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生ワクチン接種は生存 感染増強抗体産生 ウイルス物理的破壊 エアロゾル中は活性維持少数 少量ウイルスで免疫獲得・発病防止

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 生ワクチン以外のワクチンでは、体の免疫系が中和抗体を作るための最小限の情報しか持っていない。まず免疫系が中和抗体を産生するためには、抗原であるウイルスのスパイクタンパクが必要であるから、そのスパイクタンパクの情報を免疫系が得るためには、病原体そのものの情報が必要だ。
 生ワクチンは、いわば手なずけたウイルスであり、変異によって弱毒化したものである。対して、不活化ワクチンはウイルスの残骸であり、mRNAワクチンやベクターワクチンは、脂質や別のウイルスで出来た容器に、スパイクタンパクの設計図を入れたものである。
 細胞にこの図面を渡せば、自動的に自らの細胞膜にスパイクタンパクを作り、T細胞を始めとする免疫細胞の訓練標的となって、それに見合う中和抗体をB細胞に生産させることになる。
 この設計図情報のみを渡す方法は、効率的に中和抗体を生産させることができる。既に作るべきスパイクタンパクの仕様が明確に示されているからだ。細胞は、この遺伝子情報を読み出すだけで、仕様どおりのスパイクタンパクを作ることができる。
 実際にmRNAワクチンであるモデルナのワクチンもファイザーのワクチンも90%を上回る免疫能力を得ている。しかし、細胞には設計図どおりのものしか製造することができない。しかも、その設計図であるmRNAが分解されるまでの有効期間が短いため、同型のスパイクタンパクを作り続けることが出来ないのである。
 もちろん、生産されたスパイクタンパクがある内は、このスパイクタンパクを標的としてT細胞が認識し、T細胞からの指令を元にB細胞が中和抗体を作り続けるが、その産生も時間と共に減少して行く。
 しかも、変異ウイルスが出現すれば、スパイクタンパクの多くの部分が異なり、中和抗体の効果も減少してくることは、デルタ株出現以降の免疫能力の効果の低下が報告されているとおりである。
 理化学研究所と東京理科大学の共同グループは、生ワクチンの場合の免疫獲得機序を発見した。生ワクチン(即ち弱毒変異ウイルス)を経鼻感染させた場合、ウイルスはリンパ節に移行し、胚中心と呼ばれる部分が活性化することを共同グループは突き止めたというのである。
 発表の中で取り上げられた胚中心では、感染や生ワクチン接種によるウイルスを分析し、リバースエンジニアリングを行い、様々な変異株に対応する抗原決定基を持つ広域中和抗体を、開発するというのである。いわば胚中心は研究所である。
 胚中心で濾胞性ヘルパーT細胞(TFH細胞)が指令物質であるインターロイキン-4を分泌し、この指令により、ウイルスの株に応じた抗体の工場であるB細胞を形成させるのだそうだ。TFH細胞はウイルスが複製されることで活性するため、活性化するためのウイルスが必要ということである。
 因みにウイルスはおとなしい。単なる物体だからであるが、そういう訳でウイルスがそこにあるだけでは免疫系には分からないそうである。複製が始めって初めて感染を知るのだ。
 共同グループが、マウスにパンデミック型とは異なる季節性インフルエンザ・ウイルスを感染させて行った実験でも、生ワクチンを接種したマウスの側に免疫が出来、それに対して、不活化ワクチンを用いた側のマウスが死亡したにも関わらず、生ワクチンを用いたグループでは生存した。
 mRNAワクチンや不活化ワクチンの場合、免疫機構は、現在の株のウイルスに対応した仕様に元づく抗体しか作らない。いわばそれらのワクチンの場合は、与えられた部品を設計図どおりに組み立てるノックダウン生産みたいなもので、宿主自らの免疫機構の抗体開発能力が育って行かないということになる。
 そのようなmRNAワクチン等の場合に対し、生ワクチンの弱毒化ウイルスを含むウイルスを取り込んだ胚中央による中和抗体産生は、上のノックダウンの例に対して国産開発に当たるようなもので、免疫機構自ら技術を発展させて行くことが出来る訳である。
 また、中和抗体産生による免疫を体液系免疫というが、これとは別にT細胞からの指令でマクロファージが貪食する細胞性免疫もある。ウイルスの情報は骨髄内のメモリー細胞に蓄えるが、その為にはウイルスそのものが無ければ蓄えようがない。
 別の、大阪大学の荒瀬尚教授のグループの研究で、中和抗体とともに感染増強抗体が作られ、抗体免疫系が逆に作用することも解明されてきた。そのようなことから細胞性免疫がもっと注目されてもよいだろう。

新型コロナウイルスの感染を増強する抗体を発見―COVID-19の重症化に関与する可能性―
https://www.amed.go.jp/news/release_20210525-02.html

〇ワクチンはすぐには間に合わない。

 mRNAワクチンの実用化によって、このCovit-19と呼ばれる新型コロナ禍において、製薬メーカー等は、従来より短い時間でワクチンの完成に漕ぎつけることに成功した。しかし、そのような成功例でもメーカー等は1年近くの開発時間を費やさざるを得なかった。しかも実のところ、ほぼ同時期に開発に成功した、露のスプートニクVはベクターワクチンであるし、シノバックスのワクチンは不活化ワクチンだと言うから、必ずしもmRNAワクチンだけが早かったわけではない。多種のワクチン開発そのものの速度が速くなったのだろう。多種のワクチンが、ほぼ同じ時期に完成したということは、決してmRNAワクチンだけが革新的技術というわけではなく、全部が頭打ちで更なる短時間化は難しいかもしれない。
 先に述べた通り、これらmRNAワクチン等は、ウイルスの株に変異が起きると有効性が低くなる。従ってイタチごっこで、製薬メーカー等は次々に新しいワクチンを開発して行かねばならないことになる。
 一方、生ワクチンによる免疫は、胚中央やTFH細胞の働きにより変異に自動的に適応化することが出来る。その点は優れているものの、生ワクチンの開発は、採取したウイルス自身のランダムな変異による進化と淘汰によるものだ。故に流行しているウイルスそのものの変異と基本的に近いテンポになってしまう。
 要するに、どのようなタイプであれ、常にワクチン開発は、ウイルスの変異の後追いしかできない。しかも早いと言われたmRNAワクチンであっても開発から接種までは、多大な時間を要する。以前よりもかなり速くなったとは言え、結局は新たな変異株を見てから対応するしかないことに違いはない。ウイルスは自然界ではありとあらゆる変異をしているから、実験的に山を当てて手探りで作るにしても宝くじの一等賞が当たるようなものだ。
 したがって、現実的に出来ることは、旧来のワクチンの効果が低いことを承知の上で接種するしかない。旧来のワクチンは、重症化を防ぐことが出来れば良いとはするものの、感染を阻止することは出来ないのである。

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