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自衛隊調達巡り(202)ボイラー用地下燃料タンク清掃及び点検役務 独立ボイラーを設ける傾向

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入札日:令和4年7月6日
陸上自衛隊真駒内駐屯地第325会計隊
ボイラー用地下燃料タンク清掃及び点検役務
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/
https://www.mod.go.jp/gsdf/nae/fin/nafin/pdf/public_n/04/6/040615-325-n-boirar.pdf
 役務内容は漏洩点検及び燃料タンク(サービスタンク(直接機器に供給する小出タンク)を含む。)清掃である。
 漏洩点検の種類としては、 気相及び埋設管は微加圧検査2㎪、外殻部は加圧検査20㎪となっている。
 点検の要領については次を見てもらいたい。

 それぞれの対象タンクのある設備は次の通りとなっている。埋設管については全てが対象だ。

液相部 
#15整備工場、#123整備工場、#145整備工場、#156整備工場
外殻部 
#16警衛所、#40教場、#68保管庫、#159整備工場×2、#162倉庫、#600発電室
気相部のみ 
#67整備工場、#105整備工場、#126整備工場、#148整備工場、#149整備工場
設置区分は埋設が、#15整備工場、#67整備工場、#105整備工場、#123整備工場、#145整備工場であり、ほかは全てトラフである。

 清掃については、#15整備工場、#16警衛所、#123整備工場 、#145整備工場が該当している。
 地下燃料タンクの用途については、ボイラー用となっている。おそらくは暖房や給湯に使うのだろう。これらの建物の規模で蒸気タービンで発電するのは非効率であるし、非常用としてはすぐに立ち上げる必要があるから、通常は始動性の良いディーゼルエンジンが使われる。
 札幌市内の真駒内が寒冷地であることもあり、暖房や給湯の所要は大きい筈だ。今、点検をするのは温暖な時期でなければ止めるのが困難だからだろう。

 ただ、ここで疑問なのだが、通常、駐屯地や基地には大型のボイラーがあって、蒸気のパイプラインが巡らされているのが普通なのである。私自身、多くの基地や駐屯地を見てきたが概ね道路に沿って配管が設置されている。地上に這わさっていたり、路上を門の様なトラスを組んで渡しているのを沢山見て来た。
 執務室や内務班などには鋳鉄製の放熱器が設置され、内部に蒸気が通って暖房していた。これが起床喇叭より早く、早朝に蒸気が通るとき、カンカン音がして目覚まし代わりになったものだ。また、浴場には浴槽内に蒸気の噴出口があり、水を溜めて風呂を沸かしていたし、食堂の厨房では調理の熱源にしている。
 ところが真駒内駐屯地の画像を見ても、これらの配管が見られない。もしかしたら降雪地帯だから除雪に邪魔にならないように地下に設置されているのかもしれない。きっと、張り巡らされては居るのだろう。

 確かに仕様書の地図にも、下のように2つのボイラーが設置されている。
#87東ボイラー 43.007080313966874, 141.36333833326495
#26西ボイラー 43.00876514843206, 141.35369176854354
 なお、これとは別に第11旅団司令部の西側にもボイラーらしきものが見られるが記載はない。
 43.003698609001866, 141.35624469421293

 上記の2つのボイラーとは別に、この調達で地下タンクの点検対処として挙げられている建物には、個々に地下タンクが設置されている。そのようなことをしなくても、飛び地でない限りは全ての建物に蒸気を送れば良いようなものだ。何か理由がなければ施設工事の予算を承認されないだろうし、会計検査で指摘を受けてしまうだろう。
 確かに私の経験から言えば、昭和の昔は、古い建物を中心にストーブで対処していたこともあった。晩秋になるとトタン製であったか、煙突を天井から針金で吊り下げるのが年中行事だったものだ。ただしこれは温暖な東海地方の話だ。近年では屋上に、外気の熱を利用するヒートポンプが設置され、これで給湯をしている場合もある。個別にエアコンが設置されていたり、ヒートポンプで沸かした湯を導いてファンコイルで暖房していたりする。だが、やはり浴場や厨房などでは蒸気を使っている。
 この調達で対象となっている建物の各地下タンクの詳元と、ロケーションは下のとおりだ。

#15整備工場 18㎘ A重油
43.011662014190726, 141.35795245756339
# 16警衛所 19KL灯油
42.97218504709662, 141.3513624118293
# 40教塌 7KL A重油
42.99890752465293, 141.3573764531806
# 67整備工場 5KL A重油
43.00015808188777, 141.35651345242803
# 68保管庫 10KL A重油 15分
43.01052054380156, 141.35814557661456
#105整備工場 12KL A重油 18分 
43.00193530061802, 141.36000501801044
#123整備工場 10KL A重油 
43.00193530061802, 141.36100279978
#126整備工場 12KL A重油
43.01043816882984, 141.3574160157508
#145整備工場 30KL A重油
43.00082993938389, 141.35838228154986
#148整備工場 10KL A重油 
43.00162144674195, 141.35739254641635
#149整備工場 20KL A重油 
43.002001994354536, 141.35449441958738
#156整備工場 8KL A重油
43.001664601743855, 141.3580470054265
#159整備工場 42KL A重油 & 15KL A重油
43.002959237738516, 141.35888921908435
#162倉庫 18KL A重油
43.0022413066045, 141.35893213443111
#600発電室 1KL軽油
43.00402838957754, 141.35754020116016


 これらの建物は真駒内駐屯地の北側の#15整備工場、 # 68保管庫及び#126整備工場と、南側の# 40教場、# 67整備工場、#105整備工場、#123整備工場、#126整備工場、#145整備工場、#148整備工場、#149整備工場、#156整備工場、#159整備工場、#162倉庫及び#600発電室、それから飛び地の# 16警衛所 にまとまっている。
 対象となる建物が独自のボイラーを有する理由ははっきりしないが、比較的、87東ボイラー及び26西ボイラーから離れた位置にあり、蒸気が冷えてしまうことがあるのではないだろうか。もっとも記載されてない謎のボイラーらしき施設が画像には第11旅団司令部の西側にあり、これがボイラー設備であるなら、やや根拠が薄弱にはなる。
 また、下の昭和49年(1974年)~昭和53年(1978年)の画像を見ると、対象となっている建物でこの時期に存在していたものはない。なお、# 16警衛所は同じ場所に建て替えられたようだ。
https://maps.gsi.go.jp/#18/43.003704/141.356323/&base=ort&ls=ort%7Cgsi-compare-photo%7Cnendophoto2016%7Cnendophoto2007&blend=0&disp=111&lcd=gsi-compare-photo&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1&d=m

 これらの建物が比較的に新しい建物であることから、新たに蒸気管を引き回すことをしなかったのかもしれない。
 逆に駐屯地の中心部の建物は現在でも当時からのものが結構、まだ残っている。
下の画像は昭和59年(1984年)~昭和63年(1986年)のものだが、この時代にもまだ建っていない。
https://maps.gsi.go.jp/#16/43.010100/141.356904/&base=ort&ls=ort%7Cgsi-compare-photo%7Cnendophoto2016%7Cnendophoto2007&blend=0&disp=111&lcd=gsi-compare-photo&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

 下の画像は平成20年(2008年)のものだが、現在とほとんど変わらない。おそらく世紀の変わり目を挟んだ頃に建設されたのだろう。この時期に私は一度、「さっぽろ雪まつり」の会場の一つだった真駒内駐屯地を訪れたことがあるのだが、もちろんどの建物なのかなどさっぱりわからない。真冬だから工事を避けて居たのかもしれないが、工事現場を見た記憶はない。
https://maps.gsi.go.jp/#16/43.000302/141.357059/&base=ort&ls=ort%7Cgsi-compare-photo%7Cnendophoto2016%7Cnendophoto2007&blend=0&disp=111&lcd=gsi-compare-photo&vs=c1g1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

 駐屯地の周辺部だったことに加え、どうやら新しく建設した建物には独立したボイラーを設ける傾向があるようだ。
 駐屯地のボイラー脇にある地上タンクの大きさを映像から図ると直径6.9m、高さは影から見て6m弱だろうか。だとすると440㎘程になる。これが87東ボイラーに2基、26西ボイラー3基、合計5基あるから、全部で2200㎘程になる。これに比べると、今回対象となる地下タンクの容量の多くは10㎘台が多く、大きくても2基で60㎘に達しない。もちろん複数の設備を暖房するのと単独の建物用では違うのは当然のことであるが、おそらくボイラーも小さなものなのだろう。
 ボイラーを分散したのは、おそらく法令上の理由が大きいと思われる。それは本来の法規制を受けるボイラーと、規制が緩和される簡易ボイラーと小型ボイラーというカテゴリー(下に説明あり。)に分けられるからだ。本来のボイラーは設置の許可や定期的な検査が必要になる。また取扱いに携われるのはボイラー技士免許保有者に限られる。これに対して簡易ボイラーなら資格は不要であるし、小型ボイラーの場合は、「小型ボイラー取扱業務特別教育規程」(昭和47年9月30日労働大臣告示第115号)に基づく特別教育を受けた者で良いとなっているからである。教育内容も次の内容を受講するだけでよく、受講費用も1万円台とお手軽だからだ。

1日目 (学科教育)
ボイラーの構造に関する知識
ボイラーの附属品に関する知識
燃料及び燃焼に関する知識
関係法令
2日目 (実技教育)
小型ボイラーの運転及び保守
小型ボイラーの点検

 自衛官、所謂、制服組は転勤が多く、特定の専門家を長く同じ場所で勤務させるのは困難である。私は陸上自衛隊の人事について詳しくないが、航空自衛隊では給汽員という特技職がある。だが彼らは、即ち下士官、即ち兵卒の階級だ。彼らを指揮する幹部、即ち将校には施設幹部が充てられるだろうが、給汽員だけでなく、数多くの特技職の隊員を取りまとめているし、幹部自衛官を長期間一つの職場に貼り付けて置くことは、人事が回らなくなる上に、なにより経歴管理上、階級に応じた様々なポストを経験させて行く必要が出てくるので不可能である。
 だがボイラーの技術者且つ責任者となれば、やはり責任上、幹部自衛官となってしまう。下のは陸上自衛隊の規則だ。

ボイラー及び圧力容器取扱規則 昭和49年4月19日 陸上自衛隊達第83―6号
http://www.clearing.mod.go.jp/kunrei_data/f_fd/1974/fy19740419_00083_006.pdf

 この規則では、第2条第9号でボイラー使用責任者という職務を、職名指定として駐屯地業務隊長を充てている。駐屯地業務隊長であれば1等陸佐2等陸佐だ。この地位の幹部自衛官となれば様々な職種の出身者が充たることが多い。必ずしも施設関係、ましてボイラーに詳しい隊員とは限らない。
 そこで第10条で、ボイラー取扱作業主任者を定めている。この職務については資格者から適任者を選定するとあるから、ボイラーの専門知識を有するものでなくてはならないわけである。当然、ボイラーの種類に応じた国家資格保有者などの要件がある。
 幹部自衛官に有資格者も居る可能性はあるが、保有していたとしても2~3年で転勤となってしまう。そこで防衛省技官を充てることが多くなる。もちろん国家公務員総合職、所謂キャリア職は幹部自衛官と一緒で転勤が多いので各地で採用されたノンキャリの技官が必要となってくる。もちろんこちらは防衛省採用なので特別職国家公務員であるところの自衛隊員には違いない。しかし、有事の際に戦闘地域になった場合などは彼らの扱いを戦闘員としないと国際法上厄介である。しかも、そこの駐屯地で使用しているボイラーに精通した技官を養成し雇用し続けなければならないという問題がある。

 民間委託をすれば平時は良いとしても、自衛隊法には有事の業務従事命令対象には管理会社などを充てて居ない。
 となるとなるべく資格の要らない簡易ボイラーや小型ボイラーで済ませたいのだろう。私も北海道で勤務した際に、借家に簡易の家庭用の灯油焚きの湯沸かし器があったが、当然、資格などは必要ない。これらの簡易ボイラーや小型ボイラーは蒸気を作らない給湯ボイラーか、大気圧との差であるゲージ圧が1気圧(〇・一メガパスカル)未満のものだ。
 これなら曹レベルの隊員を充てることが可能になる。曹や士と言った隊員は通常5~6年が転勤サイクルだ。しかも、空自の場合ではあるが給汽員といった特技を指定して術科教育することが可能だ。配置特技には上級、中級、初級などのレベルがあり士の隊員であれば初級給汽員となり、昇任と概ねリンクしている。陸自の場合はモスという資格があるようだから、それで対応しているのだろう。どうも陸上自衛隊のモスは一般教育(というカテゴリーそのものがあるのか疑問)と連携しているようだ。海空の場合は一般教育(特技職に関わらない教育)と特技職毎に行う術科教育が分離している。

 そもそも簡易ボイラーなら素人でも良いわけだ。これなら専門の隊員の居ない部隊でも管理できるので、建物毎にボイラーを据え付けることができることになる。
 兵器などの主要装備品であると、装備品ごとに専門の特技員を制定しているのが普通なのだが、市販品と同じようなものを扱う特技員の場合だと、ボイラーに限らず発電機とか車両整備とか、種類でしか制定して居ない。だから転勤すると、今まで扱って来た装置と異なるものを扱うことになる隊員が多い。大体、現場でのOJTで対応しているのであるが、そうとは言えある程度の熟練期間が必要となるし、曹長や1曹クラスの上級曹になってくると管理業務が多くなるので、あまり頻繁に転勤させるのは問題がある。
 ちなみに、簡易ボイラーと小型ボイラーの規格は下のとおりである。

簡易ボイラー
イ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下で使用する蒸気ボイラーで、厚生労働省令で定めるところにより算定した伝熱面積(以下「伝熱面積」という。)が〇・五平方メートル以下のもの又は胴の内径が二百ミリメートル以下で、かつ、その長さが四百ミリメートル以下のもの
ロ ゲージ圧力〇・三メガパスカル以下で使用する蒸気ボイラーで、内容積が〇・〇〇〇三立方メートル以下のもの
ハ 伝熱面積が二平方メートル以下の蒸気ボイラーで、大気に開放した内径が二十五ミリメートル以上の蒸気管を取り付けたもの又はゲージ圧力〇・〇五メガパスカル以下で、かつ、内径が二十五ミリメートル以上のU形立管を蒸気部に取り付けたもの
ニ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が四平方メートル以下(木質バイオマス温水ボイラー(動植物に由来する有機物でエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)のうち木竹に由来するものを燃料とする温水ボイラーをいう。ホにおいて同じ。)にあつては、十六平方メートル以下)のもの
ホ ゲージ圧力〇・六メガパスカル以下で、かつ、摂氏百度以下で使用する木質バイオマス温水ボイラーで、伝熱面積が三十二平方メートル以下のもの
ヘ ゲージ圧力一メガパスカル以下で使用する貫流ボイラー管寄せの内径が百五十ミリメートルを超える多管式のものを除く。)で、伝熱面積が五平方メートル以下のもの(気水分離器を有するものにあつては、当該気水分離器の内径が二百ミリメートル以下で、かつ、その内容積が〇・〇二立方メートル以下のものに限る。)
ト 内容積が〇・〇〇四立方メートル以下の貫流ボイラー(管寄せ及び気水分離器のいずれをも有しないものに限る。)で、その使用する最高のゲージ圧力をメガパスカルで表した数値と内容積を立方メートルで表した数値との積が〇・〇二以下のもの

小型ボイラー 
イ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下で使用する蒸気ボイラーで、伝熱面積が一平方メートル以下のもの又は胴の内径が三百ミリメートル以下で、かつ、その長さが六百ミリメートル以下のもの
ロ 伝熱面積が三・五平方メートル以下の蒸気ボイラーで、大気に開放した内径が二十五ミリメートル以上の蒸気管を取り付けたもの又はゲージ圧力〇・〇五メガパスカル以下で、かつ、内径が二十五ミリメートル以上のU形立管を蒸気部に取り付けたもの
ハ ゲージ圧力〇・一メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が八平方メートル以下のもの
ニ ゲージ圧力〇・二メガパスカル以下の温水ボイラーで、伝熱面積が二平方メートル以下のもの
ホ ゲージ圧力一メガパスカル以下で使用する貫流ボイラー(管寄せの内径が百五十ミリメートルを超える多管式のものを除く。)で、伝熱面積が十平方メートル以下のもの(気水分離器を有するものにあつては、当該気水分離器の内径が三百ミリメートル以下で、かつ、その内容積が〇・〇七立方メートル以下のものに限る。)

 以上が法令の抜粋である。

 本調達で対象となる地下タンクごとに見て行くと、次のとおりである。駐屯地の南東部の切り込み部に位置する#149整備工場は、おそらく自走砲の整備工場だろう。整備工場の前の舗装部分に自走砲が駐車されている。これは真駒内駐屯地に第11特科隊が配置されているからで、99式自走155mmりゅう弾砲であろう。また、おそらく資格試験用なのか人が腰かけたような形の地上絵のようなものが地面に書いてある。頭の部分は円になっていて、おそらく信地旋回をするのだろう。円は装輪車両のコースでは見られない。脚の部分がクランクコースで、鵜での部分は車庫入れだろうか。それは空自の装輪車用のコースでも同じだ。点検対象のタンクとしては3番目に大きい20㎘である。
 #149整備工場から南南東に240m程にある#67整備工場が、何の整備工場なのかは見ただけでは分からない。間口が三等分され狭いから、あまり大きな車両は扱い難いだろう。ここの点検対象タンクは二番目に小さいもので5㎘であり、A重油用としては最小である。

 #67整備工場から南南東に130m程にある#40教場は、飛び地を除く駐屯地の最南端部にある。第11後方支援隊の真駒内自動車教習所があって、直ぐ東隣りに教習コースがあるから車両操縦の教場なのだろう。ちなみにこの教習コースには踏切がないのだが良いのだろうか。坂道もやたら緩やかだが坂道発進の練習になるのか疑問だ。ここの点検対象タンクは三番目に小さいもので7㎘である。
 #40教場から北北東に205m程にある#145整備工場は、幅約85mにも及ぶ割合大きな整備工場である。周囲には油脂庫や小規模だがドラムヤードがあるから油脂を多く扱うのだろう。付近にはレッカー車やユニックが多く見られる。またピットもある。車両が進入できる間口もあるので車両用の整備工場ではないだろうか。大きいだけに、ここが対象となる地下タンクで2番目の30㎘の容量である。
 #145整備工場から東北東に150m程にある#123整備工場は、あまり特徴がない。車両用ではなく、電子機材などを扱うのかもしれない。高射特科などの部隊もあるから、レーダーなどを整備する工場が有っても不思議ではない。

 #123整備工場の直ぐ西隣の#150整備工場も同様である。ただはっきりしないがモーターグレーダーらしい黄色い車両が見られるから施設車両などを扱うのかもしれない。
 #150整備工場から、やや北にズレて西隣にあるのが#162倉庫だ。ここも特徴と言えるものはない。トラックの荷台の高さに合わせるような設備もないからフォークリフトで扱うような物を扱うのだろう。RC造の事務所部分があるから物品の管理事務を行うのではないだろうか。物品管理官倉庫を兼ねているかもしれない。管理カードなどの書類の管理もあるのだろう。
 #162倉庫の南西側に斜向かいにあるのが#156整備工場だ。わりと小ぶりの建物であるが、これと言った特徴もない。

 #156整備工場の西隣の#148整備工場については、そもそも車両が進入できる場所が少ない。一部分だけ高いが、全体として低い建物で、電子関係や小型の物を扱う整備工場ではないだろうか。
 #148整備工場の北から北東に110m程にあるのが#159整備工場である。横幅が120mを超える大きな建物だ。自走砲も含め様々な車両が周辺にあり、ピットなどもあるから車両系の整備工場なのだろう。タイヤやフォークリフトなども見られる。今回の調達対象の地下タンク容量としては42㎘と15㎘の合計57㎘で最大の容量である。
 #159整備工場から北115m程に#600発電室がある。第11旅団司令部と駐屯地業務隊の間の所である。今回対象となる地下タンクの内で軽油タンクはここだけだ。この調達ではボイラー用となっているのだが、本当にボイラー用なのだろうか。軽油では単価が高かろう。もしかしてここだけ発電用なのかもしれない。そもそも発電室に暖房が居るのだろうか。暖気ならディーゼルエンジンの排熱で十分に暖かくむしろ冷却が必要なぐらいだろう。ちなみにこの調達による点検対象の内で最小の1㎘である。ボイラー用としても寒冷地だから始動し易いように温めておくためのものだろうか。であれば発電機の燃料と同種の方が良いと言うことなのかもしれない。しかしそれなら発電機の燃料用とタンクを分ける意味もないが。

 #600発電室からやや北北東寄りの北に715m程のところに、#68保管庫がある。画像だけから何の保管庫かは分からないが、牽引される小型トレーラーが散見されるし、この東側のエリアにはトランスポーターが多数駐車されている。牽引車両が対迫レーダ装置 JMPQ-P13かどうかは画像が不明瞭で分からない。もしかしたらであるが、出動に際して装備品を準備するためのエリアかもしれない。保管されているのは出動時に携行するものなのだろうか。
 #68保管庫の西隣にあるのが、#126整備工場だ。工場の舎前というべきか、コンクリートスラブが側溝で囲まれているようだ。さらに若干のドラムヤードも見られる。油脂を扱うのかもしれない。それと隣接した離れがあり、給湯なのかパイプが繋がっている。スチームで車両を洗浄でもするのだろうか。
 #126整備工場の北北東に100m程のところに#15整備工場がある。真駒内駐屯地のほぼ北端に位置し、これより北には通信所らしい建物ぐらいしかない。ここも#126整備工場と同様に側溝に囲まれたコンクリートスラブがある。水を流した跡が画像にもあるから、やはり洗浄などを行うのかもしれない。付近にタイヤなども多数あるから車両のための工場なのだろう。

 #68保管庫、#126整備工場及び#15整備工場のあるエリアの北側には、下の各地の戦車部隊で見たような給油設備がある。
43.01279450960641, 141.35781848034586
 (200)で戦車部隊の給油設備を見たが、自走砲配備の特科部隊の給油設備については以下の通りである。なお、第1特科群北千歳駐屯地)、富士教導団富士駐屯地)、武器学校土浦駐屯地)については戦車部隊と同居である。

第4特科群上富良野駐屯地203mm自走榴弾砲
43.44754111161316, 142.46657930636468
第7特科連隊及び第1陸曹教育隊東千歳駐屯地)99式自走155mm榴弾砲
42.82709605600079, 141.70727474748045
第2特科連隊旭川駐屯地)99式自走155mm榴弾砲
43.79241559686119, 142.36189015967517
第5特科隊帯広駐屯地)99式自走155mm榴弾砲
42.8998121365832, 143.1656695122084

 その南にはドラムヤードもある。どうもこの北側にあるエリアは出動準備を行うエリアなのかもしれない。確かに給油施設に向かうドラムヤード脇の道路に、車列も見える。
 洗車を行うようなスペースもある。演習などから帰った車両の泥を落とすのだろうか。
43.01133582378682, 141.35885314247295

 #16警衛所は、真駒内駐屯地の本体部分から南南西に3キロ弱にある。画像からみるとここは火薬庫だろう。直線で行けるわけではないが、直距離では東北東寄りの東に1.5㎞弱のところに西岡射場があり、立地的には良いのだろう。#16警衛所のタンクは19㎘だから結構大きなものだ。ここだけ灯油タンクであり、燃料単価は高いのではないだろうか。いくら寒冷地であっても4番目に大きなタンクであり、警衛所で使う暖房や給湯だけでは大きすぎるような気がする。案外、弾薬も温度管理が必要で蒸気を回しているのだろうか。もちろん弾薬庫に火気は厳禁であるから、熱媒暖房に限られる。温風式も空気が乾燥し静電気を発生しやすくなるから好ましくない。
 火薬類については温度や湿度の管理が行われている。温度より湿度の影響の方が大きいようで、火薬庫はRC造の建物の内部に、木造などの2重構造を設けて湿気から防護しているところだ。温度については一般的には高温の方が影響が大きいため、下の様な規則が定められている。
火薬類取締法施行規則の機能性基準の運用 令和3年3月1日 保局第1号 施行規則第4条第1項第9号の3の規定
2.当該火薬類一時置場内の温度を40度以下に保ち、かつ、相対湿度を75%以下に保つこと。」
 因みに、不快指数表によると、40℃では、相対湿度が4%以下が「半数以上が不快に感じる」5%~22%が「全員が不快に感じる」23%以上が「暑くてたまらない」となり、相対湿度75%では、温度が8℃以下が「寒くてたまらない」9℃~12℃が「寒い」13℃~16℃が「肌寒い」17℃~18℃が「何も感じない」19℃~22℃が「快適」23℃~25℃が「不快感を感じる」26℃~28℃が「半数以上が不快に感じる」29℃~31℃が「全員が不快に感じる」32℃以上が「暑くてたまらない」となるそうである。これを見ると火薬は人間より、かなり暑さ寒さに強そうだ。傾向としては湿度が低い程、快適の温度域が広がり、温度が低い程、快適の湿度域が僅かに広がるようだ。もっとも寒さに関しては殆ど影響しない。

 低温についての定めはないのだが、寒暖の記録を取っている。
貯蔵の技術基準 21条7号
火薬庫内では、換気に注意し、できるだけ温度の変化を少なくし、特に無煙火薬又はダイナマイトを貯蔵する場合には、最高最低寒暖計を備え、夏期又は冬期における温度の影響を少なくするような措置を講ずること。」
 おそらく、低温そのものよりも温度変化が問題なのだろう。特に自衛隊で使う弾薬は、爆薬や火薬そのものというより、これらを組み込んだ火工品として作られていて、様々な素材が組合せて使われている。温度変化が繰り返されると熱膨張率の違いから熱応力が加わるし、比熱熱伝導率の違いから素材間の温度差が発生して結露し湿度に影響してしまう。もちろん軍用品は低温での使用も想定しているから耐性はあるが、部品によっては低温で劣化してしまう部品もある。

 真駒内辺り、特に弾薬庫のある辺りは市街地を離れ内陸になり、標高も少壮あるので冬には摂氏-20度近くになるし、夏場には摂氏30度近くになることもある。おそらく札幌市内というよりも恵庭島松に近いと思われる。

北海道石狩地方 恵庭島松 の気候
https://weather.time-j.net/Climate/Chart/Eniwashimamatsu

 防衛省では下の様な規格を作って、問題が生じないか試験をしている。

防衛庁規格NDS Y 7413 火砲弾薬の環境(温度・湿度)試験方法 平成7.2.10
https://www.mod.go.jp/atla/nds/Y/Y7413.pdf

 上記の貯蔵の技術基準の24条9号には「火薬庫に暖房の設備を設けるときは、温水以外のものを使用しないこと。」とあるので、温水式の暖房があっても不思議なことではなかろう。

軍事問題研究会関連資料の紹介 関連資料として以下を所蔵しておりますので応談承ります。なお在庫切れの場合はご容赦下さい。お問合せはこちらへ。
(資料番号:21.10.18-1)「特集:弾薬」『そうび』(空自補給本部)No.201(2020年9月)掲載
(資料番号:18.12.14-2)『4術校』(海自第4術科学校)第111号(2017年)事務官教育の変遷 事務官等教育態勢の見直しについて
(資料番号:18.9.20-4)「強靱な陸上自衛隊の創造に寄与するための高射特科の使命」『航空安全情報』(陸幕装備計画部航空機課航空安全班)2018年1月号掲載
(資料番号:18.8.1-3)「海上幕僚監部における業務処理要領について(通知)」(海幕総第1298号 27.10.1 一部変更28.9.15)第19 弾火薬類の取得に関する業務
(資料番号:18.2.2-5)「特科部ホームページのリニューアルにあたって」『FUJI』2017年2月号掲載
(資料番号:17.9.26-4)「方面管区制兵站体制~平時・有事の兵站支援体制と駐屯地業務隊、補給統制本部統制権~何故、今のような兵站体制が形成されたのか~」『陸戦研究』2016年12月号掲載
(資料番号:16.11.17-3)「木更津駐屯地における米海兵隊MV-22オスプレイと陸自CH-47JAの騒音比較の結果について」(28.11.8 防衛装備庁
(資料番号:15.3.25-1)「敵を意識した教育訓練への取り組み~小銃の弾倉装着、弾薬装填及び安全点検要領について~」『FUJI』2014年11月号掲載
(資料番号:11.7.22-3)「第4航空団武器弾薬員の兵装能力向上について」『飛行と安全』(空自航空安全管理隊)2010年3月号掲載
(資料番号:11.4.11-4)「『自衛隊の駐屯地及び基地業務の在り方について』最終報告書」(平成22年度防衛省委託研究)
(資料番号:10.9.15-1)「日米物品役務相互提供業務の参考」(2009年3月27日 統合幕僚監部)弾薬の「提供」も「輸送」であれば可能

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