入札日:令和4年3月8日
陸上自衛隊北熊本駐屯地 第392会計隊
三の岳無線中継所で使用する電気(低圧)
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/info/nyusatu/ 200番
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/info/nyusatu/wa-fin/03/392_0225_009_0.pdf
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/
https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/info/nyusatu/wa-fin/03/392_0225_009_2.pdf
表題にあるように無線中継所で使用する電気に関する調達である。調達するのは北熊本駐屯地に所在する西部会計方面隊第392会計隊であり、仕様書の作成は駐屯地業務隊管理科受電所である。陸上自衛隊の場合、納地は物品管理単位が部隊になっているのが普通であり、施設については例外として駐屯地業務隊となる。
調達の内容としては平成4年度の電力供給だ。普通は前年度の3/四半期に、前年度の使用量実績を基に見積もるのが普通だ。このような施設の場合は私も良く知らないのだが、メーターを見てと言うよりも、1時間当たりの使用機材の定格電力を足し算していると思う。
この契約では二種類の電力の契約となっている。
3相3線式 200V 44kw 60Hz 低圧電力
単相3線式 200/100V 8kVA 60Hz 従量電灯C
低圧電力とは、契約電力が原則として50kw未満のもので、契約電力1kwに付き電力量基本料金993円60銭/月の定額制だ。夏季や力率で増減するらしい。
電気供給約款 平成26年3月1日実施 九州電力株式会社
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/
https://www.kyuden.co.jp/library/pdf/agreement/clause/power_supply/h26file/denki_140110.pdf
従量電灯Cとは、九州電力によると、現時点で契約容量が6kVA以上、50kVA未満の場合で、最初の120kWhまで17.46円、120kWh超過300kWhまで23.06円、300kWh超過分26.06円となる契約内容である。
3相3線式というのは、120度位相のズレた交流電流を3つの線で供給するもので、3つを全部足すと0になる理屈でアース線が必要なくなる。まあ交流モーターがステータのコイルを120度ずらして配置することが多いから都合が良いのだろう。
単相3線式は、東京電力のサイトを見ると、
単相3線式と単相2線式の違い-東京電力
https://www.tepco.co.jp/pg/consignment/for-general/basic-knowledge/monophase.html
「「単相3線式」は、3本の電線のうち真ん中の中性線と上または下の電圧線を利用すれば100ボルト、中性線以外の上と下の電圧線を利用すれば200ボルトが利用できます。「単相2線式」は、電圧線と中性線の2本の線を利用するので、100ボルトしか使用することができません。」とあるとおりだ。
100Vと書いてあるものの、交流だから電圧は変化する。通常、実効値を使うから最大値は141Vぐらいになる筈だ。
まあ、この調達は電気を買うだけのことではある。問題は、その供給先だ。この仕様書には三の岳無線中継所の所在地を熊本県熊本市西区河内町三の岳としている。中継所だから見通しの良い高地に設置するものだが、この中継所も金峰山の頂きである。金峰山はカルデラの火山で一の岳を中心に外輪山が取り囲んでいるため頂が複数ある。その中でも高い三つの頂の一つである三の岳にあるというわけだ。一の岳が有名だそうだが、その一の岳の北方約5kmのところに3つの鉄塔を確認することができる。
そのすべてが自衛隊のものかは分からない。国土地理院の地図にもただ電波塔の記号が3つあるだけだからだ。そのロケーションについては北のものから10進法標記で下のとおりである。
32.857475, 130.632984
32.857306, 130.632417
32.856683, 130.632164
それぞれの位置関係は、一番北の鉄塔から真ん中の鉄塔までは252度(西南西)に約57m、南の鉄塔までは221度(南西)に約115mという配置だ。
3基とも多数のパラボラアンテナを下の様に様々な方向へ備えている。
北塔 10度(北)49度(北東)65度(東北東)148度(南南東)
188度(南南東)336度(北北西)
中塔 0度(北)93度(東)133度(南東)192度(南南西)262度(西)
南塔 76度(東北東)84度(東)124度(南東)160度(南南東)352度(北)
これらのアンテナの中で対局が駐屯地等に確認できるのは、中央鉄塔の93度と高遊原分屯地鉄塔の253度のアンテナである。若干逸れるのだが北鉄塔の45度と玖珠駐屯地鉄塔の187度のアンテナ、が概ね対局の様だ。
他のアンテナがどこの対局に向いているのか分からない。中央鉄塔の91度が北熊本駐屯地、南鉄塔の353度が久留米駐屯地及び前川駐屯地、北鉄塔の339度が目達原駐屯地、南鉄塔の160度が、えびの駐屯地、それと北鉄塔の338度が航空自衛隊の高良台分屯基地を向いているのだが対局となる鉄塔がない。
健軍駐屯地は、三の岳からであると104度になる。健軍駐屯地には282度のアンテナがあるが、対となる104度のアンテナが三の岳にはない。しかも両方の向く線は平行線となり、相互に向かい合わず交点がないから中継にならない。
三の岳側のアンテナで、左右向きのズレが一番近いのは其々124度と93度だが、その差は20度、11度であり、あまりに大きすぎる。
興味深いのは、この健軍駐屯地の282度のアンテナが一の岳に向いていることだ。しかし、ここには防衛省の鉄塔らしきものが無い。健軍駐屯地を向くアンテナがNHKの鉄塔に1つ、エフエム熊本の鉄塔に2つあるが、鉄塔を借りているのだろうか。それにしても三の岳を向くアンテナが見当たらない。因みにこれを更に延長すると竹松駐屯地の方を向くのである。しかし、竹松にも大村にもマイクロ鉄塔はなく、隣接する海上自衛隊の大村航空基地にあるマイクロ鉄塔(32.93133931218136, 129.9302601342003)には西を向くアンテナしかない。まして相互の距離が50㎞以下を普通とするマイクロ中継としては長すぎる140㎞もあり、しかも間に一の岳を挟むから見通し線も取れそうもない。
その途中の五家原岳(32.95801896221762, 130.0766166780586)も少々怪しいところだ。三の岳から282度、一の岳から287度に約55㎞程の頂である。大村と中継するにはここが良い中継点になる筈だが、テレビ中継局位しか見当たらない。
健軍駐屯地の332度のアンテナは目達原駐屯地を向いているのだが、その目達原駐屯地にもマイクロ鉄塔がない。距離も68㎞もあるからマイクロ回線には遠すぎる。
黒木谷デジタルテレビ中継局(33.240100325931394, 130.6969810594178)が、福岡県八女市星野村字村上1619-2にあるが、健軍駐屯地の353度のアンテナがこの方向を向いている。距離も50㎞ということで距離としても妥当と言える。ただ対局となるアンテナが確認できない。因みに確認できるアンテナはやや右向きだが目達原駐屯地の方向にかなり近い。
三の岳には16の方向に向くアンテナのグループがあるわけだが、16方位で分けて北東から東を向くものが3つある。これらの向きにあるのは玖珠、湯布院、別府、南別府、大分の各駐屯地、そして東向きの分類になるが海自の佐伯基地分権隊になる。これらの駐屯地等との間には九重連山や阿蘇山などがあり見通し線は取れそうもない。
南東から南南東に向けては2つのアンテナがあるが、この方位には陸上自衛隊の駐屯地等はなく、空自の新田原基地があるだけだ。その先は太平洋で遥か先に空自の硫黄島分屯基地や海自の父島基地分権隊と南鳥島航空派遣隊がある。もちろん九州山地が邪魔をするし、太平洋の基地等はマイクロ回線としては遠すぎる。
南南東から南南西に向けては4つのアンテナが向いている。こちらには陸自や海自の基地等がいくつもあるが、直接にマイクロ回線でつなぐには遠すぎるし地形も山がちだ。
以上のように適切な対局が見当たらないものも多いが、どこか中継局があるのだろうか。これらを探すのは少々骨が折れる。一応、玖珠駐屯地の187度アンテナの延長上を調べてみたが、線上には下の二つが確認された。
22㎞先の電波塔
33.09708040841145, 131.13798351603685
3㎞先の西玖珠デジタルテレビ中継局
33.26142107624396, 131.13962703961397
しかし、22㎞先の電波塔はパラボラアンテナが確認できない。3㎞先の西玖珠デジタルテレビ中継局は民間企業だから賃貸などをしないと使えない。おそらくこの二つは該当しないだろう。
兎に角も可能性の高いのは、三の岳の93度と高遊原分屯地253度のアンテナの組み合わせと、同じく三の岳45度と玖珠駐屯地187度のアンテナの組み合わせだ。玖珠との位置関係は若干ズレがある。
計測した時の誤差もあるだろうし、そもそも地図はUTM投影画法だから図面の中央子午線上以外は歪みもある。しかも電波自体が向きを変える可能性もある。電波のとおる下の地面が傾いていれば回析もあるし、そもそも地面は導電体であるから地面との距離との電磁的容量があり、電波の伝搬速度が変わり進相型導波管形電波レンズとして作用する。山があれば重力の向きが僅かに変わるが、おそらく問題になるような影響はないだろうから、主に電磁的な影響だろう。
おそらく幾何的な作図だけでは、わからない差が生じるのかもしれない。これらの要素はアンテナの実装時に微調整するのだろう。このような要素が影響している可能性は否定できない。
高遊原分屯地に所在する部隊は西部方面ヘリコプター隊第3飛行隊(CH-47JA)、西部方面管制気象隊、西部方面航空野整備隊、第102基地システム通信大隊第319基地通信中隊高遊原派遣隊、第1ヘリコプター団輸送航空隊第109飛行隊(CH-47J)、西部方面警務隊第135地区警務隊高遊原連絡班である。
同様に玖珠駐屯地に所在する部隊は西部方面戦車隊、西部方面特科連隊第2特科大隊の大隊本部と本部管理、第3及び第4の射撃中隊、西部方面後方支援隊の第301戦車直接支援中隊と第101特科直接支援隊第1特科直接支援中隊第2直接支援小隊、第102基地システム通信大隊第304基地通信中隊玖珠派遣隊、西部方面会計隊第404会計隊玖珠派遣隊、玖珠駐屯地業務隊、西部方面対舟艇対戦車隊、第8後方支援連隊第2整備大隊第302対舟艇対戦車直接支援隊、水陸機動団の戦闘上陸大隊第2戦闘上陸中隊と通信中隊玖珠派遣隊と後方支援大隊第2整備中隊戦闘上陸直接支援小隊、西部方面警務隊第134地区警務隊玖珠派遣隊である。
二つの駐屯地等に所在する部隊は上に見るように様々であり、三の岳無線中継所を介して繋がっていたとしても部隊の種類にはあまり関係がない。というよりは、マイクロ回線を使うのは主に部隊間の自動即時電話回線だからだろう。マイクロ回線以外にも電話線による多重通信も併用されていると思う。
この調達が、直接、マイクロ回線で繋がっていそうもない北熊本駐屯地の駐屯地業務隊の所掌なのは、通信としての契約というよりも電力の契約だからだろう。おそらく三の岳無線中継所の施設管理は北熊本駐屯地の担当なのだと考えられる。
面白いのは低圧電力の3相3線式の方の予定使用電力量が月毎に変ることだ。7月が最大の5000kWhなのに対し、1月が最小の3300kWhだ。平均で4233.33kWh、中間地が4400kWhだから一部の使用量の多い月が平均を引き揚げている。標準偏差は603.23だ。標準偏差を超えるのは其々2か月だが、標準偏差の2倍を超える月はない。最大使用量は平均の118.11%になるものの、極端な変動というのは無いということが言える。一部に多めに使うが極端に振れないといった使用量変動だ。むしろかなりコントロールしていると言える。因みに最多値は4700kWhである。それぐらいの電力を必要とする月が多いということだろう。
暑い時期に器材を冷やすのに電力を使うのだろう。秋が低いのは演習で部隊が演習場へ移動してしまうからだろうか。
いずれにせよ、非常用自家発電設備1台(75kVA)を有しているということだから、75kVAで収まるのだろう。バックアップ用の非常用電源や、電力ピークカット用電源となる「保安用/業務用発電機」に当たるのだろう。予定契約電力も44kWだ。WとVAは同じことである。仏馬力で言えば102.0馬力になる。(198)に燃料消費量を載せたが、最大出力を維持すれば1時間当たり20L程度消費するようである。まあこれぐらいの発電機なら高速ディーゼルだろう。
変動なしで使うとすれば瞬間の電力は、最大の5000kWhなら1.39kW、平均の4233.33kWhなら1.18kW、最小の3300kWhなら0.92kWとなる。沢山アンテナがあるから、それぞれに分配されるわけだが、三の岳無線中継所として100wの白熱球を9個から14個つけっぱなしにするようなものだ。
従量電灯Cの単相3線式については季節変動がない。冬場は夜間が長くなるから増えても良いようなものだが、電灯も蛍光灯やLEDが主流だから些細なものなのかもしれない。
軍事問題研究会関連資料の紹介 関連資料として以下を所蔵しておりますので応談承ります。なお在庫切れの場合はご容赦下さい。お問合せはこちらへ。
(資料番号:20.4.2-2)「特集:南西方面の防衛力強化」『そうび』(空自補給本部)No.185(2016年2月)掲載
(資料番号:17.9.26-4)「方面管区制と兵站体制~平時・有事の兵站支援体制と駐屯地業務隊、補給統制本部の統制権~何故、今のような兵站体制が形成されたのか~」『陸戦研究』2016年12月号掲載
(資料番号:16.10.21-1)「特集:南西方面の防衛力強化」『そうび』(空自補給本部)第185号(2016年2月)
(資料番号:11.8.17-2)「南鳥島の保全及び利活用等の現状把握並びに南鳥島航空派遣隊の訪問に関する支援について(通達)」(海幕運4823 22.6.14)
(資料番号:11.8.2-2)「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における確実な出入管理の実施について(注意)」(2011年8月1日 原子力安全・保安院)
関連記事
みのごり@自動収益で100万円稼ぐノウハウ無料公開中
https://7-floor.jp/l/c/uAI904Zm/wtMHDJW1/
少ないフォロワー数でもガンガンに稼げる唯一無二のノウハウ ツイブラ
https://7-floor.jp/l/c/xFMWkzsy/wtMHDJW1/