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イージスアショアの代替には迎撃専用艦ではなく、改造商船を傭船すべきだ。

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イージスアショア代替案として迎撃専用艦建造案が浮上している。
これは自衛艦である必要はなく、商船を改造し、傭船とすればよい。
イージスシステムの操作だけを自衛官が行えばよいのである。
自衛艦でなければ、自衛官が航行に関する作業にあたる必要はないから、民間の海運会社に委託すればよい。
商船をベースにすれば、船員も取り扱いになれている。
そもそも、イージスアショアの代替であり、ほとんど動くことがないのであれば、自衛官を船の操船に貼り付けておくのは人件費の無駄である。

〇イージスアショアの代替案
イージスアショア代替案として迎撃専用艦建造案が浮上している。この案の意図は、従来のイージス艦と比べ、弾道弾対処に特化させるため、建造費用や人員を節約できるというものである。注意して読めば、この案は、専用艦と称しているとおり自衛艦に固執している。固執するのはなぜだろうか。そもそも自衛艦とする必要はあるのだろうか。


〇自衛艦である必要があるか。
迎撃専用艦建造案はイージスアショアの代替案である。イージスアショアは動くことはないのだから、迎撃専用艦も本来動く必要はない。
検討過程においてメガフロート案というのも検討されたようである。しかし海上では耐波性が問題になってくる。メガフロートは平水海面でしか運用できない。波の静かなときにタグボートで曳航されることはあるだろうが、設置後、周囲を堤防などで保護しなければ、台風でも来ればひとたまりもない。
イージスアショアの配備が中止された理由としては、ブースター落下による被害の問題があった。堤防内や湾内などにイージスシステムの配置が限定されるのでは、陸地が近く落下被害の対策とならないだろう。
また、天候悪化などの際、必要に応じ自力で避難でき、ある程度の波浪に耐え、外海で活動できる程度の航行能力が必要である。その都度、曳航されることが必要では、早めに避難しなければならず、配置につくことができる日数が激減してしまう。
とは言え迎撃専用艦には、イージス艦の本来の目的である艦隊防空を行う必要はないのだから、高速性能などは全く不要である。普段はブースター落下被害の虞やレーダー運用の障害となる地物のない沖合での、鋲泊や低速航行による位置を維持しながらの運用をするのが基本であろう。イージスアショア代替ならば、動く必要はない。
だが、本文で主張したいのは、そもそもイージス艦のような激しく戦闘行動する戦闘行動用の自衛艦である必要がないだけでなく、支援用の自衛艦である必要すらないということだ。すなわち国際的に言う軍艦でなくても問題ないのである。専用艦ではなく、専用船でよい。
弾道ミサイルの迎撃と聞くと、戦闘行為と直結して考える方もいらっしゃるだろうが、そう単純ではない。
自衛隊法の弾道弾破壊措置であれば、そもそも発射実験の際などの落下事故による被害を防止するものであるから戦闘行為ではない。したがって戦闘組織に属する自衛艦である必要がそもそもない。
我が国に対し攻撃意図をもった発射であれば、防衛出動の事態となるが、戦闘行為をするのは、上物のイージスシステムだけである。船は単なるプラットフォームに過ぎず、敵を攻撃するために積極的に運動するものではないからだ。
また、専用船が位置する場所は、敵と直接対峙して交戦をする戦闘地域ではないから、自衛隊法に基づく第1項地域ではなく、第2項地域とされ、従事命令によって民間の船員などに船の操作を行わせることが可能である。イージスシステムの操作だけを自衛官が行えばよいのである。第1項地域になりそうなら本来のイージス艦と交代して逃げればよい。
もし仮に、撃沈されたり、拿捕された場合であれば、難船者については1949年ジュネーブ第2条約の保護対象である。また拿捕された場合、民間の船員も自衛隊の部隊の管理下で行動しているから、同第3条約に基づく捕虜となる資格を持っていることになるから、自衛官でなくても問題はないことになる。
さらに言えば、軍艦は平時の国際関係において、相手国の領域内において主権免除が認められ、艦内は旗国の主権の延長と認められるのであるが、専用船が他国の領域に行くことも考えにくいので軍艦としての資格を保有している必要もないことになる。もし仮に他国の港に停泊することがあったととしても平時の話で別に普通の商船と同じことだ。
以上の点から、軍艦としての自衛艦ではなく、商船としての立場で問題はない。さらに、船を操作する乗組員は民間の委託で問題はないということになる。
イージスシステムには様々な秘密もあるが、船内のエリアを分ければ問題はない。先に述べたように、ほとんど定位置に停止した状態で使うもので、作戦行動する艦船ではなく、行動自体を秘匿する必要もないだろう。従って船内に民間の船員が居てもなんら秘密漏洩にはならない。万が一、何か秘密に触れる必要がある場合にはクリアランスの資格を持つものに扱わせることになるが、それは防衛産業などで普通に行われていることである。ただし敵による破壊活動があるかもしれないから、何らかの関与は必要かもしれない。

〇イージスアショアを導入しようとした理由
そもそも、わが国が、なぜイージスアショアを導入しようとしたがと言えば、海上自衛隊に負担が掛かっていたからである。その解消のため陸上自衛隊に運用させようとしたのだった。
政府の案の内、イージス艦の増加を挙げていたが、これについてはまったく目的を外しており問題外である。
迎撃専用艦としたのは、本来のイージス艦よりは海上自衛隊の負担が小さくなるということなのだろう。しかし自衛艦である以上、負担軽減の効果は小さい。
しかし、自衛艦でなければ、自衛官が航行に関する作業にあたる必要はない。イージスシステムのみ、アショアと同様に陸上自衛官に運用させればよいのである。
余程のことが無い限り、海上自衛隊による護衛も必要はないだろう。

〇商船の改造で十分である。
ブースターが地上に届かない程度の沿岸に停泊させておけばよいだけであるから、耐波性さえあれば、中古の商船の改造で能力的に十分である。
船の運航も民間に委託させるには商船の方が好都合だろう。商船は、自衛艦と異なり船級規格に基づく商船構造であるし、機関も自衛艦がガスタービン化しているのに対して、近年はかなりの大型船でも直結式の低速ディーゼルを用いているから、船員も取り扱いになれている。部品調達も市場での入手が容易であろう。
自衛艦でもディーゼル機関の艦はあるが、減速式やディーゼル・ワーナード方式による中速ディーゼルを用いているから多少の相違がある。
自衛艦はガスタービンの艦もディーゼルの艦も燃料に軽油を用いているが、商船は価格の安いC重油などを用いている。(排ガス規制で状況は多少変わりつつある。)燃料の面でも民間に運用を委託するなら共通化可能である。
そもそも、ほとんど動くことがないのであれば、自衛官を船の操船に貼り付けておくのは人件費の無駄である。民間の船員に委託するにしても、必要最小限でよい筈であり、沿岸で運用するなら、普段は多くの船員は陸上で生活し、必要の都度、交通船で必要なときに運んで乗務してもらえば済むのである。
自衛艦のように一部の企業だけが有している技術はなく、メンテナンス作業にも多くの民間企業が参入できることになる。
このように自衛艦である必要は全くなく、商船を改造した専用船で十分なのだ。

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