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ウクライナに24日、ロシア軍が侵攻し、様々なニュースがあるので、気になったものをいくつか解説したい。
〇 2月12日のアメリカ潜水艦
まず、戦端勃発より少し前の話になるが、ロシアが、千島列島ウルップ島周辺でアメリカの潜水艦が領海を侵犯したと抗議したことがあった。
2月の12日の事だそうだ。潜水艦は浮上状態なら他国の領海内を、ただ航行するだけなら無害通航になるが、潜航して領海に進入することは許されていない。
これに対し、アメリカのインド太平洋軍は領海内ではなく、正確な位置をコメントしていないものの、国際水域で活動していると反論した。
ここで注意すべきなのは、ロシアはアメリカの潜水艦であると名指ししていることだ。さらにアメリカは、そんなところに潜水艦は居なかったと言えばよいのに、領海に入っていないとわざわざ言っているのである。
それは場所は問わないものの、ウルップ島の周辺に居たということを暗に認めているに他ならない。本来、潜水艦は隠密に行動するもので所在を明らかにしてはいけないものだろう。
ロシアは、その潜水艦がアメリカのもので、バージニア級とまで言っている。記事には浮上しているとか潜航しているということは書かれていないが普通、潜水艦が行動する場合、位置を秘匿しているのだから潜航していたに違いないが、その潜水艦をアメリカのものだと識別したということは、ロシアはアメリカの潜水艦の音紋情報を把握しているということを意味する。
アメリカは知らぬ存ぜぬを通せなかったのだろう。
因みに、ウルップ島と言えばかなり緯度が高い。しかも2月である。水温は間違いなく低かったろう。低温の海域では水中の音波は遠くに届かず、海面上から空中に逃げてしまう。
水中の音波は、水温が高い程、及び水圧が高いほど音速が高くなる。暖かい海域では水深数百メートル位まで暖かい海水がある。浅いところほど海水温が高く、音波は下向きに進んでゆく。その下の海水はほぼ4℃に向かって温度は下がるが、あまり温度に差はなく、水圧は10m毎に1気圧づつ高くなり、音は上向きに進むのである。
暖かい海域であると、水温がほぼ一定となる水深を挟んで、水平方向に伝わるのであるが、冷たい海域ではその暖かい部分がなく、みな音は上向きに曲がってしまうという理屈だ。
したがってロシアは、アメリカの潜水艦をかなり狭い範囲で捕捉したということになる。しかも潜航中の潜水艦は自分の位置を慣性航法で知るしかないから潜航時間が長くなるほど誤差が大きくなる。それに対し水上で活動していたロシアはかなり精密に位置を把握していただろう。
ウルップ島といえば千島列島であり、その西側はロシアの戦略ミサイル潜水艦の聖域であるオホーツク海だ。バージニア級は攻撃型潜水艦であり、これを攻撃するのが任務である。
ロシア海軍がこの時期に、発表したのはアメリカの潜水艦の音紋をすべて把握しているぞと釘をさしたのだろう。ということは24日のウクライナ侵攻は予定されていたのかも知れない。攻撃に来たら沈めるぞという意思表示をしたのだろう。
そういえば英国の対潜艦艇の曳航ソナーにロシアの潜水艦がぶつかったという話も少し前にあった。曳航ソナーといえば遠距離探索用だ。これにぶつかるまで気が付かなかったというのも気になる。
あれはいつでも気づかれずに接近できることを知らせるために、曳航ソナーの耳にキスをしていったに違いない。
〇 ロシア軍のウクライナ侵攻兵力
次に、戦端前のウクライナ周辺のロシア軍の戦力についてである。演習ということでウクライナ国境西方に居たロシア軍は10万人と言われていた。これにベラルーシ方面やクリミヤ、それから新ロシア武装勢力を含めても19万人だろうということであった。
アフガン侵攻の時は約13万であった。ちなみに比較でいえば日本本土決戦におけるアメリカのダウンフォール作戦は約100万人で計画され、日本のポツダム宣言受諾による停戦を受けて約70万人に減らされた。沖縄戦では約50万人、イラク戦争で約30万人、朝鮮戦争や湾岸戦争で約100万人だ。
実のところ私も戦力不足で直ぐには侵攻できないだろうと見ていた。もしかしたら24日までに動員をかけていた可能性もないわけではないが、かなり兵力不足で開始したのかもしれない。
時代が違っても占領するための人員というのは、それ程変るものではないから、今後の作戦に影響するかもしれない。
〇 キエフ攻略戦状況
28日現在、ロシア軍が苦戦しているという情報がある。また燃料不足ではないかという話も出ている。これについては、私は意図的に進んで居ないのではないかと見る。
というのは、都市を攻略するに当たり、そのままの編成では戦えないからだ。現在の情報ではキエフから30km付近にロシア軍が留まっているということと、路上を5kmほどの隊列があるという情報だ。
30kmというと15cm級の榴弾砲の射程距離に当たる。射程距離圏外で部隊を集結させ、各兵科の部隊を再編するとともに包囲を進めているのではないだろうか。
現在、ロシア軍が苦戦していると言われているが映像でみる限りロシア軍が軽武装なのだ。MBTの数が少なく、ソフトスキン車両が割合が多い。おそらく捜索部隊であり、威力偵察も含めウクライナ側の配置や兵力組成、障害物などを偵察するとともに、編成中の本隊にウクライナ軍が接近できないようにしている可能性が高い。苦戦に見えるのは少ない部隊で偵察しなければならないからだ。
いま、停戦を巡っての協議をベラルーシで行っているのでそのためもあるだろうが、それは集結のための時間稼ぎでもあろう。
本体がキエフを包囲したのち、砲爆撃で市街戦の拠点となる建物などを破壊し、その後、多連装ロケットなどによる火力支援と攻撃ヘリの支援を受けて地上部隊が侵攻すると思われる。
〇 EU諸国の対ウクライナ武器供与
次の話題として、EUがウクライナに武器援助をする話が今日になって出て来た。戦端が開かれる前からウクライナに対する援助は行われていたが、戦端が開かれた以降は状況が異なってくる。なぜなら参戦国に対してNATOやEUの国々は中立国という位置づけになるからだ。かつては宣戦布告を伴う本来の戦争に限られていたが現在では武力紛争すべてが該当するから、すでに戦端が開かれている以上、参戦国と中立国の関係になる。
中立国であるためには中立義務を順守しなければならず、それに違犯すれば参戦国と見做される。例えばロシア軍の進撃拠点となったベラルーシは参戦国と見做されたようだ。
武器を参戦国に送ることは、中立義務の違犯事項になる。というのは武器や燃料などは戦時禁制品に当たるからである。
ウクライナに送るとすれば黒海からの陸揚げは難しいだろうから、ポーランド、チェコ、ハンガリーとの国境を越え、陸路か空路ということになる。いわば援ゼレンスキールートだ。
当然、これらの輸送部隊を送り出している国をロシア軍は参戦国と見做し攻撃するだろう。
現在、武器を輸出するとしているのはチェコ、オランダ、ポルトガルという事だが、問題となるのはNATO加盟国だということだ。NATOには自動参戦条項があるから、ロシア軍が攻撃を加えればNATO加盟国すべてが参戦国となる。それは第三次世界大戦を意味するだろう。
NATOが参戦するとなればウクライナは遠すぎ周囲をロシア側に囲まれているから、進撃すれば袋のネズミになってしまう。流石にそのような作戦はしない。となれば、ロシアの弱点を叩くだろう。それはロシアの飛び地カリーニングラードだ。NATOにとってもスバルキ・ギャップ(Suwalki Gap)をロシアに握られればバルト三国が孤立するし、バルト沿岸はバルト艦隊の出口である。
この地でNATOとロシアが対峙し戦闘となれば、起きることは核攻撃のエスカレーションになる。ロシア軍が核装備部隊の警戒態勢を上げたのも、ベラルーシへの核持ち込みを認めさせたのも、それに備えるためと思われる。
ウクライナへの武器供与は危険な賭けになるだろう。
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ウクライナは「局地戦」で終わらない…米ロ衝突と「新・核戦争」は、現実的な脅威
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https://www.jiia.or.jp/2022/02/25/ukraine-crisis.pdf
ロシアがウクライナに侵攻する場合の想定される5つのシナリオ What Russia might do in Ukraine: 5 scenarios
https://breakingdefense.com/2021/12/what-russia-might-do-in-ukraine-5-scenarios/
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