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中共が海事警察法を1月22日に全人代で採択された。
条文自体は主権国家の海洋当局の組織法として、ごく普通のものに見える。
なぜ、この海事警察法を中共は制定するのだろうか。おそらく、従来、今回制定されたような法律が無かったのだろう。
武器の使用も、拿捕も、何の規則もなく、やっていたに違いない。
中共の政府も黙認していたのではないだろうか。
公海上で国旗を揚げず、海賊とみなされ攻撃を受けても仕方ない行為もあった。
中共は挑発に乗せられることを警戒したのではないか。
一帯一路政策にも影響してくるので、流石に無視できなくなったのではないだろうか。
理論武装化した中共の公船や艦艇に、対処するには、現場の状況を自動で解釈し適切な法執行を行うシステムも必要になろう。
法分野への人工知能の研究も進められている。
〇中华人民共和国海警法
中共が海事警察法を1月22日に全人代で採択されたことが話題になっている。
「中华人民共和国海警法」
http://www.gov.cn/xinwen/2021-01/23/content_5582024.htm
話題の中心となっているのは、試行された海事警察法が周辺諸国を始めとして他国にどのような影響を与えるかである。今回、公表された条文をGoogle翻訳により日本語にして読んでみた。
私が見る限りではあるが、条文自体は主権国家の海洋当局の組織法として、ごく普通のものに見えた。
「在我国管辖海域」(管轄下の海域)という言葉が随所にあるが、その言葉の意味が国際海洋法条約に普通に言うところの領海や排他的経済水域と理解すれば、どの国の海事警察法であっても何ら違和感がない。その言葉の意味について、別段、何処であるかは、条文上記載がない。中共政府が管轄下だと言えば、本法が適用されるまでのことだろう。当然、中共の主張は尖閣諸島や南シナ海の九段線内を含むことは疑いない。
立場は別として、どこの国であろうと領有を主張する海域を自国の施政下であると主張するのは当然なことだ。
〇法戦への布石
なぜ、この海事警察法を中共は制定するのだろうか。中共は従来から人治の国と言われてきた。確かに法整備は近年、急に進めているが、まだまだ未整備の分野が多いと言われている。
おそらく、従来、今回制定されたような法律が無かったのだろう。要するに現場の判断によるところが大きかったに違いない。もちろん都度、中央から方針を示してはいるだろうが、広い海洋で、いちいち判断を仰ぐことは困難である。武器の使用も、拿捕も、何の規則もなく、やっていたに違いない。中共の政府も黙認していたのではないだろうか。
海警は、近年組織改編により複数の組織が合併してできた組織であるが、その元となった組織が、旗国主義など国際法上のことを全く理解せず、国旗を上げずに公海上で取り締まり活動を行ったことが、しばしばあった。これなど海賊とみなされ攻撃を受けても仕方ない行為である。
近年、米軍が「航行の自由作戦」を行うなど、海洋上で他国ともめる事態が増えてきた。
そうなると、まったく国際法を理解しない行為は、逆に口実に使われる虞が出て来る。中共は挑発に乗せられることを警戒したのではないだろうか。
中共は近年軍事大国となり、近隣の小国が、中共の公船の行為に異を答えることは難しいことだ。外交問題になったとしても国際裁判所には強制管轄権がなく、中共は安保理決議に拒否権も持っているから怖いものなしというところなのであろう。
しかし、前トランプ米政権が行ったように、近年、中共は経済上の制裁を受けるようになってきた。一帯一路政策にも影響してくるので、中共も流石に無視できなくなったのではないだろうか。
「超限戦」にも法律戦が主張されている。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E9%99%90%E6%88%A6
中共が、どのように法律を運用するか次第であるが、いずれにせよ従来の衝突は、過失犯に過ぎなかった。これからは確信犯で来るだろう。
これからは武力だけではなく、理論武装した公船が我が国にもやってくるに違いない。
理論武装化した中共の公船や艦艇に、対処するには、現場の状況を自動で解釈し適切な法執行を行うことも必要になろう。下に挙げるような、法分野への人工知能の研究も進められている。我が国の巡視船や護衛艦などにも、人工知能による支援システムが今後必要になるのではないだろうか。
人工知能の法学への応用─背景と概要─
https://jsai.ixsq.nii.ac.jp/ej/?action=repository_uri&item_id=10481&file_id=22&file_no=1