google-site-verification=bsh9Vc0JE-gs5XhAa5d60ynarygvmIr38GwKW8JySfM
入札日:令和3年9月15日
海上自衛隊佐世保地方総監部
除籍船舶(護衛艦「あさゆき」、えい船「69号」)の売払い
https://www.mod.go.jp/msdf/bukei/s0/nyuusatsu/03-1-9996-2060-0001.pdf
こちらの調達には該当艦船の名称が明示されている。護衛艦「あさゆき」は、(164)で取り上げた練習艦「しまゆき」の同型艦である。ただし「しまゆき」は練習艦に改造されているため、教育用の施設などが付加されているようだ。
Wikipediaの記事を下書きに進めて行くが、「あさゆき」は、中期業務見積りに基づく昭和57年度計画2,900トン型護衛艦2220号艦として、住友重機械追浜造船所浦賀工場で1983年12月22日に起工され、1985年10月16日に進水、1987年2月20日に就役し、同日付で第3護衛隊群隷下に新編された第45護衛隊に「しまゆき」とともに編入され、佐世保に配備されたとある。
「しまゆき」はちなみに2221号艦である。建造したのは三菱重工業長崎造船所であったが、「あさゆき」は浦賀工場である。艦船はこのように別の会社で製造されることは普通だ。仕様は同じだが、図面をそれぞれの製造会社が独自に作る。上で同型艦とは書いたが実は随所に違いがある。
完成検査や監督を行う、防衛局も会社の所在地で異なる。現在では地方防衛局が行うが、平成19年までは装備本部が行っていた。違う組織に見えるが、装備本部に属していた各地の装備課が切り離されて地方防衛局に吸収されたのである。ただこの時、地区割りが変更された。というのは、地方防衛局の方も区域が変ったからだ。そもそも地方防衛局は施設関係、要するに土建関係の検査・監督を担っていた。ところが施設部門の区割りの変更以上に装備系には大きな変化があったのである。なぜかというと装備品を製造する企業がある地域が太平洋ベルト地帯に集中していて、それにあった区分けをされていたからだった。
土建企業は、だいたい北海道から沖縄まで建築物があるから全国一円に分布している。それに装備部門が右に倣えということで、装備品製造会社の無い地域にまで装備課が作られることになった。もちろん製造会社も現地でのサービスがあるから出先の支所があるから何も無いわけではないが、仕事の量が全然地域によって違うことになる。
先ほど、装備本部だったと書いたが、その前年までは契約本部という名称で、さらに「あさゆき」が建造された当時は調達実施本部という名称だった。当時の地区割りは、私もあまり詳しくないが、浦賀工場は、東京支部の担当で、長崎造船所は別の支部の担当となる。
艦艇の場合、別々に設計すると説明したが、それらの製造請負契約を監督する監督官も、その別の支部が行うわけだ。しかも艦船の場合、直接検査方式といって、製造の品質や契約履行状況など監督官が自ら行い、関わる度合いが強い。車両については資料検査方式もあるが、多くは品質証拠方式がとられ、製造会社が計測した数値について監督を行う。契約書やそれに付随する仕様書・調達要領書などの範囲内で、それぞれの監督官と会社が審査で注文をつけるから、そこでも随所で変わってくる。
更に後に乗員となる要員が、艤装員として建造に関与してくるから、装備品というよりは建築物のように、同じ形式の艦でも違うものになるのだ。
話は更に横道に逸れるが、現在、新しい艦種としてFFMが建造中で、今迄の慣行を廃して、原則、同じ作りになるように建造していると聞いている。それは、乗組員と艦を固定的に結びつけるのではなく、必要に応じて乗せ換えるという考え方による。全く同じでないと慣れるまで時間を要してしまうからだ。自衛隊は人不足で、そのように人の配置をしないと乗組員の定数を満たせないからということだ。艦の既製品化を図るわけである。
とはいえ、他の艦種については従来どおり、オーダーメードである。
「しまゆき」に比べ起工が約4か月半、進水が約3か月半、就役が3日遅い。第45護衛隊に編入されたのは就役日と同じだ。つまり「あさゆき」には「しまゆき」のような直轄艦の時期がない。要は「あさゆき」の就役日に護衛隊新編を合わせたのだろう。「しまゆき」の方が掛った期間が短いのも、「あさゆき」建造に合わせる意図から急いだのかもしれない。4個護衛隊群体制の完成が目的だろうから、そもそもシステム艦であるこの2隻が揃うことに意味があったのだろうし、8艦8機編制の完了を意味するのだろう。
はつゆき型が開発された経緯については(164)で述べた。
Wikipediaのデータを比較するが「しまゆき」と比較すると排水量、最大幅、深さ、吃水も全て同じであるのだが、全長が「しまゆき」が7mも長い。そんなに違いがあるのに排水量や吃水が変らないのはおかしい。同型艦と並んでいる写真もあるが同じ全長に見えるので、何かの間違いではないだろうか。速力は0,7ノット「しまゆき」が速い。エンジンが同じだからこれも不思議なのだが、船と言うのは出来によって速力が違うこともある。実際に航試で分かることもあるから、何とも言い難い。
その他、兵装や電子機器など、まったく同じの様だが、違いがあるのは、「しまゆき」は格納庫が講堂が設置されていることだ。(164)のところでもあったように、司令官がヘリで「しまゆき」に移動したこともあるようだから着艦は可能なのだろう。
高速用エンジンは、両艦共、川崎重工業のライセンス生産によるロールス・ロイス オリンパス TM3Bである。近年、艦艇用としてはGE開発のLM2500の方が多いのではないだろうか。もともと航空機用のエンジンでアブロ バルカン B.k.1爆撃機やコンコルド旅客機に使われたエンジンである。コンプレッサが低圧、高圧共に7段の軸流式で、タービンも高圧、低圧共、単段である。これだけ開発が古いエンジンで単段というのは大したものだと思う。詳しい説明が無いから分らないが、写真を見る限り燃焼室はアニュラーかキャニュラーの様だ。艦船にガスタービンを用いるときは、ヘリコプターなどに使用するときと同じように、エンジンのコア部分とは別のシャフトに取り付けたフリータービンにガスを吹き付けて回転力を取り出す。
低速用エンジンについても、両艦共、川崎重工業のライセンス生産によるタインRM1Cである。これも元は航空機用エンジンからの流用で、ブレゲー アトランティック、カナディア CL-44、C-160 トランザールなどにターボプロップ・エンジンとして使用されている。コンプレッサは低圧が6段で高圧が9段、タービンは低圧3段の高圧1段となっている。ターボプロップとして使用する場合は、低圧はプロペラ用だったようだ。燃焼室は10缶キャニュラーと書いてある。ロールス・ロイス オリンパス TM3Bの方が開発が数年早いが、タービンの段が多いのは、おそらくプロペラへの出力抽出を優先したからだろう。
要目には詳しいことは書いていないのだが、ガスタービンはアイドル状態でもかなりの高速回転をする。タービン翼にガスをぶつける運動エネルギーで回転させるから、ガス速度の2乗になるので、低速回転であると力が出ないのだ。しかも低速回転時は燃焼ガスが逆流するサージングを起こしやすい。スロットルをいきなり大にすると、これを起こしやすいため始動時は、スケジュールに従って定格回転まで徐々に回転をあげる必要がある。しかもレシプロエンジンよりも暴走し易いという問題もある。低速回転をしたからといって単純に燃料節約にはならないのである。
ところが船のスクリューというのは、あまり回転数を上げるとキャビテーションを起こし効率が悪くなり、しかもスクリューが削られて、その内に無くなってしまう。だから減速ギアが必要になるのだが、これが高価なものである。大きな動力を伝達するから硬い材質であるが、歯車に切削するのが大変なのだ。したがってエンジンより減速ギアの方が高価だったりする。
低速用と高速用のエンジンの回転をミックスするのは単純なことではない。先に述べたとおり定格回転まで上げなければならないし、双方のエンジンの都合があるからだ。だからCOGOG方式にしたのだろう。これなら同時に使うことがないから、クラッチで接続を切ってしまえば良いからだ。しかし、二種類のエンジンの一方を遊ばせて置くわけだし、何より問題となったのは、運用において切り替えのタイミングが難しいことになるのである。前もって、切り替える先のエンジンを定格回転にしておく必要があるからだ。
(164)でも説明したが、純ガスタービン艦は燃料消費が大きい。高速用エンジンを常に回していれば、ガス欠を常に気にすることになる。しかし、敵とやり合うときに、切り替えで戸惑っていては生き残ることができない。そういう難しさが純ガスタービン艦にはある。現に、ソ連のクレスタ級がガス欠で漂流したこともある。燃料が残り少なくなるたびに、安全海域に洋上給油を受けに行くのでは戦力に穴が開きかねない。はつゆき級から、純ガスタービン艦を採用したことは大きな判断が必要だったろう。8艦8機編制で戦う時に、ガス欠艦が出たのでは戦力に大きな穴ができてしまうことになる。
海上自衛隊の補給艦は、昭和62年3月24日に「とわだ」が就役するまで「はまな(初代)」の一隻だけで、しかも能力不足で平時の運用にも事欠くことが多かったそうである。「はまな(初代)」は入れ替わるように同日除籍となる。はつゆき型の竣工は昭和57年からで、「あさゆき」と「しまゆき」は昭和62年であるから、時期的には近い。「とわだ」は、はつゆき型の戦力化に間に合わせて開発したのかもしれない。この後、翌々年には「ときわ」と「はまな(2代)」が就役する。これらの動きは護衛艦の純ガスタービン化を行うために必要なことだったのだろう。
1989年(平成元年)、練習艦「かとり」護衛艦「しまゆき」とともに遠洋練習航海に参加。6月14日に横須賀基地を出港し、南米東岸を巡航し、11月に横須賀基地を帰港している。(164)では、「しまゆき」は1988年に参加とあるが、1989年の話はなかった。どちらか間違っているのか、翌年は「しまゆき」のみが参加したのかは分からない。
1990年、護衛艦「はるな」等とともに環太平洋合同演習 (RIMPAC) に参加し、ハワイ、サンディエゴ方面に派遣された。この時も「しまゆき」も参加している。この回のリムパックを見るとDD5隻は全て、はつゆき級である。1984年から、はつゆき級が参加しているが、この年は2隻で、1986年から、5隻となって、初めて8艦8機編制での参加となった。しかし補給艦は参加していない。補給艦が参加するのは、この年からだ。1992年になると、はつゆき型が2隻に減って、あさぎり型が3隻参加するようになる。これより後には、はつゆき型の参加は無くなる。
この参加隻数の変化から見ても(164)で述べたとおり、システム艦としては、はつゆき級は、間に合わせ的な性質があったのかもしれない。
1994年7月1日、護衛艦「はるな」等とともに第27期幹部候補生課程出身初任幹部約100名を乗せて江田島を出港した。ジャカルタ、シンガポール、沖縄勝連に寄港し、8月2日に呉基地に帰投する。
阪神淡路大震災の災害派遣に従事 物資の運搬に従事
海自護衛艦「あさゆき」退役 佐世保母港に33年 乗組員ら別れ2020/11/16 23:42 (JST)11/17 16:06 (JST) 回想記事
https://nordot.app/701080998433277025
「電話を受けた40分後に、呉を出た艦の第一陣が神戸沖に投錨」「1月17日の投錨は終り、横須賀からの艦や佐世保から出た艦等、各方面からの艦船が神戸に集結し、夜半には十数隻の輸送艦、護衛艦が神戸沖に投錨していました。」「本格的な救援活動は1月18日午前6時から始まりました。」「1月18日午前6時から救援活動が始まり、海上自衛隊も260名程の部隊を神戸に揚げる」
回想「阪神・淡路大震災」-ある講話録(20.12.1)から 2
http://www.jpsn.org/opinion/old_soldier/452/
「輸送艦「ゆら」、護衛艦「とかち」が9時50分に呉港を出港」「海上自衛隊では護衛艦、輸送艦等15隻925人が出動」
010 自衛隊への応援要請と配分調整
http://www.bousai.go.jp/kensho-hanshinawaji/chosa/sheet/010.pdf
1997年3月24日、隊番号の改正により第45護衛隊が第7護衛隊に改称。
この時期に何があったかは、分からないのだが、同時期に「1997年(平成 9年)3月19日:隊番号の改正により第11掃海隊が第43掃海隊に改称」とあるので、大きな改正だったのだろう。中期防衛力整備計画(平成8年度~平成12年度)の見直しについて平成9年12月19日に「護衛艦部隊(地方隊)のうち2個護衛隊を廃止」とあるのでその影響だろうか。しかし、DEクラスが地方隊から自衛艦隊の管理下になるのは平成20年であり、それよりは少々時期が早い。むしろ、より本格的なシステム艦の導入によって、繋ぎの意味の強かった、はつゆき級を、後継艦への交代を図ったのではないだろうか。先に見たようにリムパックでも、この時期にはすでに、はつゆき級の参加は無くなっている。
97.3/24護衛艦(DD131)せとゆき、(132)あさゆき、(133)しまゆきからなる第3護衛隊群第45護衛隊を改編して再編され大湊に配備
海上自衛隊の組織と編成
http://hush.gooside.com/Order/JMSDF/Goeitai01.html#anchor151354
1998年3月20日、第2護衛隊群第2護衛隊に編入。
1998年10月16日、佐世保地方隊第23護衛隊に編入。
98.10/16第2護衛隊群第2護衛隊護衛艦(DD132)あさゆきを編入
http://hush.gooside.com/Order/JMSDF/eg20.html#anchor70487
この時期に、海幕がDDの建造を優先し、DEの建造を打ち切ったことが、この辺りの背景だろう。その穴埋めのために地方隊への編入となったと思われる。
2006年2月23日、乗員の海曹長の私物パソコンから海上自衛隊の暗号書一覧等の資料が流出したことを防衛庁が公表する。
海自「秘」情報流出、CDで持ち出し 2006-02-24 09:07:15(参考記事1)
https://blog.goo.ne.jp/idol510/e/5d137cd351c87dc03dd58bc997d6d4b0
「通信員の海曹長(41)は、艦内の電信室内にあるパソコンのデータを無許可でCD―R(書き込み可能CD)などに移し、艦外に持ち出していた」「流出が判明しているデータのうち自衛隊法上の「秘」に該当するのは、自衛艦のコールサインの一覧のほか、砲撃の着弾地点を読み替える暗号表の一種「側方観測換字表」など。」
「1 護衛艦「あさゆき」情報流出事案 当事者(海曹長)は、平成17年1月頃から約1年間にわたり、利便性及び職務上の知識技能向上等のため、海上自衛隊の訓練、通信に関する秘密情報を含む業務用データを可搬記憶媒体により無許可で艦内から持ち出し、自宅パソコンに保存。当該パソコンにおいてファイル共有ソフトを使用し、これがコンピューターウィルスに感染した結果、当該データが流出。平成18年2月、流出を確認。処分等については、流出当事者「停職30日 、関係 」 ) 者(あさゆき前艦長 「減給1月1/15」等」
参 照 資 料 防 衛 省 改 革 会 議
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/bouei/dai11/pdf/sansyou.pdf
ここで自衛隊法上の「秘」というのは、他の官庁では、国家公務員法上の知り得た秘密というのと、ほぼ同じもので、当時は一般秘密とか、この時代だと、防衛庁だったので「庁秘」とか「一般秘密」と言っていたものである。他に「防衛秘密」というのと、「特別防衛秘密」というものがあった。「特別防衛秘密」というのは、根拠法が日米防衛援助協定に基づく秘密保護の法律によるで、基本的に日本に供与された米国製装備品に関するものだ。ややこしいのだが、元々「防衛秘密」と言われていたものである。平成10年頃だったと記憶しているが、法律改正で「一般秘密」の内で秘匿度が高いものを「防衛秘密」とすることになって、そこで「特別」の二文字を加えたものだ。私はこういう法律の改正の仕方は混乱を招くので、下手なやり方だと思う。後に平成25年頃だったと思うが、全省庁を通じて「特定秘密」というものが出来たことで、防衛省では従来の「防衛秘密」を「特定秘密」に指定したのである。これによって「防衛秘密」は無くなった。それは良いとして「特別防衛秘密」はそのまま残ることになったのだが、これが「特別」と冠しているのだから、「特別」ではないものがないのに、どうして「特別」なんだということにならないのか疑問である。
暗号にもいろいろあるが、多くは、後の「特定秘密」や「特別防衛秘密」に属するので「一般秘密」に属するものは少ない。その上、そもそも暗号とは、デタラメな羅列である。デタラメだから、これを本来の情報に組み合わせると解読が困難になるのだが、デタラメな羅列をCD-Rなどに写す意味がない。
今説明した各秘密にも「秘」「極秘」「機密」などのランクがある。秘密の種類やランクに応じて、その指定者は決まっている。司令部などを除いて作成し、指定できるのは「秘」止まりで、それより上の物は基本的に紙に印刷されているから、PCで扱えるようなものではない。となると自隊で作成できるのは命令や通達などの文書関係になると思う。だから、ここで漏えいしたものをなぜパソコンに入れる必要があったのかは疑問が残る。
この年の1~2年前から、急に厳しくなった。実を言うと、秘密に指定されるのは文書を起案し決裁を受けた後で、それまでは指定前秘という扱いになる。これは正式な秘密ではなかった。私も、この頃以前までは私物の日本語ワープロを持ち込んで仕事に使用していたが、普通に秘文書も作成していた。
平成19年2月23日(金)~3月24日(土)「いそゆき」、「しらゆき」と共に外洋練習航海(タイ方面)
一般幹部候補生課程(部内課程)の卒業式及び外洋練習航海について2007/02/21 防衛ホーム
http://www.boueinews.com/topics/topics.cgi?page=871
この外洋練習航海では「しらゆき」が参加しているが(164)では、掴みきれずに記載していなかった。この時代にはまだ、ネット上に情報が出回ることは少なかったのだろう。
2008年1月23日、練習艦「しまゆき」「あさぎり」、護衛艦「うみぎり」とともに近海練習航海従事のため第58期一般幹部候補生過程修了者等約190名を分乗させて呉基地を出港
https://www.wikiwand.com/ja/%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%BE_(%E7%B7%B4%E7%BF%92%E8%89%A6)
2008年3月26日、自衛艦隊の大改編により第23護衛隊が第13護衛隊に改称され、護衛艦隊隷下に編成替え。
これは地方隊で、護衛艦を維持することが負担になるため、地方隊をフォースユーザの役割に徹して、護衛艦隊にフォースプロバイダの役割を担わすための編成である。自衛隊そのものが、この2年前に統合運用を行うようになったので、フォースユーザとフォースプロバイダを区別するようになったのは、その思想の流れであろう。
一般的に海軍の編制は、平時には近い艦種の艦ごとに纏めて編制するのが普通で、作戦時にそれぞれの部隊から、艦を抽出してタスクフォースを編成して作戦に参加するのが普通だ。だから、もともとそのような運用はしていた。
海上自衛隊に限らず、陸空の自衛隊も、任務や訓練の都度、編制を作って行動することはよくあることだ。
ただ、DEクラスの護衛艦は、地方隊の直轄として使用していたのである。ただ平時から所属としておくと、所帯の小さな地方隊は、練成訓練などを行うことは負担が大きかったということで、自衛艦隊に所属させたというわけだ。
上でも述べたが、このほぼ10年間にDEクラスの建造が見送られ、そこにDDの、はつゆき級が地方隊に割り当てられていたわけだが、流石にDDとしては小型の本級でも持て余したのだろう。
ちなみに、陸海空の自衛隊とも地域を分けているのだが、海上自衛隊の場合は、陸空とは少々、その性質を異にする。陸空では、それぞれの方面隊は作戦区域をわけているだけで、全国担当と地域担当の部隊が別ではない。組織上は方面隊は、全体の一部である。
しかし、海上自衛隊の場合は、全国を担当する自衛艦隊と、地域を担当する地方隊が重複しており、どちらもフォースユーザの性質を持っていることである。今でも護衛艦を外しただけで、掃海艇や支援艦などを所属させている。
2009年には、平戸沖で起きた巻き網漁船沈没事故で乗組員の捜索に当たっている。
海自護衛艦「あさゆき」退役 佐世保母港に33年 乗組員ら別れ2020/11/16 23:42 (JST)11/17 16:06 (JST)(上記の回相談)
https://nordot.app/701080998433277025
事故は、平成21年4月14日 08時05分ごろ、概ね、北緯33°17.0′ 東経129°16.6′で発生した。平戸から16km程のところである。
漁船 第十一大栄丸(総トン数135トン)が追い波を受け転覆沈没し、8名が僚船に救助され、11名が後に引き上げられた船内で発見され、1名が行方不明となった事故だ。捜索には海自の他、海保7管区、水産庁と県の漁業監視船、県警が当たっている。
「09時13分、海上自衛隊佐世保地方総監に災害派遣要請を行い、海上自衛隊から直ちに艦艇等及び航空機の出動がなされた。 」「海上自衛隊から水上艦艇等7隻及び航空機3機」「4月27日、海上保安庁による専従捜索が打ち切られ、また、海上自衛隊に対する災害派遣撤収要請がなされた。」「延べ数は、・・・海上自衛隊の艦艇等83隻及び航空機26機」
MA2010-5 船 舶 事 故 調 査 報 告 書
https://www.mlit.go.jp/jtsb/ship/rep-acci/2010/MA2010-5-2_2009tk0007.pdf
2010年4月21日午後3時40分頃には太平洋で訓練を行っていた10隻の中国人民解放軍海軍の艦隊を監視していた際に艦載ヘリが水平距離90m、高度差50mにまで異常接近した。これを受け外務省は21日夕刻東京にある中国大使館に危険行為だと抗議している。 これは、沖縄の南500キロの公海上で起きたものだ。
中国海軍ヘリ 公海上で海自護衛艦に接近 – 日テレNEWS24 2010年4月22日 00:14.
https://www.news24.jp/articles/2010/04/22/04157866.html
日本政府は、軍艦は領域の延長であり、半径500mの範囲内は領空であるという主張である。なお、日中間にはCUESに基づく衝突防止の取り決めがある。
この年の9月7日には尖閣諸島において巡視船と中国漁船の衝突事件が発生している。
2010年10月13日から14日にかけて、護衛艦「いそゆき」とともに大韓民国(釜山)及び同周辺海域において実施された大韓民国主催拡散に対する安全保障構想(PSI)海上阻止訓練に参加している。
この訓練を韓国が主催するのは、この2010年の海上阻止訓練「Eastern Endeavor 10」からである。二年後の同訓練から、南鮮は自衛艦旗に対する反発するようになる。日本政府は2012年と2019年に参加しているが、2019年には統合幕僚監部の2名と陸上自衛隊化学学校の1名のみのようだ。
はつゆき級を参加させているのは、作戦時に地方隊等へ配属することを想定している本クラスをPSIに充てるのが適当ということだろう。PSIの対象となるのは商船であるから、より新鋭の艦を使う必要はないし、ソマリア沖海賊の対処活動の派遣で他のDDをCTF-151に差し出していることもあるからだ。
「(平成24年)4月12日(木)12時09分頃、東シナ海中部海域において警戒監視中の護衛艦「あさゆき」に対して、中国航空機が水平約50メートル、垂直約50メートルの距離に接近し2周ほど周回した。」
24.4.12 統 合 幕 僚 監 部 中国航空機による護衛艦「あさゆき」への近接飛行事案
https://www.mod.go.jp/js/Press/press2012/press_pdf/p20120412_02.pdf
上記のとおり、2年前にも接近されているのは、中共海軍は「あさゆき」に注目していたのだろうか。同型艦の変化を追いかけている可能性はあろう。
外洋練習航海先で 第45期一般幹部候補生(部内課程) を卒業した幹部候補生108名は、外洋練習航海部隊(はまぎり、さわゆき、あさゆき)にそれぞれ乗艦し、2月28日にインドネシアのジャカルタ港に入港
自衛隊ニュース2012年4月15日(5)
http://www.boueinews.com/news/2012/20120415_5.html
護衛艦はたかぜ・護衛艦あさゆき 出港 with 大湊音楽隊 2012/10/19
https://www.youtube.com/watch?v=uk7A8JdNwRc
艦長大森浩昭2佐指揮の護衛艦はるゆき、西山高広2佐以下護衛艦あさゆき、艦長鈴木雅弘2佐以下ミサイル護衛艦はたかぜ、が参加し、人員は乗員と卒業生を併せ630名の外洋練習航海部隊とのこと。
海上自衛隊第46期一般幹部候補生課程明日卒業式 外洋練習航海部隊明日江田島出航 2013-01-31 22:29:22
https://blog.goo.ne.jp/harunakurama/e/4bf52b9997743ccc90875eda78d0207f
2014年3月21日から4月22日にかけて、護衛艦「しらね」と共に平成25年度外洋練習航海(飛行)に参加。
護衛艦あさゆきとしらね、3月21日から外洋練習航海を実施 2014/03/19 21:50
https://flyteam.jp/news/article/33054
堺市堺区築港南町の堺泉北港大浜埠頭第5岸壁に18日、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」が入港。同市で「堺まつり」が開かれる19、20の両日に一般公開
海上自衛隊 護衛艦 あさゆき 堺泉北港出港 堺まつり2013/10/21
https://4travel.jp/travelogue/10824846
平成26年度外洋練習航海 平成27年3月21日~4月29日
護衛艦「あさゆき」江田内出港2015/03/24
https://www.youtube.com/watch?v=rqOWSnjWZBQ
北ジャカルタのタンジュンプリオクに寄港
護衛艦2隻が入港 きょう邦人に公開 2015/04/08
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/24154.html
16日から19日までダナン市に滞在
海上自衛隊の護衛艦2隻がダナンに寄港、外洋練習航海で2015/04/17 07:41 JST配信
https://www.viet-jo.com/news/politics/150417125000.html
2016年3月15日から5月28日にかけて護衛艦「うみぎり」、潜水艦「はくりゅう」とともにシドニー周辺海域で実施される日豪共同訓練に参加した。
ホストシップは「NEW CASTLE」だったそうだ。艦上レセプションも行われている。
防衛省 海上自衛隊 (Japan Maritime Self-Defense Force)2016年4月27日
https://www.facebook.com/JMSDF.PAO.fp/posts/1093753917352992/
2015/03/21 — 護衛艦「きりさめ」及び護衛艦「あさゆき」平成27年3月21日(土)~4月29日(水)
一般幹部候補生課程
https://www.mod.go.jp/msdf/release/201701/20170131-01.pdf
平成28年度外洋練習航海1【海上自衛隊一般幹部候補生課程(部内)】2017年2月9日
http://msdfmso.info/%e5%b9%b3%e6%88%90%ef%bc%92%ef%bc%98%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e5%a4%96%e6%b4%8b%e7%b7%b4%e7%bf%92%e8%88%aa%e6%b5%b7%ef%bc%91%e3%80%90%e6%b5%b7%e4%b8%8a%e8%87%aa%e8%a1%9b%e9%9a%8a%e4%b8%80%e8%88%ac%e5%b9%b9/
外洋練習航海 第50期一般幹部候補生課程(部内課程)の様子2 2017年2月18日
http://msdfmso.info/%e5%a4%96%e6%b4%8b%e7%b7%b4%e7%bf%92%e8%88%aa%e6%b5%b7%e3%80%80%e7%ac%ac%ef%bc%95%ef%bc%90%e6%9c%9f%e4%b8%80%e8%88%ac%e5%b9%b9%e9%83%a8%e5%80%99%e8%a3%9c%e7%94%9f%e8%aa%b2%e7%a8%8b%ef%bc%88%e9%83%a8/
22日、北ジャカルタのタンジュンプリオク港に入港 入港したのは、護衛艦「まきなみ」「あさゆき」、練習艦「しまゆき」の3隻
海自・練習部隊が寄港 | じゃかるた新聞 2017/02/23
https://www.jakartashimbun.com/free/detail/33733.html
【大洗 海の月間】護衛艦「さわぎり」「あさゆき」を一般公開。ガルパンのイベントも 3枚目の写真(全37枚)2017/07/08
https://response.jp/article/img/2017/07/08/297176/1204146.html
護衛艦「あさゆき」小松島に初寄港 13、14日一般公開 2019/7/13
https://www.topics.or.jp/articles/-/229211
2019年7月28日 護衛艦あさゆき船内から見たイージス艦きりしまと、きりしま船上から見たあさゆき。あさゆき船内見学
https://mobile.twitter.com/search?q=%23%E3%82%A4%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%B9%E8%89%A6%E3%80%8F%E3%81%AE%E3%81%8A%E8%A9%B1%EF%BC%81
https://mobile.twitter.com/misatopenguin/status/1155434311044042754/photo/1
https://mobile.twitter.com/misatopenguin/status/1155434311044042754/photo/2
7月27日(土)28日(日)蒲郡初寄港
護衛艦かが、きりしま、あさゆき、館山ヘリフェス開催!2019/07/24
https://jieitaidaisakusen.com/post-1034/
護衛艦 きりしま・あさゆき 初寄港 – 蒲郡市 2019/09/19
蒲郡ふ頭11号岸壁に護衛艦きりしま、あさゆきが寄港した。同日(7月27日(土)28日(日))開催された蒲郡まつり納涼花火大会の際にはライトアップされた。「広報 がまごおり№1205」
https://www.city.gamagori.lg.jp/uploaded/attachment/60265.pdf
手前の横断幕から2019年自衛隊観艦式(10月12~14日)であることがわかる。DD116の向こう側に見える。
https://nitter.curebot.io/pic/media%2FE12cLdiVkAEYJgl.jpg%3Fname%3Dorig
https://nitter.curebot.io/search?q=%23%E8%AD%B7%E8%A1%9B%E8%89%A6%E3%81%82%E3%81%95%E3%82%86%E3%81%8D
「相浦署などは30日、傷害の疑いで、海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」の海士長、容疑者の男(20)=佐世保市日野町=を逮捕」
https://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:qrMxbeWD1MAJ:https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/%3Fkijiid%3D672983469265716321+&cd=2&hl=ja&ct=clnk&gl=jp
朝日新聞デジタル 護衛艦あさゆき、33年の任務終え退役 海自佐世保基地 原口晋也 2020年11月17日 9時30分
https://www.asahi.com/articles/ASNCJ6S39NCJTOLB002.html
2020年11月16日、除籍。最終所属は、護衛艦隊第13護衛隊、定係港は佐世保であった。
海上自衛隊護衛艦「あさゆき」33年間の任務終え佐世保で退役 錨は佐世保駅に展示へ
https://trafficnews.jp/post/101954
退役後、あさゆきの錨はJR佐世保駅前の商業施設「えきマチ1丁目佐世保」でモニュメントとして展示されている。
以下、時期不明
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ほぼ同時期に就役した「しまゆき」の同型艦であったが、最後まで護衛艦であった「あさゆき」の方が、メディアに扱われることが多かったようだ。
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次に、えい船「69号」について取り上げる。一般には曳船58号型、公称船型は260トン型曳船である。「69号」は臼杵鉄工所で、起工は1987年3月3日、1987年9月16日に竣工した。2021年3月16日退役 第1種支援船であり海自最大の曳船とのことである。
曳船58号型の要目は、船の科学1979 1 26頁によると次のとおりである。
全長28.40m 垂線間長 25.00m 型幅 8.60m 型深3.50m 満載喫水 2.501m
満載排水量 306.53t 燃料油槽 23.42m3 燃料消費量 220l/h 清水槽 17.78m3
主機械 新潟6L25BX型ディーゼル機関X2 出力(連結最大) 900PSx2 (720rpm)
(常用)720PSX2 (668rpm) プロペラ4翼2軸カプラン形コルト・ノズル付
発電機 大洋電機 48kWX2 (原)久保山工85PS x2 無線裝置 VHF
航海計器 ジャイロ・コンパス
速力(試運転最大) 11,824kn(満載航海) 11kn 航距離 11kn にて1,170浬
区域资格 沿海 船型低船尾楼付平甲板型 乗組員 10名 海水および泡沫消防設備を有す
主機は中速ディーゼルで、この規模の船舶では一般的なものだろう。詳しい説明がないが、シリンダーの位置が低いのでトランクスタイプで、4ストロークだろう。
推進器は、アジマススラスターの様だ、昔はタグボートというとシュナイダー式というイメージだったが、こちらの方が推進効率が高いとのようである。Zスクリューという呼び方もあるようだが商標名のようだ。欠点としては、構造上喫水が深くなるということがあるようだが、メリットの方が多いらしい。
Wikipediaの海上自衛隊艦艇一覧と、下のサイトを参考に見てみた。
Eisen.曳船1号~.The Naval Data Base:近代世界艦船事典
http://hush.gooside.com/Text/0A/04E/Eisen.html
58号型は1978年に就役した1番船『曳船58号』から40年以上も建造は続き、現時点で最新の船は2021年3月16日に竣工した「14号」である。
58号型の前に、昭和48年度計画で建造された53号型(200t型港内曳船)が4隻(53号、55号、56号、57号)あり、標準型曳船である58号型の原型となっている。
34号型30t型、60号35t型及び75号50t型は、一回り小型の曳船なので別と考えられる。
20号型曳船曳船21号という供与船が、かつてあり、1954.6竣工したアメリカ鋼製港内曳船YTL749なのだそうだ。排水量基準 110t、満載 115t、全長 21.0m、全幅5.9m、喫水2.2m、機関1軸ディーゼル, 600hp、速力12ノット、乗員6という船で、55.1/23日本に供与され87.10/22除籍(返還)となっている。
その後25号級曳船というのが、1954計画支援船(曳船)として6隻(曳船25号、曳船26号、曳船27号、曳船29号、曳船30号、曳船31号)建造された。この船の要目には14x4x0.9x(1.8)m D/2 320bhp 11kntとあり、曳船21号より、やや小ぶりぐらいの船のようである。その後、昭和37年以降、35号級曳船100t型鋼製(曳船35号、曳船40号、曳船44号、曳船46号、曳船48号)が建造されている。
他に、供与船として曳船50号型というのが2隻あり、旧・米「LCM(56ft)型」 の流用で60トン、長さ56フィート(17 m)、ビーム17.5フィート(5.3 m)、推進グレイマリン225馬力ディーゼルエンジン2基、スピード8ノットという船で、いわゆる上陸用舟艇である。これは34号型につながる小型曳船の系列につながるものだろう。
このようにみると大型曳船については供与された20号型と国産の25号級曳船6隻が昭和30年頃から使われている。その前年の計画であるから、海上自衛隊創立時ということになる。昭和37年の計画以降、35号級が5隻追加されるが、ここまでは排水量100t程度の船である。
昭和48年度計画の53号型から200t級になる。この昭和48年度計画は第4次防衛力整備計画にあたる。58号型1番船の就役した1978年は昭和53年であり、53中業が始まるが、この船の計画はそれより前になるから、これも4次防の計画に入るだろう。
第3次防衛力整備計画に基づく昭和45年度計画の護衛艦には「はるな」級4,700トン型ヘリコプター搭載護衛艦が、すでに出現している。第4次防衛力整備計画に基づく昭和48年度計画には「あさかぜ」級の3,800トン護衛艦が出現し、4000t前後からこれを超えるものが出て来る。
第2次防衛力整備計画に基づく昭和38年度計画では、3,000トン型の「たかつき」程度であり、当時、唯一の補給艦も昭和35年度予算において急遽計上された、2,900トン級給油艦の「はまな(初代)」があるように大きなもので排水量3000t程度であった。
曳船の規模として、どの程度のものが必要なのかというのは単純な話ではないようだが、下のようなものがある。
タグボート使用基準(名古屋港、四日市港)
http://isemikawapilot.jp/jo-ho-ko-kai/nagoya.yokkaichi.eisen.pdf
この資料は商船に対するものだから、GT、即ち総トン数を基準としている。排水量は重さで、総トン数は容積だから本来比較できるものではないが、非常に乱暴な比較だが、総トン数の半分から3分の1程度が排水量になる。
この基準の岸壁に係留する場合には、5千GT未満には、小型又は中型1隻であるが、これを超えて2万GT未満が、小型又は中型2隻となっている。小型とは1,100~1,900hpであり、中型というのは1,900~3,000hpのものを示している。これからすると21号型や25号型などは、海上自衛隊では大型の系列だが、ここでは小型にも満たないもので、まして34号型、60号型及び75号型などは最初から相手にされていない。1500馬力の53号型や約1800馬力58号型が小型に当たるようだ。
5千GTを、排水量2,500~1,700tとすると、58号型程度のものが1隻、これを超え2万GTまでで2隻必要となる。この基準からみれば、すでに2次防以前の段階で、海上自衛隊の曳船の勢力は力不足だったことになる。
2万GT、概ね排水量1万t~7千tを超えると、中型又は大型を2隻必要とするそうだ。
護衛艦「むらさめ」4,400トン、ヘリコプター搭載護衛艦「はるな」4,700トンでなんとか、補給艦「とわだ」で8,100トンやヘリコプター搭載護衛艦「いずも」は19,500トンになり、6万~4万GTぐらいになるから、手に負えないということになる。
4次防での8艦6機体制で、ヘリコプター3機搭載艦を装備することとなり、さらに(164)で説明したように、純ガスタービン艦の配備で、もともと大型な補給艦の必要性が高まったことから53号型や、それに続く58号型の配備が急務となったのではないだろうか。
2010年3月15日竣工の95号から、2600馬力に向上したようだ。これでもやっと中型に当たる。「いずも」は、この基準でゆけば大型を2隻から3隻必要とするクラスに該当するので、まだ力不足ということになる。
出初式などで、タグボートが放水を行うが、58号型も、ブリッジの上に放水ターレットを2門装備し、消防活動を行なう事ができる。火災の記事を探したが放水している画像は見当たらなかった。
下の記事を見ると
曳船 260t型
http://rightwing.sakura.ne.jp/equipment/jmsdf/ships/yt260t/yt260t.html
「支援船と言えど内部にはテーブルとソファを備えた「待機室」という部屋があったり、洗濯機やキッチンが設えてあったりと、乗員が簡易な生活ができるようになっている。」そうである。
「防眩物には不要になったP-3C哨戒機の古タイヤが利用されているが、作業の際に艦艇をタイヤ跡で汚さないように、網状のロープやシートが被せられている。」ということだ。画像を見ると消防ホースの様なものが掛けてある。遠目にみると、ホワイト・テリアの口まわりの毛のように見えて、可愛らしく見える。
「様々な改良が施されており、マストがトップから1/3のところで折りたためたり、煙突が廃止され船尾の排気口から排気されるようになっている。さらに新型ではマストが基部近くから折りたためるようになった。その他船橋の上方監視用窓が存在するものとしないものなど、いくつかタイプがあるようだ。」とある。これが何らかの計画に基づくものか、艤装員及び監督官と、メーカーとの間で決まったことなのかはわからない。
支援船が注目されることは滅多にない。そもそも配属された港湾から出ること自体が珍しいからだ。珍しい例としては同型船の86号だったと思うが、「2011年3月の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故の際には汚染水容器となる分割されたメガフロートを現地に曳航する災害派遣」という例がある。しかし、69号には、その他多くの船に見られるように特筆するような話はない。一般公開することもないので、記事としては下のようなものだけである。
佐監公示第14号30. 1. 18支援船等の定期検査、年次検査及び中間修理並びに臨時修理に係る契約 希望者募集要項(公募)
https://www.mod.go.jp/msdf/bukei/s0/nyuusatsu/K-30-0118-0014.pdf
えんとつちゃんギャラリー 1997.5月撮影
https://www.picuki.com/media/2535361389267368273
海上自衛隊 曳船58号型 YT69 – JMSDF yard tug-boat 2017/11/30
https://www.youtube.com/watch?v=_3mcZCX5ChA
軍事問題研究会関連資料販売 関連資料として以下を所蔵しております。お問合せはこちらへ
多くが重複するので(164)の方もご覧ください。
(資料番号:21.6.25-2)「『新たな次元』に向かう日豪の安全保障協力」『NIDSコメンタリー』(防衛研究所)第175号(2021年6月22日)
(資料番号:21.6.14-1)「第9回日豪外務・防衛閣僚協議(「2+2」)共同声明」(2021年6月9日)日豪政府が、自衛隊が豪軍艦艇や航空機を警護する「武器等防護」について
(資料番号:20.8.16-2)「冷戦後の日豪安全保障協力(その1)」(防衛研究所平成28年度基礎研究成果報告書)
(資料番号:19.10.25-3)「防衛」(財務省 2019年10月23日)調達方法を見直すなどしてコスト削減を徹底すべきだと提言
(資料番号:19.10.25-4)「防衛(参考資料)」(財務省 2019年10月23日)調達方法を見直すなどしてコスト削減を徹底すべきだと提言
(資料番号:19.9.3-1)「長期契約法と後年度負担―防衛装備品の調達と防衛関係費をめぐる国会論議―」『立法と調査』 (参議院常任委員会調査室・特別調査室)第414号(2019年7月1日)掲載
(資料番号:19.12.11-3)「秘密及び特定秘密の一部又は全部並びに特別防衛秘密を取り扱う課程等について(通達)の一部変更について(通達)」(空幕教第359号 30.11.14)
(資料番号:18.8.1-3)「海上幕僚監部における業務処理要領について(通知)」(海幕総第1298号 27.10.1 一部変更28.9.15)第20 新規装備品等の調達に関する業務 第22 年度業務計画(海幕計画)に対する要望事項の処理要領 第25 中央調達に係る海上自衛隊仕様書の作成に関する業務 第33 艦艇,航空機による広報に関する業務
(資料番号:18.3.15-2)「ポスト四次防における海上自衛隊の兵力整備構想に関する研究―海上防衛力近代化と8艦8機体制―」(防衛研究所平成25年度基礎研究成果報告書)
(資料番号:17.10.30-1)「中央調達の概況(平成29年版)」(防衛装備庁)
(資料番号:15.2.26-4)「航空救難部隊」(航空自衛隊教範03-7)
(資料番号:15.1.6-2)「北朝鮮による核及びミサイルの脅威に関する日本国防衛省、大韓民国国防部及びアメリカ合衆国国防省の間の三者間情報共有取決め」(2014年12月26日)
(資料番号:14.11.5-2)「自衛隊法の一部を改正する法律(仮称)案~擬問擬答集~」(2001年6月7日 防衛庁防衛局調査課)
(資料番号:14.7.23-3)「防衛秘密制度の解説」(2003年 防衛庁防衛局調査課)
(資料番号:14.7.17-1)「Managing Sino-U.S. Air and Naval Interactions: Cold War
Lessons and New Avenues of Approach」(The Institute for National
Strategic Studies at National Defense University 2012年9月)
(資料番号:14.7.17-2)「米中空軍及び海軍の接近:冷戦の教訓と新たなアプローチの方法」(米国防大学国家戦略研究所 2012年9月)
(資料番号:14.5.28-1)「齋木外務事務次官から程永華駐日中国大使への抗議」(2014年5月26日)中国軍機異常接近事件関連
(資料番号:14.3.11-3)「防衛秘密記録簿」
(資料番号:13.12.18-4)「特別秘密の保護に関する法律案【逐条解説】」(内閣官房)
(資料番号:13.10.16-1)「防衛秘密の保護に関する業務実施要領について(通達)(登録報告)」(空幕情第520号例規 20.10.20)
(資料番号:13.10.16-2)「防衛秘密の保護に関する訓令」(平成19年防衛省訓令第37号)
(資料番号:13.10.16-3)「防衛秘密の保護に関する達」(平成19年航空自衛隊達第16号)
(資料番号:13.10.16-4)「特別防衛秘密の保護に関する業務実施要領について(通達)(登録報告)」(空幕情第521号例規 20.10.20)
(資料番号:13.10.16-5)「特別防衛秘密の保護に関する訓令」(平成19年防衛省訓令第38号)
(資料番号:13.10.16-6)「特別防衛秘密の保護に関する達」(平成19年航空自衛隊達第17号)
(資料番号:11.5.18-1)「平成22年度中央調達実施概況」
(資料番号:10.11.4-1)「国家による暗号政策—暗号の戦略性と輸出管理—」『外務省調査月報』2001年度/No.1掲載
(資料番号:10.10.14-2)「大韓民国主催拡散に対する安全保障構想(PSI)海上阻止訓練への参加について」(2010年10月6日 防衛省)
(資料番号:10.10.7-2)「韓国主催PSI海上阻止訓練『Eastern Endeavor 10』への我が国の参加」(2010年10月6日)
『軍事民論』第486号(2010年11月8日発行)〈特集〉「リムパック演習が海上自衛隊にROE(交戦規則)を与えた—佐久間 元統幕議長が明かしたROE誕生秘話—」
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