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数は戦力である。しかし数があっても可動率が低ければ、少ないのと変わらない。
特に戦力の小さい側にとって、兵器が確実に作動することは重要なことだ。ミサイルを撃つべきときに故障すれば、そのミサイルはミッションアボートである。従ってミサイルにとっては、なるべく早い段階で故障を検知することが重要である。
発射時には人が近づけないが、ミサイルには自動試験機能(BITE)があり、試験信号を流してシステムが正常に作動するかチェックする。しかし修復ができるわけではない。まして発射後では打つ手はなかった。
センサーにより異常を検知することができれば、発射後でもミサイルが自律的に故障に対処できる可能性が出て来る。故障の影響がどこに波及するかはFMEA により分析できるから、その結果に基づき対処をプログラムしておけばよい。飛翔さえ継続できれば敵に故障はわからないから、対処を強いらせることができる。
このほど、軽量、小型なセンサーを可能にするような技術が紹介された。一つ目は、株式会社CASTが開発したゾルゲル超音波圧電センサー、二つ目は、国立研究開発法人物質・材料研究(NIMS)が開発したエアロゲルである。配管部などの異常の検知に使うことができる。
〇動力には配管が使われる。
世の中で様々な機械に配管が使われている。配管が使われる目的も燃料等の移送や圧力の伝達など様々で、制御系に使われるような細いものから、液体燃料ロケットエンジンの燃料パイプのような太いものまである。一般的に移動体の機械には配管が多いのではないだろうか。
機械要素というと、カムとかリンクなどの硬い部品同士が力や動きを伝達する、対偶関係のものが多く、こういった硬い部品の対偶によるものは一見、単純な動作をするように思われがちであるが、からくり人形のように複雑なものもあるし、単純そうに見えても、慣性や振動などが予想もしない挙動をすることがある。特に自動銃などは、まさにカムやリンクの組み合わせの代表であるが、部品が断続的な火薬の燃焼ガスにより高速かつ大きな力で動くので、射撃不能になることすらある。
配管は流体の流れを導くことに使われることが多い機械要素であるが、流動の際には、硬い部品以上に複雑な挙動を起こし勝ちである。流体力学的な挙動だけでも内部でカルマン渦(風を受けた電線などが唸る原理)を生じたり、流体の粘性で境界層という管壁に張り付いた部分が出来て、実質的に管径が細くなって思うように流れず詰まったようになることもある。まして、内部の圧力変化や外部からの伝熱で蒸発したり、凝結したり、錆びや結晶の析出などで詰まったりすることもあろう。さらに配管そのものの振動、フランジなどから液漏れ、熱膨張で曲がったりもする。
ここで例示したような様々な異常が生じれば、故障に直結し、それが元でシステム全体が機能しなくなることも珍しくはない。
〇即応性と品質
兵器として使われる機械の場合、それを何時使用することになるかの予想は難しい。敵の奇襲攻撃に対応するには即応性は不可欠である。
戦闘が生起した時に確実に作動するかどうかは戦いの勝敗に直結している。主導権を維持しているときでも戦機を逸しては、勝てるものも勝てなくなり、まして応戦ともなれば生き死にに関わってくる。
片や、使われるときは一瞬である場合が多い。その一瞬以外は長期間待機しているものである。もちろん戦闘に備えて整備し、試運転を行うが、究極的には実戦時とまったく同じにはならない。兵器は大きな破壊力をもっているから、やたらに作動することはできないし、爆発物などは使ってしまえば、再利用など不可能である。
しかも、その整備も、いつもできるわけではない。即応体制を維持するためには、最低限の部分を作動状態にする必要がある。分解が必要な整備などは、一部づつ順に交代で行わなければならない。日常の待機中であれば電源を入れた状態での試験が可能な程度であり、最高度の即応体制であれば、作動状況に異常がないか確認したり、外観上の異常を確認するのが関の山である。
しかもミサイルなどは、即応状態では、発射場の人員や車両などを退避しないと発射できないから、近づいて確認することもできない。また航空機に搭載する兵器であれば、機外に取り付けたり、外からパネルを開けたり、胴体を分解しない限り見えないものが多く、離陸してしまえば、これもアクセス不可能である。
しかし、整備が不可能でも、確実に作動しなければ重大な結果となるのである。