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自衛隊調達巡り(96)宇宙作戦隊の教官要員育成のための委託教育(令和3年7月1日~12月28日、25名(宇宙概論、宇宙法と宇宙政策、軌道力学概論、通信電子概論、無線通信概論、衛星システム概論、ロケット概論、衛星運用、測位、観測、レーダー概論、光学概論、宇宙状況把握、その他))

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入札日:令和3年6月11日
航空自衛隊府中基地
宇宙作戦隊の教官要員育成のための委託教育(令和3年7月1日~12月28日、25名(宇宙概論、宇宙法と宇宙政策、軌道力学概論、通信電子概論、無線通信概論、衛星システム概論、ロケット概論、衛星運用、測位、観測、レーダー概論、光学概論、宇宙状況把握、その他))
https://www.mod.go.jp/asdf/fuchu/acs/choutatsu/3koukoku.pdf
https://www.mod.go.jp/asdf/fuchu/acs/choutatsu/3siyousyo.pdf

 宇宙作戦隊の教官を育成するための教育である。これから体制を作り上げようということだろう。その話を聞くと航空自衛隊草創期の記録などにあった内容を思い出すのであるが、当時は日本の防空を担っていた米極東空軍の第5空軍から指導を受けていた。それを基に操縦学校や整備学校、通信学校などが整備されたのである。これ以降も新機種や新ミサイルなどの導入にあたって米国に要員を留学させている。それらからすれば近年設立された米宇宙軍に教えを請えば良いようなものであるが、今回は独力で考えているようだ。もしかすると米宇宙軍にも設立後まだ日が浅く、日本を相手にしている余裕がないのかもしれない。
 今回の役務調達における教育内容は次のとおりだ。 
宇宙概論(宇宙開発の歴史、現代の宇宙利用と国際競争、宇宙環境と科学、宇宙天気)、宇宙法と宇宙政策(宇宙国際法と国際宇宙機関、日本の宇宙関連法規と宇宙態勢、諸外国の動向)、軌道力学概論(衛星の運動力学、軌道表現と座標系、時刻系、軌道の種類と利用、軌道決定、軌道予測と制御、摂動、外乱)、通信電子概論(通信電子、電波法制、電磁的干渉、無線局運用)、無線通信概論、衛星システム概論(衛星の種類、開発から運用終了まで、衛星システム、衛星サブシステム)、ロケット概論(ロケット工学基礎、ロケットの種類、打ち上げ運用)、衛星運用(衛星運用、追跡管制設備、衛星異常時の運用)、測位(測位の基礎、準天頂衛星システム、諸外国の測位システム)、観測(リモセン概論、環境モニター)、レーダー概論(レーダー基礎、レーダーセンサー)、光学概論(光学基礎、光学センサー)、宇宙状況把握(SSAの意義等、SSA運用、JAXAでの観測・解析、国際動向)、その他(宇宙に関する最新動向(動向、抗たん性、ISSの運用、その他))
 見るからに網羅的な内容である。一つ一つの項目を見ると、専門書の目次を書き写したのではないかというものもある。なぜか手探り感がある。
 また、通信電子概論やレーダー概論について外部講師の力を借りる必要があるのだろうか。というのは航空自衛隊にとってお家芸の分野で、特定の装備など宇宙に特化したものでない限り浜松基地の第2術科学校で教育しているものだからだ。むしろ航空自衛隊が他に対して教育することができる内容だ。むしろ講師を部内で調達できるのだから下手をすると会計検査で追及されないだろうか。ロケットについても、固体燃料が主であるが、航空自衛隊は扱っているから素人ではない。もっとも陸上自衛隊も海上自衛隊も同様である。実は航空自衛隊は液体燃料ロケットも、かつては扱っていた。昭和40年代のことだ。ナイキ・エイジャックスミサイルは液体燃料だった。私は直接その時代を経験していないが、しばしば劇薬の燃料漏れが生じて、そのおかげで漏えいを発見した警備勤務の隊員が表彰されるといった貢献!?をしたと聞く。
 あるいは、つくばや相模原にあるJAXAに受託依頼をしても良さそうなものだ。近年、民間企業でも宇宙分野の関係企業が出現しているが、まだまだ揺籃期の感があり、中小企業が多い。しかも宇宙利用ということでリモセン分野に偏っているような感が無くもない。はたしてこれら全般を網羅的に教育できるところがあるだろうか。一応最近ではあるが、商工中金の支援を受けて宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合(SSIL)が旗揚げされた。宇宙関連ベンダーによる事業協同組合だ。このように宇宙関連の企業はまだ、零細企業が多く網羅的に宇宙全般を教育することができるような企業というものは無いように思う。
 宇宙法であれば、慶応大学の青木節子先生が大御所だ。最近は齢を重ねられたものの、私は、旧姓の若いときから知っていて結構美人の先生だ。      慶応義塾研究者情報データベース 青木節子
https://k-ris.keio.ac.jp/html/100013299_ja.html
 いずれにせよ、このシラバス案を見る限り、航空自衛隊は宇宙についての知識がほとんどないことを暴露したような内容である。何処に行けばどの様な知識を得られるかも分かって居ないのだろう。
 ちなみに宇宙概論にある宇宙天気については東京都小金井市にある情報通信研究機構NICTが既に予報実務を行っているし、SSAについてはJAXAの委託を受けたJSF(日本スペースフォーラム)が受託し、さらに観測業務を日本スペースガード協会が受託して美星や上斎原のスペースガードセンターが既に行っている。もちろん宇宙の観測については国立天文台や東京大学も実績がある。
 宇宙デブリなど移動速度の大きな物体の観測には東大木曽観測所の観測装置「トモエゴゼン」が有用な筈だ。
東京大学木曽観測所
http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/
 シラバスの中の光学概論光学基礎の中にCCDの表記があるが、今やCMOS全盛である。かつてCMOSはノイズが大きいということで玩具扱いされていたが、CCDはデータの伝送速度が遅く、高速データ処理が必要なものには対応できないことやCMOSの性能アップも著しく、ほぼ置き換わってしまった。トモエゴゼンにもCMOSが使われている。
 そもそも光学基礎と書いてありながら受光素子の内容ばかりで、光学系の内容がない。しかも4時間だ。色収差とかアクロマティックレンズとか、コンテッサ配置とかの内容がなく、これでは光学ではないではないか。
 一般には天体観測というと深宇宙の話ばかりが注目されるが、移動速度が速い天体の観測も注目されているのである。活躍しているのは、すばる望遠鏡ばかりではないのだ。
宇宙天気予報センター
https://swc.nict.go.jp/
美星スペースガードセンター
https://www.jaxa.jp/about/centers/bsgc/index_j.html
上斎原のスペースガードセンター
https://www.jaxa.jp/about/centers/ksgc/index_j.html
 教官要員を育成するなら、そのような先駆者の所に行く方が早いのではないか。落札した企業も、結局、講師を依頼しなければ教育できないだろう。
情報通信研究機構
https://www.nict.go.jp/
日本宇宙フォーラム
http://www.jsforum.or.jp/
日本スペースガード協会
https://www.spaceguard.or.jp/html/ja/index.html
宇宙サービスイノベーションラボ事業協同組合(SSIL)
https://ssil.space/
国立天文台
https://www.nao.ac.jp/

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