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可動率は戦力だ 発射後ミサイルの故障 飛翔継続し敵を騙せ FMEA 活用とセンサー利用 CASTと物材研の新技術紹介

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〇二つの新技術

 異常を検知するためにはセンサーが重要である。しかし、ミサイルなどにセンサーを多数取り付けるのは重量などで不利になるから、軽量、小型なものでなければならない。
 最近、それを可能にするような技術が紹介された。これを無理なく配管に装着することで、様々な予兆を検知できるようになるだろう。もちろん数量や個所は限定される可能性が高いが、事前にシミュレーションを行って作成した教師データをAIで分析させれば、限られたデータからでもロバストな検知は可能である。
 一つ目は、株式会社CASTが開発したゾルゲル超音波圧電センサーである。スプレーを用いて塗布することが可能で、柔軟、軽量で高温にも耐えるものである。特に柔軟であることは重要で、圧着させる裏押さえ部品が不要でセンサーの大きさが半分以下になるのである。さらに柔らかいので、共振周波数が低い方に遷移し共振を減衰でき感度を上げることが可能だ。実際に老朽化した化学プラントにも装着実績があるという。
「曲がったところでも熱いところでも使えるどこでもセンサ!ゾルゲル複合体超音波センサの基礎研究から事業化まで」
https://mikata.shingaku.mynavi.jp/article/55620/
 このゾルゲル超音波圧電センサーで異常振動を捉えることで、異常圧力や流量の変動を早期に検知できることになる。
 二つ目は、国立研究開発法人物質・材料研究(NIMS)が開発したエアロゲルである。
「手にバーナーを当てても熱くない? ほぼ空気な素材「エアロゲル」の新技術、NIMSが事業化へ」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2012/25/news154.html
 このエアロゲルは非常に断熱性に富む材質である。エアロゲルの一つの特徴として可視光を透過する。可視光を透過する特性を利用し、窓ガラスへの応用が考えられている。
 このエアロゲルを、例えば、液体燃料ロケットには多数の配管があるが、高温や低温の流体を扱うものが多いために、これらの配管は断熱材で覆われている。従来の断熱材は伝熱や赤外線を止めるだけではなく、可視光も透過しないので、内部を見ることができない。
 しかし、このエアロゲルならば可視光を透過するために、熱を遮りつつ配管表面を観察可能である。
 ミサイルなどの兵器は長期間保管状態にあり、使用毎の都度、注文生産するものではないから、長い間に腐食などが発生する場合が多く、常に点検し易いことは重要である。加えて、今は小型の固体化素子カメラもあるから発射後でも確認はできる。テレメータでダウンリンクすることもできるし、今なら自動対応もできるかもしれない。
 特にフランジ部はガスケットなどで液漏れを防止しているものの、漏れを生じやすい部位であり、液漏れで発色する材料などと組み合わせれば外部から早期に異常を検知できるだろう。
 ゾルゲル超音波圧電センサーやエアロゲルの透明断熱材の技術を採用しれば、故障による不発射や、ミッションアボートを防ぎ、可動率の向上に貢献するだろう。

株式会社CAST HP

国立研究開発法人物質・材料研究機構 NIMS HP

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