
 しかし、液体燃料ロケットの比推力は大きいので長時間エンジンを作動させることが可能で、結果として固体燃料ロケットより到達速度が大きくなる。
 もし、仮に固体燃料ロケットの大推力を、液体燃料ロケット並みに噴射し続けることが出来たなら北海道に着弾したかもしれない。しかし、固体燃料では比推力が小さいから燃料が燃え尽きて十分な加速ができないまま到達出来ないわけだ。

 固体燃料型の新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星18」の発射実験は初めてであったと北朝鮮自身が公表している。つまり、今までのデータがないということだ。
 データがなければこのような誤報はやむを得ない。今後、もっとデータの収集が必要だ。ということは北朝鮮にもっと発射実験を行ってもらわなければならないということになってしまう。もし北朝鮮からミサイルを買うことが出来ればこちらで試験発射して実験出来るのだが。
 真理だと思うが、さすがに日本政府はそれを言えないだろう。

 なお、今回の発射では1段目のみをミニマルエナジー軌道で発射している。おそらく第1段ブースターを海上に落下させるための処置だろう。発射地点や弾着地点が限られるので、このようなことをしたのだろう。その辺の事情についてはこちらに書いたので参照して欲しい。また下のがそれに関する記事である。 海上→

「消えた」北のミサイル 防空網突破へ角度変更 2023/4/14 19:20 時吉 達也
https://www.sankei.com/article/20230414-3VRTGNRG6ZJRVE4BDR4POHI4P4/?utm_source=newsletter&utm_medium=20230414&utm_campaign=20230414&utm_content=news

https://ofuse.me/sucanku

軍事問題研究会関連資料の紹介 関連資料として以下を所蔵しておりますので応談承ります。なお在庫切れの場合はご容赦下さい。お問合せはこちらへ。
なお、「ミサイル」に関する資料についてはこちらです。
(資料番号:22.11.20-2)「研究瓦版(3-51)中国による部分軌道爆撃システム(Fractional Orbital Bombardment System: FOBS)の試験について」(2021年12月20日 航空自衛隊幹部学校航空研究センター)
(資料番号:19.8.26-2)「人工衛星の軌道上での第三者損害に対する政府補償の在り方(中間整理)」(2018年12月20日 宇宙政策委員会宇宙法制小委員会)
(資料番号:16.9.8-2)「〈38ノース〉北朝鮮、SLBM発射実験は固体燃料システムか」『基礎情報隊資料』(陸自基礎情報隊)2016年5月配信記事
(資料番号:12.11.24-2)「液体式ロケットエンジン」
(資料番号:11.8.20-2)「ロシア、ウクライナおよび旧ソビエト連邦の液体推進剤(燃料)ロケット・エンジン」

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