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自衛隊調達巡り(143)方面隊内door to door?無人航空機による積載物の運搬に関する技術援助

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入札日:令和3年8月6日
陸上自衛隊東部方面会計隊
無人航空機による積載物の運搬に関する技術援助
https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/kaikei/eafin/koukoku/20210806-GYOU-0520.pdf
https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/kaikei/eafin/koukoku/20210806-GYOU-0520-1.pdf

 この調達の仕様書の作成部隊は輸送学校研究部であるから、無人航空機を用いての輸送を研究しているのだろう。
 令和3年9月24日(金)~同月27日(月)に日出生台演習場で行うらしい。
 マルチコプター型及びe-VTOL型の無人航空機を用いて、遠隔操作、自律飛行及び映像伝送を行うのが役務内容となっている。
 よくわからないのは、e-VTOLとは電動垂直離着陸機の事らしいのだが、形態のことではないので、電動で垂直離着陸をできれば該当するから、これがマルチコプターなら、単にマルチコプターが2機になるのではないかということだ。
 逆にマルチコプターの方は、動力は問わないわけだ。確かに仕様書にも動力の限定はない。
 技術援助装備品の安全機能の欄には「飛行中にエンジンが停止し・・・」との記載があるが、e-VTOLには、この欄は該当しないのだろうか。
 そもそも規格が細かくあるということは、契約の相手側となる企業が用意しろということだと思う。官側が準備するのなら寄託品という記載がある筈だ。
 ともかくもマルチコプター型であると、それぞれのローターを制御することで姿勢を変えたり、移動方向や速度を変えるのだろう。その制御をエンジンではやり難いかもしれない。ローターの回転速度で制御するなら電動にならざるを得ないのではないだろうか。
 そもそも回転速度による制御だと、径の小さなローターしか対応できない。慣性モーメントが大きくなると簡単には回転数を変えられないからだ。そうなると恒速回転にしてピッチ制御しかなくなる。
 エンジンの制御だと、回転数を変えるのが電動機程、自由ではないからピッチ制御にするだろう。
 マルチコプター型は、安定させて飛行させるのには有利であるが、制御を各ローターによって行うから、頻繁な制御が必要になり運動性は単ロータ型に劣る。それとローターに故障が発生したときに、飛行を維持できるのかという問題がある。ある程度、ローターの数があれば飛行を継続できるかもしれないが、バランスの問題だから、偏って故障すれば落下してしまう。
 輸送目的だから、荷物を搭載したときのバランスへの対応性を考えると、マルチコプターは向いているのだろう。これが偵察用とか攻撃用だと、どれだけ運動性を高速性を求められるかに依ってくるが、単ロータや固定翼の方が有利になってくる。
マルチコプター型の要求事項は次のとおりだ。
・ 最大速度は,60km/h以上とする。
・ 最大積載量は,30Kg以上とする。
・ 最長滞空時間は,35分以上とする。
e-VTOL 型については次のとおりである。
・ 最大速度は,150km/h以上とする。
・ 最大積載量は,6.0Kg以上とする。
・ 最長滞空時間は,29分以上とする。
 ちなみに、これより小さめの飛行性能15マイル(約24km)、30分以内に5ポンド(約2.2kg)以下のものを配送できるというドローンの映像や動画があるので、載せておく。これでも人の背丈ぐらいありそうだが、上の要求性能だとそれよりも大規模になる。

米国でAmazonが新型の自律型ドローンを発表 Prime Airを数か月以内に実現へ 田中亘 2019年6月7日 09:00
https://drone-journal.impress.co.jp/docs/special/1182642.html

 一体何を空輸したいのだろうか。個人装具は隊員が携行するだろうから、あまり期待はされていないと思われる。輸送学校が仕様書を作成しているから、輸送科部隊が使用することを想定しているだろう。輸送科とは輜重兵の陸上自衛隊での呼び方だ。
 輸送科部隊は、現在では中央輸送隊の他、各方面隊には各後方支援隊に各方面輸送隊が、後方支援連隊は各師団及び各旅団に配置されている。普通科の部隊にも高機動車などがあるから、大型トラックやトレーラを使うようなものを対象とする。補給処からの梱包された補給物資や装備品を戦闘部隊に運ぶのが任務だ。
 となると、30㎏とか6㎏の貨物となると、どんなものがあるのか疑問だ。通常、無人航空機を用いるような場面は、端末の普通科や機甲科だろう。空輸は重量物には向かない。それでも戦場には重量物を空輸しなければならない場面があり、ヘリボーンや空自輸送機から物資投下を行うこともある。
 私は空自隊員だったので、陸自の事情には疎いが、空自では緊急請求があった。空自では24時間、待機についている部隊があり、部隊を運用状態に維持する必要があるから、装備品が故障すると平時であっても、補給処や各部隊に前渡ししてある補用部品を、緊急請求を掛けて在庫を調べて、請求した部隊へ緊急輸送をすることがしばしばある。空自の定期便や局地輸送便を用いたり、A請求とか(A、R、M)OCPと言ったが、そういった緊急性の高いものについては特別便を飛ばすこともある。その後は必要とする部隊と、飛行場にある補給隊の双方から車両を出して途中で引き渡すということを行う。私自身、助手として急遽、派遣されたことが何度かあった。おそらくではあるが陸自にも、このようなことはあるだろう。
 車両のエンジンなどは重すぎる。今は陸上装備品も電子化が進んでいるから、サーキットカードとか、それらを組み合わせたシャーシなどが増えているだろう。このようなものは一か所でも故障すると装備品そのものが機能しなくなる。そのようなものは緊急性が高いし、物にもよるが重量も軽い。送信管などは電源や冷却装置があったりするから30㎏ぐらいになることはある。
 輸送でマンアワーが掛るのは荷役作業だ、緊急輸送ならそのような作業を減らしたい、また、陸自では補給単位が部隊になっているし、陸自の部隊は作戦の進捗に従ってどんどん移動してしまう。それらを考えると必要とする部隊に、補給処から一気に運んでしまうことを考えているのではないだろうか。DXが進めば、部隊の編制段階が多く、所在地が変る陸自の部隊もデジタルで場所などを把握できるのだろう。そうすれば一気に飛ばしてしまえば手間も掛らない。
 ただし、単純に最大速度と最長滞空時間から計算しても、マルチコプター型で35km、e-VTOL型で72.5kmしか飛翔できない。重量物を搭載すれば速度も落ちるし、風向きの影響もある。片道で運用するにしても、少し短い。実際には補給処そのものが移動するか、補給所を適当なところに設けてそこから空輸することにならざるを得ない。そうすると荷役が発生してしまう。納入業者との窓口となり、また大量に物資を保管する補給処は簡単には移動できない。そもそも大きな倉庫を必要とする補給処は、敵から見れば大きくて動けない的である。有事には補給物品を分散疎開せざるを得ない。
 35kmと言えば、関東補給処を中心に考えれば春日部市、佐倉市、笠間市といった範囲だし、72.5kmでも坂戸市、一宮町、日立市と言ったところである。方面隊の防衛区域から見ても小さすぎる。中間段階を省いて輸送するにはスペック不足だ。この能力だと後方支援連隊からの端末輸送ぐらいにしか使えない。この性能では、大幅な兵站改革は無理だろう。
 実施するのも日出生台演習場内の様だ。有事にどうなるかはさて置き、現状の航空法では平時は海上ぐらいしか飛行させることができない。12×3kmにも満たない演習場では、地理的尺度を縮小するのだろうが初歩的な実験に留まるだろう。
 本格的にドローンを、補給システムとして運用するならIoTも必要だろう。IoTについての関連記事のURLを参考に下に入れておく。

IoT普及でブロードキャスト増加し輻輳 IoT普及は不可避 通信維持にIoT Dep等不可欠
https://sucanku-mili.club/0000032/701/

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