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〇6月反攻作戦は可能か
このところアメリカの研究機関「戦争研究所」の地図を見ても、ハリコフ付近をウクライナ軍が奪回したものの、大きくは動いていない。ロシア軍がセベロドネツクへの攻勢を強めているということだが、兵力を集中して、一つづつ目標を陥落させているのだろう。
ウクライナ軍に対して欧米諸国などは装備品を供給しているものの、それを使う兵力が足りないのではないか。
ウクライナ優勢の報道を聞くが、先の地図で一向にウクライナの奪回地域が増えておらず、ロシア軍の占領地域が減って居ない。先日、マリウポリで投降したウクライナ兵の集団を見たが、このような映像もウクライナ側にはない。ウクライナが勝利しているのであれば鹵獲兵器も大量に入手できている筈だ。それなら欧米が供与を急ぐまでもないだろう。
6月に攻勢をかけてクリミヤを奪回すると、ゼレンスキーは言っているらしい。だが、その兵力をどこから抽出するのだろう。
反攻作戦というものは最前線で戦っている部隊に出来るようなことではない。ノルマンディー上陸作戦やガタルカナル島の戦い(ウォッチタワー作戦)に見るように、攻撃を受けない後方地域で部隊を編成し、装備を整え、訓練を積んで初めてできることだ。
そもそもだ、反攻作戦をやるのに企図を秘匿しないなんてあり得るだろうか。ノルマンディー上陸では、連合軍はあらゆる欺瞞を行い、ドイツ軍にカレーを目標だと欺いた。ガタルカナルで一木支隊が上陸をかけ全滅したのも、それが米軍の本格的反攻の始まりであることを知りえなかったからに他ならない。
やはり多勢に無勢でウクライナ優勢はあり得ないのではないだろうか。
〇NATO加盟問題
フィンランドとスウェーデンの2か国がNATOへの加盟を申請することが決まった。しかし、報道にあるとおり全加盟国の賛同が必要で、トルコがクルド人問題で、この2か国が非協力的であることから反対しており、加盟が承認されるか課題となっている。
トルコでは、クルド人の過激運動があり治安対処が必要だ。これに干渉する国に加盟を承認しないのは尤もなことである。
またトルコは、ロシアとは貿易上の関係もあるから、それも考慮したと言われているところだ。しかし、それ以外にも影響していることがありそうだ。
フィンランドはロシアと1300km以上に及ぶ国境線を有している。また、スウェーデンの対岸にはロシア領カリーニングラードがあり、500kmもの海岸線とゴットランド島が向き合っている。
北欧二か国の加盟によってNATOの防衛負担は増加するのだ。しかも他のNATO加盟国にとって、この地域の防衛の意味はほとんどない。
NATOは、加盟国にGDP2%の防衛負担を求めて来たが、当該二か国の新規加盟は更に負担を増やすことになる。
ストックホルム国際平和研究所の2020年のデータによると、当該二か国の防衛負担は、フィンランドは1.5%、スウェーデンは1.2%で、2%に及んでいない。因みにロシアと黒海を挟んで対峙するトルコは2.8%であるし、ロシアと国境を接するノルウェーは1.9%、エストニアは2.3%、ラトビアは2.3%、ルーマニアは2.3%だ。親ロシアのベラルーシと国境を接するポーランドも2.2%である。反面、これらのロシアと接する国々の国境線などは当該二か国より多くは短いのである。
もし、当該二か国がNATOに加盟して、ロシアと戦端を開けば、NATOは自動参戦するし、独力で対処するのは難しいから他の加盟国から部隊を増援しなければならないだろう。その分、他の正面が手薄になるのである。
フィンランドとスウェーデンは、少なくともトルコの2.8%を超える負担をしない限り、多くの賛同は得られないのではないだろうか。
なお、この問題についてのウェブ講演会が近々あるので、下に方に紹介する。
〇戦犯問題
ロシア軍の占領した地域で、民間人と思しき遺体が多く確認された。これについて欧米では一応に虐殺だとの声が上がっている。
これについては十分な捜査が必要だろうが、現時点で虐殺と断定出来ないだろう。少なくとも刑事手続きであれば厳格な手続きが求められる。
武力紛争国際法においては、民間人と言うだけでは完全な保護資格を得ることはできない。非武装の民間人であったにせよ戦場で三度誰何して返答しなかったり、闘争を図れば殺傷されても致し方ない。また、民間人も武装していれば文民として保護される対象とはならない。殺害時に武装していたかどうかは遺体を見ただけでは分かるものでもない。
まして、ウクライナ兵が私服に着かえ、便衣兵として活動していた疑いもあるだろう。だとするなら、それ自体が国際法違犯となる。
あくまでも虐殺というのは、拘束されるなどした者に対して殺害したことを言う。一部に手を拘束されている遺体もあるが、スパイなどとして処刑されたものかもしれない。そもそも虐殺したなら、なぜ遺体が路上に広く散乱しているのだろうか。
また民間施設が攻撃されたとあるものの、遠距離火力の攻撃において、その建物が民間施設であるかどうかを判別することは不可能である。市街戦になればこれらの民間施設も、陣地として使われる可能性は常にある。
ハーグ陸戦規則やジュネーブ諸条約にあるように、無防守都市、あるいは無防備地域として、部隊を遠ざけ、公表しない限りは保護対象とは言い切れないのである。
現時点で、戦争犯罪と断罪することは出来ないだろう。更なる捜査や調査が必要なのではないだろうか。
〇極東の緊迫度
極東においては、緊張はあるもののウクライナでの紛争の影響は大きくは出ていない。
米軍の艦艇の日本への寄港は例年よりは増えているようだ。気になるのは遠征海上基地であるESB-5ミゲル・キースが来航していることもあるが、多くはウクライナの状況と直接関係するものではないようだ。それらの多くが艦船の修理に関係するものだがらだ。
ただ、4月には横須賀を母港とする艦船が集中していたということもあった。
22.4.24 ヨコスカ平和船団同乗記 母港艦船がすべて在港していた横須賀基地
http://www.rimpeace.or.jp//jrp/umi/yokosuka/220424heiwasendan.html
また注目すべきは、今年に入ってから攻撃型原潜の活動が活発化していそうなことがある。これはロシアが核による恫喝を行っていることに対する対応だろう。ロシアの戦略ミサイル原潜の動きを追跡しているのではないだろうか。音響測定艦の動きもやや活発なようだ。
原潜アレキサンドリア、横須賀寄港
http://www.rimpeace.or.jp//jrp/umi/yokosuka/220418ssn757.html
以前、下の記事で取り上げたが相模湾での米海軍ヘリによる魚雷発射訓練もあった。
ロシア軍も揚陸艦が車両を搭載して津軽海峡などを通航したという動きもある。ただしロシアとしても極東でごたごたを起こしたくはないのではないだろうか。ウクライナでの戦闘で手一杯だからだ。
それは知床でのKAZU 1遭難者の捜索でも、ロシアが平時条約であるSAR条約に基づいて捜索に協力していることからも言えるだろう。いま、余計な所で火種を起こしたくないということだろう。
〇ウェブ講演会の紹介
「フィンランド・スウェーデンのNATO加盟と欧州における中立制度」
https://www.grips.ac.jp/jp/events/20220601-7994/
日時:2022年6月20日(月)日本時間20:00~22:00
フィンランドとスウェーデンが、NATO加盟申請の決断をしたことは、欧州の安全保障制度を大きく変更することになる。ロシアとNATOの国境線は倍になり、バルト海は「NATOの湖」となる。この二国のNATO加盟を歓迎する声も多いが、この決断が更なる緊張のエスカレーションを招くことを心配する声もある。フィンランド、スウェーデンはなぜこのような決断をするに至ったのか、両国の国際関係の専門家に聞く。
実施方法:オンライン(Zoom)
(録画は後日GRIPSのYouTubeチャンネル及びNeutralityStudies.comのページで公開予定)
下記リンクより事前登録してください。
https://zoom.us/meeting/register/tJAsdOqsrzoiGdCIPxv9C-m4qWkYa99W9EBG
登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。
言語:英語(日本語の同時通訳あり)
主催:政策研究大学院大学及びNeutralitStudies.com
講演者:
トーマス・ヨンテル教授
Swedish Neutrality and NATO membership
ストックホルム大学国際関係学科教授。スウェーデン国際法・軍縮代表団メンバー、スウェーデン外務省諮問会議メンバー。核不拡散とエネルギー安全保障が専門。著書The
Key to Nuclear Restraint (Palgrave Macmillan)。
タピオ・ユントゥネン氏
Finnish Neutrality and NATO membership
フィンランド・タンペレ大学安全保障学講師。フィンランド外交政策における冷戦時代の核兵器の影響及びフィンランドの外交・安全保障政策の歴史を専門とする。最近Best
Pracitces in the whole-of-society approach in countering hybrid threats
<https://www.europarl.europa.eu/thinktank/en/document/EXPO_STU(2021)653632>(EU
Parliament Study)を出版。
コメンテーター:
パスカル・ロッタ博士
早稲田大学高等研究所招聘研究員、テンプル大学日本キャンパス非常勤教授。専門は中立、ヨーロッパ政治。国際関係における中立の役割を研究し、著書Neutral
Beyond the Cold (Lexington Books)を出版。
司会者:
岩間陽子教授
政策研究大学院大学戦略研究プログラムディレクター、海上保安政策プログラムディレクター、安全保障・国際問題プログラムディレクター、教授。NATOにおける核共有の起源とその展開、及び核兵器不拡散条約(NPT)との関係を研究。最近の編著に
Joining the Non-Proliferation Treaty (Routledge)。
*本プロジェクトは、科研費JSPS
17H00972と、GRIPS政策研究センターリサーチ・プロジェクトG221RP205の支援を受けています。
軍事問題研究会関連資料の紹介 関連資料として以下を所蔵しておりますので応談承ります。なお在庫切れの場合はご容赦下さい。お問合せはこちらへ。
なお、「ロシア」に関する資料についてはこちら、「ソ連」「ソビエト」に関する資料についてはこちら、「ウクライナ」に関する資料についてはこちら、「NATO」に関する資料についてはこちらです。
(資料番号:22.3.14-1)「トルコがダーダネルス・ボスポラス海峡における軍艦の通航を制限―国際法から見たロシアによるウクライナ侵攻③」(海上自衛隊幹部学校戦略研究会 コラム218 2022/03/10)
(資料番号:20.6.9-2)「『北朝鮮の直派スパイが13年ぶりに検挙』韓国国家情報院・警察」『基礎情報隊資料』(陸自基礎情報隊)2019年8月配信記事
(資料番号:20.4.24-2)「航空機による海難救助のための外国領海上空への入域―『救助入域(Assistance Entry)』の考え方―」『海幹校戦略研究』(海上自衛隊幹部学校)第8巻第1号(2018年7月)掲載
(資料番号:19.10.21-3)「Syria: Turkish Incursion and Conflict Status」(2019年10月16日 米議会調査局)トルコのシリア侵攻関連
(資料番号:19.10.21-4)「Turkey: Background, U.S. Relations, and Sanctions In Brief」(2019年10月16日 米議会調査局)トルコのシリア侵攻関連
(資料番号:19.3.9-1)「米国の国防組織における意思決定プロセス―文民スタッフと軍スタッフの役割を中心にして―」(防衛研究所平成26年度特別研究成果報告書)統合参謀本部と国防長官府の相互関係に関する法令上の規定、ゴールドウォーター・ニコルズ法による戦力計画における JCS の役割の拡大 他
(資料番号:15.1.14-2)「【中国】反スパイ法の制定」『外国の立法』(国立国会図書館調査及び立法考査局)No.262-1(2015年1月:月刊版)掲載
(資料番号:14.8.25-1)「国際法誌上講座―武力紛争時における避難文民の輸送に関する国際法的考察―」『波涛』2014年4月号掲載
(資料番号:14.4.21-5)「市街地戦における戦車の運用」『FUJI』13年8月号掲載
(資料番号:14.3.13-1)「拡大する世界の原発開発と我が国の原子力協力―日・UAE原子力協定、日・トルコ原子力協定―」『立法と調査』(参議院常任委員会調査室・特別調査室)第350号(2014年3月3日)掲載
(資料番号:14.2.4-1)「ノルウェーの北部地域政策について」『波涛』2013年1月号掲載
(資料番号:13.11.5-1)「『防衛秘密に係わるスパイ行為等の防止に関する法律案』に対する意見書」(1986年11月18日)
(資料番号:11.12.26-3)「冷戦後フィンランドの平和活動の変容―なぜNATOとの協力を強化するのか―」『論究』(衆議院調査局)第8号(2011年12月)
(資料番号:11.12.26-4)「国際法における戦争に至らない武力行使の問題」『論究』(衆議院調査局)第8号(2011年12月)(資料番号:11.12.26-3)「冷戦後フィンランドの平和活動の変容―なぜNATOとの協力を強化するのか―」『論究』(衆議院調査局)第8号(2011年12月)
(資料番号:11.7.9-1)「市街地戦」(陸自教範5-04-01-10-17-0)
(資料番号:11.7.9-2)「市街地戦編さん理由書」(陸上幕僚監部 2005年11月)
(資料番号:10.9.3-1)「ソマリア周辺海域派遣捜査隊 初動捜査マニュアル」(平成22年3月初版 平成22年7月改訂 国際刑事課海賊対策室)
(資料番号:10.8.20-3)「無人航空機の運用に携わる文民の国際法上の地位」『法翼』(空幕首席法務官)第27号(平成21年)掲載
(資料番号:09.10.27-1)「スウェーデンの国防に対する核兵器の軍事的意義」 *防衛研究所第40期一般課程軍事コース「核戦力」講義参考資料。
(資料番号:08.10.21-1)「スパイ防止法案」『調査と情報』(国会図書館調査及び立法考査局)第7号(1986年10月24日)
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