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入札日:令和3年6月10日
防衛省防衛研究所
戦史史料のデジタル化(カセットテープ(125本(120分×68本、90分×40分、70分×1本、60分×16分))のデジタル化(WAVE形式、CD-R又はDVD-R))
http://www.nids.mod.go.jp/procurement/ippan/pdf/2021/20210520_2a.pdf
http://www.nids.mod.go.jp/procurement/ippan/pdf/2021/20210520_2b.pdf
コンパクトカセットテープというものは1962年にフィリップス社が開発したものだそうで、当初は60分テープだったそうだ。90分テープは1967年、120分テープは1968年に出現している。70分というのが1つあるが、これはCD収録用として1983年に作られたものだそうだ。
仕様書にはノーマルポジションとメタルポジションの切り替えのある再生機器を用いることとあるが、もしメタルテープが含まれているとすれば、3M社が1978年に開発したものだそうだから、おそらくそれ以降の時期に収録したのだろう。
いずれにせよアナログ記録の媒体は、ダビングを繰り返すと音質が悪化するので、新たなテープに録音したと考えるのが妥当だから、これらの開発時期以降に録音したものだろう。
デジタルの音声記録というのは楽譜の様なもので、同じ再生といってもデジタルの場合は楽譜を演奏しているようなものである。アナログの記録は、音を別の物理量に変換して保存しているわけだから、記録し難い周波数などがあるにせよ、基本的には録音したものと同じものが、音に戻される。
よく知られていることだがCDに音声を記録すると、可聴周波数以外が除去されてしまう。耳に聞こえないからと言って、それも大事な記録だろう。たとえ人間の耳に聞こえなくても、将来、そこから重要な情報が取り出せる可能性はある。話している人物の心理状態などが、そこから読み出せる場合もある。
ただアナログ記録は劣化し易いし、利用する上にはデジタルの方が扱い易い。だからデジタル化する意義は重要だ。だからといってアナログ媒体の記録も大切に、できれば永久保存が可能な形で保存して欲しいものだ。
幸い、磁気テープのベースとして古くからポリエステルが使われてきた。これはPET、すなわちペットボトルに使われるポリエチレンテレフタレートやそれに近い樹脂のことで、保存性が優れている。今、映像フィルムもPETベースに変えて保存する流れがあるが、映像フィルムの場合はセロテープなどに使われるセルロースが使われてきたのである。セルロースを溶かして成型する際にアセチル化してアセテートセルロースにするのだが、時間が経つとビネガーシンドロームを起こすのである。つまり酢になる。今、これが大問題なのだ。図書の補修にもセロテープは絶対に使用しない。それは図書を痛める原因になるからだ。まだアセテートベースはビネガーシンドロームだけだから、それでもまだマシで、かつてはニトリルセルロースが使われていた。これはいわば綿火薬と同じで、冷蔵しないと自然発火する。かつて日本フィルムセンターで、これを原因とする火災により、多くの貴重なフィルムが失われた。
置き場所の問題はあるが、磁気テープは、それほど保存に負担は掛からない。カビや虫にも強い。ぜひとも、今までのコンパクトカセットテープも是非とも保存して欲しい。
なお仕様書にある、音源リストも貴重なものだ。