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提出期限:令和3年8月31日
航空自衛隊岐阜基地
上部消化管用レーザー専用スコープ(電子内視鏡システム構成品)修理1件以下2点
https://www.mod.go.jp/asdf/gifu/acd/koukoku/OC54mitumorisyo.pdf
この仕様書を作成したのは自衛隊岐阜病院看護課である。
修理の対象となるのはEG-L580NW及びEG-L590NWという2種のスコープだ。
胃検診で一般に使われるスコープで、私も岐阜病院で健康診断や人間ドックを受けたことがあるから、もしかしたら飲み込んだ可能性があるかもしれないと思ったが、経鼻用とあるから違うようだ。
EG-L580NWについては次のようなものだ。
EG-L580NW
https://www.innervision.co.jp/sp/products/release/20141132
波長が短いスペクトル幅の狭い光を照射することによって、粘膜表層の微細血管やわずかな粘膜の凹凸などのコントラストを強調して画像をシャープに映し出すことができ,微小な病変を観察するのに適しているものだそうだ。ばらばらの混ざった光より、揃った光で照射した方が、反射した時の度合いが明確に分かれるということだろう。ばらばらの速度や回転で投げたボールより、同じ速度や回転で投げたボールの方がちゃんと戻ってくるのと同じことだ。
胃検診においてバリウム造影剤を飲んでレントゲン検査する方法と胃カメラを飲む方法の選択をする場合が多いが、胃カメラの弱点が微細な凹凸だと言われる。色の違いがないと映像としては分かり難いのだ。
造影剤を用いるレントゲン検査では、横臥して何度も回転させられるが、これは胃の内部表面にバリウムを行き渡らせるためで、その後で右向きとか左向きとかの位置で停止させられるのは、そのバリウムが胃壁の奥部に溜まりレントゲン写真に映像が写るからである。
スキルス癌では微妙な凹凸しかできず、胃カメラでの検診が難しい。したがって一般の胃癌の発見には胃カメラが優れ、スキルス癌にはレントゲンが有利だと言われて来た。その欠点が改善されたということだろう。
特殊光色彩強調機能「LCI(Linked Color Imaging)」を利用し、粘膜色付近の彩度差・色相差を拡張する画像処理を行うことで,粘膜のわずかな色の違いを強調して表示し,炎症の診断をサポートすると記載されているので、一般の癌も従来の胃カメラより分かり易くなっているのだろう。
色相は反射光の波長のことで、彩度はその波長がどれだけ反射されるかだから、赤を緑や青にずらしたり、明るさの微妙な赤を、赤と黒にするということができるのだろう。おそらく刺身や肉をこれで処理して見ると、ツートンカラーになったり、黒や白い斑点が見えて、いかにも不味そうに写り、食欲が減退するに違いない。
EG-L590NWの方は、EG-L590シリーズとしてしか検索で出てこなかった。内容的にも同じような説明なので違いははっきりしない。比較した撮影画像があるが、消化管が古くなった下水管のように見える。確かにこれで刺身を撮影したら食欲が減退する。
富士フイルム,レーザー光源搭載の画期的な新世代内視鏡
https://www.innervision.co.jp/041products/2012/p20121016.html
今後、消化管内の酸素飽和度も分かるようにするそうだ。胃を見て肺炎を見つけることができるわけだ。
この仕様書には交換部品内訳が加わっている。なぜ履行前に交換部品のリストが作れるのだろうか。
通常、修理に関する契約では点検や分解を行い部品を検査しないと交換すべき部品が分からない。検査の結果により、これを修理可能か修理不能か、あるいは修理費用が原価の6割を超えないかで判断する。ということは契約締結時に費用が確定し難いという問題がある。
ところが官民契約では特別な理由があり、それが認められ随意契約にならない限り入札によって費用が決まる。すなわち確定契約だ。しかしそれではどの程度の修理所要があるか分からず、赤字がでる可能性が出て来るから応札が困難になってしまう。
この調達はオープンカウンター方式による随意契約であるから、最低料金のものを選択しても後で増額すれば、それはクリアできるのであるが、なぜ今の時点で交換部品のリストアップかできるのかが疑問だ。
考えられるのは、もともとその部品が使用時間や回数で交換が決まっている場合である。あるいは契約前に見積りで分かる場合だ。仕様書を作成する前に通常は見積りを複数の企業から得る。この場合は、無料のサービスである場合が多い。簡単に外観で分かるようなものなら、その時点で分かるものもある。また、別契約で検査だけを行い、検査後修理の契約とする場合もある。
しかし、これらは簡単に分かる場合とか、同ものの修理が多数発生し部品などが企業にあらかじめストックがある場合などである。部品が高価だったり、たまにしか発生しないものなら企業は多大な在庫を抱えることになってしまう。
そういう場合は準確定契約として費用の上限を定め、履行後確定や中途確定として、費用が多大となる場合は契約変更を行うことが多い。
EG-L580NWとEG-L590NWで共通している交換部品としては、アングル部、アングルゴム、FSA接続器具、О-リング、送気・送水チューブ、鉗子チューブ、スリーブ5FG76C<>RОHS、ナットASSY、チューブ、吸引バルブASSY、スライドスリーブ、ラベル、CОVER PLATEがある。ただし個数や規格違いの差はある。
EG-L580NWのみにあるのは、軟性部(挿入部側)で、EG-L590NWのみにあるのは、FSA-G227A RОHS、FCTリング接続器具、先端キャップ、ノズルASSY、バルブリング(青)、DRUM WIRE ASS‘Yだ。
固有名詞も多く、検索しても出てこないものもあり、どのようなものか良く分からない。О-リングなどのゴム製品とか樹脂製品などは使用時間とか使用回数などによる定期的な交換かもしれない。部品名だけでは分からないが、見積もり段階で分かったものだろうか。
下の資料には「2007 年 4 月 1 日より施行された改正医療法の中で「医療機器の保守点検に関する計画の策定と実施」が医療機関に義務付けられた。この中では医療機器安全管理責任者を選任し、医療機器による事故を未然に防止する目的に医療機器の保守点検に関する計画の策定と実施が義務付けられている。」とはあるものの、「製造販売業者や各機種により、点検時期・点検方法などが異なるので、使用機器の添付文書や取扱説明書に準じた機能及び性能点検を実施する.」ということであり、おそらくメーカーが定めた要領にしたがって交換間隔などが定められているのかもしれない。だとすればメーカーの言うがままともなりかねない。
目次 序文 上西 紀夫 Ⅰ.機器取り扱い 1.内視鏡の構造・機能と
https://www.jges.net/wp-content/uploads/2020/11/ad51b257451200bddffa6b82a0eee821.pdf
この仕様書を作成しているのが看護課であると最初に述べた。普通、装備を扱う部門があるのが普通であるが、岐阜病院を見る限りどこが扱うのかよくわからない。他の各課や部には資材という言葉が出て来るが、それらを統括するところがない。
自衛隊岐阜病院には、自衛隊中央病院及び自衛隊地区病院の組織等に関する訓令の第65条により、総務課、薬剤課、看護課、衛生課の4課と診療部、精神保健部、歯科診療部、教育部4部がある。
自衛隊中央病院及び自衛隊地区病院の組織等に関する訓令
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/a_fd/1988/ax19880408_00016_000.pdf
同第73条に、看護課の事務は、看護に関することと、病棟、手術室、外来診療棟及び中央材料室の運営に関することであると記載されている。不思議なことに、ここには資材という言葉がない。
自衛隊岐阜病院は航空自衛隊が管理しているから、航空自衛隊の物品管理になる。航空自衛隊では、通常は基地業務を持つ部隊の長が分任物品管理官となり、普通は基地司令である。病院については私は良く知らない。色々調べてみると、海自の例があったので参照すると、海自病院においては、病院長を分任物品管理官に、衛生資材課長等を代行機関に指定しているようだ。海自は基地という概念が異なり航空基地を除けば単なる地区的な意味だから基地司令に当たる役職がなく、組織でもないので各部隊長を充てているのだろう。岐阜病院には衛生資材課長に当たるものがはっきりしない。海自では、供用される物品の管理を行う責任者として、薬剤課、看護課等の課長等を物品取扱責任者に指定しているとあるが、この辺りは似ている。ただ、内視鏡は検査に使うものなので看護課というのは意外な感じである。医師が使うものだが、運営という部分に含まれているようだ。
なお、Wikipediaによると、「2009年、防衛省は全国に16カ所ある自衛隊病院を10カ所に集約した上で、現在は一部に限定している自衛隊関係者以外の一般国民の利用をすべての病院で認めることを決めた。2021年度(令和3年度)末に以下の再編が行われる。これにより、10病院(陸:7院、海:2院、空:1院)へ再編される。入間病院の開設に伴い、三沢病院、岐阜病院を廃止(診療所化)する。」とある。
病院というのは医師法によって20床以上の病床を持つものをいう。実際には病院の建物施設や宿直態勢などに違いがあるから、かなり負担が軽減されるのだろう。診療所にも有床と無床があるが、衛生隊にも備えているから、無床ということはないだろうと思う。
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